第千五十四話 ドラゴンのかぶと焼き
「マジでふかひれかよ。つうかこれ、なんだ……………」
「ひえっ、きもっ」
「いやこれ、ドラ、ドラッ、ドラゴン!?」
食堂にて隆、祐子、レッタはメニューに驚いた。一つは先ほど上がったふかひれだ。だがもう一つはドラゴンの頭に見えたのだ。いや、他にも羽や腕、脚、尻尾などの各パーツも確認できる。
「ほう、アクア王国ではアンコウが出ていたがこちらはそういう趣向か」
ミカゲは冷静に以前滞在した国と比較していた。
「ようやく驚いたか。食市場の方は回ってなかったからのう。これぞドラグリィ名物、ドラゴンのかぶと焼きじゃ!」
ロンが盛大に自慢した。
「なんか、豚を丸焼きしたみたいですね」
刀葉もあっけに取られてしまう。
「というか、ドラゴン使ってドラゴンを食べるんですね」
「ドラゴン自体が食べるわけじゃないかどまるで共食いね」
雷葉と流河が指摘する。
「まあ、そこら辺は野暮というやつじゃ。じゃ、このままだと面倒だから切りわけてもらうぞい」
ロンが言うと料理人に指示する。 料理人が動き各人のさらに肉が分けられ各人がナイフで一口大にするところまでになる。
ゴゴゴゴゴゴ………………。今の形状ではドラゴンだと分からない。だがレッタ達は先ほどまでの形状思い出して仕方がない。ドラゴンとは食べれたのか?食感は?味は?不安がよぎり仕方がない。
「びびってんじゃねえよ。 高級食だけどここじゃ当たり前だし美味いんだよ」
ガレイアがいつもこの国でやるように口に入れて勧めた。
「む、普通に美味いぞ」
人間界と魔界の者でまず口に入れたのはミカゲだ。
「ほんとに?あ、美味い」
次にレッタだ。鱗が剥がれてるので予想より食べやすくグミのように柔らかい食感だった。
「マジかよー。あ、いんじゃね?」
「これがぁ?ちょっと微妙じゃない?」
「うーむ。悪くはないんですが」
隆はいい感覚だが祐子と雷葉はいい印象を受けなかった。
「ところでこの子、生前は何を食べていたのかしら」
「知らんがこの味だと肉だと思うぞい」
「ドラゴンもろくに食べれないとか人間界は遅れてるなー」
ロンが説明するとルガが馬鹿にして言った。
「こらルガ!」
「へいへい」
リアに注意されるがルガは軽く聞き流す。
刀葉も未知の味と食感を噛み締めながらルガを眺めた。ルガは視線に気づくと彼女から避けるように顔を向けて肉を口に入れる。




