第千二百二十三話 手段は選ばないってことだよ。急がないと人質取られるぞ!さもなくば二人がやられる
そこで彼女のスマートフォンが鳴る。
「なによ、こんな時に。ちょっとごめん」
祐子は口を尖らせながら二人に謝ると通話ボタンを押した。
『お楽しみのところ悪いわね、あなたの北西30m部分にヴァキュリーンを発見したわ、今は大丈夫だけどその内動くかもしれない。接触できるかしら?』
山芋が状況を伝えつつ尋ねる。
「分かり、ました」
祐子は不承不承通話を切った。
「ごめん、ちょっと急用が出来た。二人は先に帰ってて」
「しょうがないわね」
「ほんと忙しいんだね祐子って」
みくと鋭子も不服ながら従う。
祐子は走り二人から見えない場所に行くとデバイスを取り出しテッペキに変身した。
「降りた?!あいつ、祐子を呼んでたわけじゃないのか?」
管制室に来ていた隆はヴァキュリーンの動きに声を上げた。
「人間の姿になったわね。魔力を隠すつもりかしら?警戒して、なにか企んでるかもしれない」
ヴァキュリーンの姿が変わると山芋もオペレーターに指示を出す。
「ちょっと、あいつの魔力消えたんですけどどうなってるんですか?」
「調査中よ、そのまま北西方向に行って。動きが変わったら指示するわ」
テッペキも異変を感じるも山芋は軽くあしらう。
「この方向……………あの野郎まさか…………。戻れテッペキ、やつの狙いは佐川と三滝だ!」
隆は衛星カメラでの追尾と地図を照らし合わせるとテッペキに指示を出した。
「え?」
「え?じゃねえ、あいつの狙いはお前でありお前の知り合いだ。手段は選ばないってことだよ。急がないと人質取られるぞ!さもなくば二人がやられる」
テッペキがわけが分からないと惚けると隆は叫び返す。




