第七百八十六話 イフリート一派
ドライガン国はロンの発論により他国への侵略を止めている。しかしリファのようにそれに納得しない者達も多くいた。その中でも強い力を持つのがより交戦的な一族のイフリート一派である。
「できないと言ったはずだ。人間界より現れた者は力持つ者だ、我は彼らを認めた。彼らとは戦うべきではないのだ」
ロンは水晶による通信でイフリート一派の長、ドラギガンに言った。その男はいかつい屈強な顎を持ち重力に逆らったヒゲを撫でていた。
「だがそれは君の主観だろう?我々はその力を見ていない、本当に人間界が侵略に値せぬか分からないのだよ」
「皇女である我が敵わぬのだ!侵略できないに決まっておるだろ!」
ロンはドラギガンに強く反論する。
「皇女の力が我々より上だと誰が決めた?」
「なにぃ?」
その言葉はロンを挑発させた。
「君が勝てなかった人間界の魔法少女、我々が倒してみせよう」
ドラギガンは皇女であるロン相手に不遜にも自らが上だと言ってのけたのだ。
「貴様ーーー、できるものならやってみせろい!ユウカが最強であると証明してやるー!」
ロンは大仰な言葉使いを忘れて威勢を上げた。




