五十二話 鳴り続ける電話
「ねえ、これからご飯食べに行かない?」
「え?」
アミューズ瀬川を出たハルピィはそう言って隆を連れ出した。
「美味しい?隆くん」
「はい、ハルピィさん」
アミューズ瀬川から離れた場所にあるレストランで出された料理を食べながらハルピィに隆が答える。
「そう、良かった」
ハルピィが嬉しそうに微笑む。その笑顔に隆もドキリとする。
綺麗な人だと感じた、静かな時の顔も笑顔になった時のそれもまた隆の心に響いた。彼女から目が離せなくなる。その瞳は、彼女について離れない。
ハルピィもまた隆に見られることでドキドキしていた。こんなこと人生で滅多に、いや、一度もない、この高鳴りは凄まじく強かった。
この二人は会って数時間しか経っていない、だが互いに惹かれて合っているのだ。
その間も隆のスマートフォンは鳴っているが彼は気づかないままだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
彼のスマートフォンを鳴らした主、烈太は苛立ちながら呼び出しを切る。食事の後店の手伝いをやっている空き時間にやってみたがやはり出ない。
学校の宿題も終え入浴も済ませた。最初の呼び出しが食事中なため時間が経っている、だが彼は電話に出ないのだ。それどころか今度は通話中を知らせる音が鳴っている。時間を置いて何度かけても同じだ。
「烈太ー」
隣の家の窓から祐子が呼ぶ声がして窓を開ける。
「祐子………」
烈太は彼女を呼ぶ声に元気がない。




