初めてのクエストの前に
リドル達のちょっとした説明です。
リドルたちとパーティを組むことになり
ひとまず、生きる術の地盤は作れそうで、ちょっと安堵した。
リドルは32歳で妻子持ちだそうだ。
奥さんは元冒険者、パーティは違ったが共闘することが多く
ある時、ケガで引退することになった奥さんを口説いた・・・
とヤールが全部ばらしてくれた。
カインは80歳を過ぎているそうだ。
エルフは500~600年ほど生きるそうだが
長命過ぎて、大概のエルフは自分の歳を大体でしか
数えないそうだ。ちなみに独身。
結婚する気はないそうだ。
エルフは基本的に女尊男卑の世界らしい。
女性のほうが魔力が強く、男性は肉体的には優れるが
他種族に比べると貧弱なため、あまり優位性がないらしい。
カインは魔力に恵まれたため、冒険者として里を出て
自由気ままに(エルフ女に縛られたくない)生きたいと
言っていた。
ヤールは18歳。獣人族はむしろ短命で
人間が80年、獣人は60年といった感じらしい。
ただ、人間は徐々に年老いていくのに対し
獣人は40半ばくらいまで変わらず、50を過ぎると
一気に老化するらしい。
どこぞの戦闘民族的な感じみたいだ。
そのうち金ぴかになるのかな。ク〇〇ンのこ・・・
いや、それは言ってはいけない。
リドルはギルド掲示板から一枚の依頼をはがして
皆がいるテーブルへと依頼書を置いた。
「とりあえず、ハインの冒険者デビューだ。
最初は無理せずこなせる討伐で、パーティになれることから始めよう。」
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【討伐依頼】ステータスランクD以上
アルミール草原に住むゴブリンの討伐
討伐証明部位 ゴブリンの角X20以上
アルミール草原にゴブリンの集落が発見された。
拡大するまえに速やかに討伐されたし。
報酬 5金貨(討伐数により追加報酬あり)
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ゴブリンか・・・Dランク依頼なのは数が多いからか。
まぁ、単体ではEランクの底辺レベル。
パーティで行けば無理なくこなせるだろう。
「ゴブリンかにゃ~、あいつらクサいからめんどいにゃ~。」
ヤールは猫人のせいか、鼻が良い。
たしかにあいつ等はクサい。なんというか
汗と血とアンモニアがちょうどいい塩梅で混ざって
布にしみこんで乾いた時の匂い?といえばいいのか。
例えようがないクサさなのだ。
しかめっ面をしたヤールを まぁまぁ、となだめると
リドルは顔を引き締めた。
「ただ、ゴブリンの集落だと、時間が経つと
上位の奴が出てくる恐れもある。
ホブゴブリン程度なら問題はさほどないが
ゴブリンロードが出てきたら厄介だ。
まぁ、20体程度の集落ならまずいないだろうが・・・
もし見かけることがあれば、速やかに撤退すること。」
ゴブリンロードはBランクの魔物だ。
ホブゴブリンが単体でDランクなのに対し
ロードはかなりの強個体なうえ、指揮能力がある。
ロードが発生する規模になると、100体ほどの集落になるらしい。
また、雑魚ゴブリンが連携をとるようになるので
もうそれは大討伐依頼になる。
なんか、フラグだよな・・・。
俺は幸運マイナスだ。嫌な予感しかしない。
だが、冒険者をやる以上危険があるのは当然だ。
出発は明日の朝。
まだ昼過ぎだが、リドルから「準備に抜かりがないように。」
と食料やポーションはなるべく多めに持っておくように
念をおされた。また、街にでて装備品あたりも見てくればと
言われたので、街の散策もすることにした。
「まだハインは街にきたばっかだから、ニャーが案内するにゃ!」
ヤールが俺の手を握り、引っ張るように連れ出された。
なんかヤールは無駄に俺にくっついてくる気がする。
それについてリドルもカインも特に気にしてないようだが
ヤールというか猫獣人はこんな感じなのだろうか。
人懐っこいというか。
猫だからな・・・気まぐれなとこもあるだろうが
基本甘えんぼというか懐っこいんだろうなと
なんとなく自分の中だけで納得した。