謎の魔術書
アルンベルトの街。
交易の盛んな街だけあって、結構賑やかな街だ。
特に料理に定評があるらしく、料理屋や露店が多い。
海からもそう遠くはないようで、一部の海産物もある。
メインストリートは行きかう人と、馬車が走る大きな道で
商人たちの掛け声があちこちから聞こえる。
「これは支度金だ。パーティに入ったわけだから
ある程度はパーティ資金から使って構わない。」
リドルからそういわれて、3金貨を受け取った。
3金貨は結構な金額だ。日本円にしたら3万くらいだろうか。
もちろん全部使えってわけじゃなく、多めに渡したんだろう。
「にゃふー、大金だにゃ!いっぱい買えるにゃ!」
目をキラキラさせて無駄に興奮気味なヤール。
いや、見てるその先は食べ物の露店じゃないか。
「いや、食べ物買うためじゃないから・・・
だめだめ、まず魔術品のお店に行こう。」
とか言っているうちにヤールは
既になんかの肉の串焼きを食ってた。
それに、案内されるはずの俺がなぜ先に進んでいるのかわからないが
魔術っぽい看板を見つけたので、とりあえず入ってみる。
「いらっしゃい」
30歳くらい?の不愛想だが結構美人さんが店番をしていた。
魔女っぽくはない。が、魔術師の簡易衣装みたいな服をきている。
想像していたのと違い、店内はきれいに商品が陳列されている。
なんかまんま薬局みたいな感じだ。並んでるのは薬・・・?
よくわからないものが多い。
ポーションはどれかな、と見渡していると書籍コーナーを見つけた。
「どれどれ・・・・」
初めての魔法
4大属性の基礎
神聖属性と暗黒属性
・・・・・etc
なんというか、ぶっちゃけスキルポイントで覚えられるし
基本的な知識は家で勉強してたから、もう必要ない。
ざーっと本棚の題目に目を通していると、読めない文字の本を見つけた。
革製のカバーでなかなかの重量。広辞苑ほどではないが。
ちょっと読んでみようと本をめくろうとしたが、開けない。
「あー。お客さんそれ、魔力鍵かかってるからよめましぇんよー。」
噛んだことをなかったことのように店員さんはしれっとしていた。
しぇんよー。そうですか。
魔力鍵とは、よくわからないがたぶん読めないように
ロックされてるってことだね。
「まぁそういうの欲しがる人は魔術研究者ぐりゃいですしー
大概しょぼい魔法本だったりするので、値段もそれはそこそこで
1金貨程度ですねー。」
1万円・・・十分高いだろ。ぐりゃいだしな。
店員さんはよく噛む人ということは分かったが
中身は魔法本なのか。めちゃくちゃ気になる。
ということで買っちゃった。
魔法鍵はレジにて渡された。
ところでヤールは・・・
俺が本に夢中になってるうちに、店内の備え付けのソファで
丸くなってスヤァしていた。何しに来たんだ、この猫。
まぁ寝姿が猫っぽくてカワイイから許すことにした。
ヤールの長めの尻尾をもふって起こした後に
回復ポーションと魔力ポーションをいくつか買って
とりあえずの準備はOKかな。
明日は初のパーティ狩りだ。楽しみである。