Phase5 空に舞う
■竜骨の街・上空 昼
真っ青な上空に投げ出されたサラサちゃん。絶体絶命だ!
そこに、摘んだ白い花からの光に包まれ、彼女の周りには四枚の大きな翼が現れた!
バサバサバサッ!
サラサちゃんはその翼に包まれ、静かに地上に落下してゆく!
「おわあああ!?」
バサッバサッ!
町の広場、光がつつまれたサラサちゃんは翼で滑空するように落下。
「わーっこりゃいいや!イエーーイ!」
と足をばたつかせて降下するサラサちゃん。
白い4枚の翼は、大きくバサッと羽ばたかせる。サラサちゃんは軽やかに、広場の中心部へ着地した!
フリーマーケットを開いていた住人達が、彼女の周りに駆け寄り、拍手が沸き上がる!!
「おお!お姉ちゃんスゲエじゃねえか!」
「まさか、あの子、骨の上から花をとって来たのか!?」
「初めて見た!」
「っと~!やー、どーもどーも!」
周辺の歓声に応えるサラサちゃん。
やがて、サラサちゃんからの光は収まった。4枚の翼は力を失った様子で、しおれてしまった。
石畳の地面には、摘んだ4本の花がしおれていた。
「あら………しかし、どうなってんだこりゃ…」
しおれた花を怪訝に見るサラサちゃん。
空を見上げると、深緑の竜はすでにサラサちゃんには興味が無くなったように上昇していた。
「?…帰っていく」
深緑の竜は、南の空に向かってバッサバッサと飛び去って行く様子であった。
◇ ◇ ◇
さて、竜骨の街の広場は夕暮れにさしかかってきた。
空は平穏になり、いつもの穏やかな風が通る。
「サラサおねえちゃん!」
サラサちゃん、空から、ふたたび広場に視線を落とす。
拍手沸き起こるギャラリィの中から、きょうだい二人が駆け寄ってきた。
「よー!もどってきたよ!」
「すごいよ、サラサおねえちゃん!」
「あたしもなにがなんだか…」
サラサちゃん、例のカラフルな巾着袋の中を見るが、摘んできた花は、花弁の無い、草の状態になっていた。
「それは翼になる花なんだよ」
「へっ?」
「昔、ママも飛んだことあるんだって!」
と男の子話す。
「そうだったんだ…」
大きくため息をつくサラサちゃん。
「まったく、危ないところだったよ…、でも花をキミたちに持って帰ることはできなかったな」
と、持っていた4枚のしおれた花を見せるサラサちゃん。
「翼の花は滅多に咲かないんだ」
「そっか」
「でも、サラサちゃんが飛んでるところが見れたから、いいや!」
女の子は元気に話す。ギャラリィたちもなんだか良いものを見たという顔をしている。
「そうかい?そう言ってくれるなら、竜に追われた甲斐もあったってもんだよ!」
あははと笑うサラサとつられてわらうきょうだい。
広場には笑いが響いた。
■竜骨の街・飲み屋「気骨稜稜」 夜
さて、エピローグだ。同日の夜である。
飲み屋「気骨稜稜」は、いつものように活気づいていた。
「ぷはー!」
お店の奥の席で麦酒を飲んだくれるのは、いつものようにカラフルポンチョを纏ったサラサちゃん。
傍らには金髪の飲み屋の女店主が立っている。件のきょうだいのお母さんである。
「うちの子らがご迷惑をおかけしたみたいで、ほんとに面目ない。それに、先日のお礼もしてなくてね」
「良いってことよ!おかげで、こんなにごちそうになってるんだし」
「じゃんじゃん食べておくれよ。麦酒も、たんとあるからね」
「えへへ!いいねえ!じゃ!」
ご機嫌に飲むサラサちゃん。
「でも」
「一瞬だったけど、空を飛ぶってェのは、気持ちが良いもんだねぇ。」
サラサちゃん。そして傍らではにっこりのきょうだいたち。
ふとカウンタに目をやると、新しい水差しには、サラサちゃんの摘んできた白い花の四本が活けられていた。花弁はすべて落ちているが——―
きっといつか、また花が咲くといいね。
そう思いながら、麦酒を飲むサラサちゃんであった。
『サラサ 高い骨の花』 おわり
『サラサ 高い骨の花』 はこれにて完結です。
ありがとうございました!!




