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サラサ 高い骨の花  作者: トラヤラノ
1/5

Phase1 カラフルポンチョの少女

カラフルポンチョを着たサラサちゃんは、お宝目当ての

ハンターをしつつ旅をしている。

ある街にたどり着いた彼女は、

飲み屋でちょっとした騒動に巻き込まれる。

■竜骨の街・商店街 昼下がり


 巨大なあばら骨が、真っ青な空に横たわる。


 ここは巨大な骨に囲まれた竜骨の街。まぶしい白壁の四角い家々が、複雑に重なった構造の街だ。


 街のあちこちには、翼が象られたレリーフが施されている。この翼は街のシンボルのようだ。


 さて、白壁の家々が立ち並ぶ入り組んだ街をしばし歩くと、賑やかな商店街に出る。両脇には、様々な露店が軒を連ねている。


 そこを歩く少女がいた。



 彼女、名をサラサと言う。



年の頃は20歳といったところか。パッチリと見開いた目と綺麗にそろえられた長い黒髪がとても目を引く。街中の住民たちは、金髪や銀髪が多い。この地方で黒髪は珍しいようだ。



 サラサちゃんは旅をしている。



 服装もまた特徴的で、赤やオレンジ、レモン色などでツギハギにあしらわれたカラフルなポンチョをひらひらなびかせている。ご機嫌にこの竜骨の街の商店街を歩いている様子だ。



 昨日この街にたどり着き、今日はのんびり観光でも、と思っていた。


 小腹も空いたので、何か食べようかね、彼女がそう思ったところであった。


 そこに突然、男の子に呼び止められる。


「おねえちゃん、強いんでしょ?」


「は?」


 サラサちゃん、唐突な言葉に驚きつつも振り返る。


 そこには金髪の男の子と女の子。年は2人とも10~11歳ぐらいだろうか、どちらも幼いながらも端正な顔立ち、きょうだいのようだ。

 男の子はツンツンとした金髪と碧眼、大きなストールを首に巻いている。七分袖のシャツもズボンも、体よりもかなりゆったりしている。

 一方、女の子は片側だけ三つ編みを前におろして、肩にはケープを羽織っている。ブラウスは恐らく母親の着ていたシルクのようで、ロングスカートも可愛らしい。


「知ってるよ、昨日、お店で悪い人を倒したって」


「えっ、ちょっと!どこでそれを、あなたたちが行くようなお店じゃないのにさ…」


 サラサちゃんは慌てた様子で、男の子と女の子の手を引き、路地裏に連れて行く。


 日が差し込んで眩しいコントラストの石畳の商店街から、ひんやりと影の落ちる路地裏に3人は入る。


 サラサちゃんはしゃがみこみ、声をすぼめて子供たちに尋ねる。


「あなたたち、それどこで聞いたの」


「ママが言ってた、黒髪でポンチョの綺麗な女の人だったって。おねえちゃんがそうでしょ?」


「あー…あそこのママさんか…」


 サラサちゃんは昨日の出来事を思い返す。


■飲み屋「気骨稜稜」夕方


 回想。昨日の夕方である。竜骨の街の空が藍色に染まる。この街の上には、巨大なあばら骨に覆われており、日没になると、その骨に夕日が当たり、オレンジに照らされる。


 ここは竜骨の街の繁華街だ。飲み屋「気骨稜稜」(きこつりょうりょう)。日没前には、常連客でにぎわうほどに繁盛していた。この地方では麦がよく取れる。そのためお酒も麦酒が多かった。地産地消である。

 気の強い女店主と、数人の女性従業員が働いており、客層も、地元の客、旅人等さまざまであった。


 パリーン!


 床にたたきつけられる花瓶。飾られた白い花が床に散乱する。

 白い花はあっという間にしおれてしまった。


 盛況だった店内は、俄かに静寂になる。続いて、客たちのざわつく声が聞こえる。


「グフフフ、お兄さんたちと良いことしようよ、いいだろ」


 いかにも下衆に響く男性の声だ。ならず者に見えるが、その体躯はがっしりしており、かなり鍛えられているように見える。


「ちょっと、やめてください…!」


 絡まれているのは旅人風の、線の細い女性二人だ。姉妹のようで、どちらもゆったりめのローブを色違いで纏っている。弦楽器を持っているので、音楽の芸事で銭を稼いでいるのであろう。


「私たちそんな気は」


「ゲッヘッヘ、いいじゃねえか、なあ、ちょうど2対2なんだしよ、一曲歌ってくれや」


「グフフフ、何なら、俺が一度に2人相手にしてもいいんだぜ」

「いやっ…」


 つまり、屈強そうな男が大小2人。若い女2人組に絡んでいる様子である。


 こういう時、人は見て見ぬふりをするもので、他の客は男たちを見ようとしない。


 他の客たちは沈んだ表情で、味の落ちた酒を飲んでいた。


 かように、世間というのは意外とつれないものだ。


「ちょっとお客さん、困るね」


 そこに、すこしハスキーな声。店主の女性が現れる。彼女の綺麗な金髪は後頭部で団子に縛られていた。体は一見華奢に見えるが、作務衣のような軽装に、引き締まった腕が色っぽい。


「ウチは出会いの場じゃないんだよ。もうちょっとお上品に飲んでもらいたいものだねえ」


「グフフ、なんならママさん、あんたが相手でもいいんだぜ」


「ゲッヘッヘ、兄貴、俺ぁこっちのほうが好みだわ」


 小柄な方の男が、ママさんと呼ばれた金髪の女店主の右手を掴む。


「なにすんのさ」


 女店主は払いのけようとするが、小柄な男も腕力がある様子で、女店主の右手を掴んだまま。


「離しなよ」


「ゲッヘッヘッヘ、いいじゃないの。今日は店じまいにしてさ」


 小柄な男はその下衆な表情の顔を近づける。一方、大柄の男も、女2人組を相手に卑猥な言葉を投げかけているようだ。


「ゲッヘッヘッヘ」


「ちょっと…やめてよ」


 店内の空気も鬱屈としたものになってきた。そこに、



「ねえ、乾杯しようよ」



 ジョッキをもった長い黒髪の女の子が立っている。


 いで立ちはカラフルなポンチョとスキニーパンツである。


「あ?」


「乾杯しよ」


「ほおお…姉ちゃん、おめえも可愛いじゃねえか…だが…」


「すっこんでな!」


 と、小柄男はいきなり拳を繰り出してきた!


 カラフルポンチョの女の子。迫る拳をギロリとすごんだ!


つづく!

次回『Phase2』は、明日10/17(火)の22時前後に更新予定です!

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