第七百八十五話 対面、ウィザードマテリアルとレンズの魔導奏者一行③
「というわけだ。残念だが我々が君たちに協力することはない、だが栃木支部に連絡を入れておこう。侵略者を見ようものなら商売の邪魔をされないために始末しておけとね」
ヴェレインは補足した。
「そう、それは残念ね」
「悪いね、せっかく呼んでもらったのに」
ヴェレインは山芋に謝る。
「いいのよ、わたし達としては顔が見たかっただけだから。でもいずれは一緒に戦ってもらうしサングラスとマスクも取って欲しいわね」
山芋はレンズの魔導奏者達に言った。
「そこまでの規模にならないことを祈るよ」
そう言ってヴェレインが立ち上がると同行者達も部屋を出ようとする。
「あ、待って!君たち正義の味方、だよね。顔隠してるから恥ずかしがり屋さんみたいだけどきっとそうだよね」
天使こと天城司が彼らを呼び止めた。
「あんた、馬鹿だな。でもま、一緒にやれば仲良くなれるかもな」
レンズの魔導奏者は一瞬だけ素顔を見せて笑った。それは闇を秘めるが真っ直ぐ進む者の目だった。
「ちょっと待てよ!勇者と勇者が揃ったんだぜ!もう終わりかよ!」
隆が興奮を台無しにされたような顔をした。
「あ、そうだよ。ここは硬い握手とかするとこでしょ!」
司も激しく同意する。
レッタも二人の間に入り握手などしてみたいがミーハーみたいになりそうでそっぽを向いている。
レンズの魔導奏者はサングラス越しでも伝わるめんどくさい顔をした。
「うん、僕天城司!よろしく、レンズの魔導奏者さん!」
司は向こうから手が出ないのを見ると勝手に手を取って言った。
「潜縷探だ」
レンズの魔導奏者はかぼそく答える。
「探くんか、いい名前じゃん!」
司は目を輝かせて言った。
レッタはえ、本当に仲良くなれるのかと不安になった。
「お前、大丈夫か。なんか変だぞ?」
あまりに態度に出ていたためガレイアに話しかけられてしまう。
「うん、大丈夫。多分大丈夫」
レッタはあくまで平静を装った。




