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9話 母としての判断

==(side クレア)==



 私は目の前の現実が信じられない。

誰だってそうなると私は思う。

愛しの息子の種族が変わるなんて事があったのだから。

扉を開けた。

開けた先には息子がいた。

種族がエルフに変わった息子が。

先祖返り?

先祖返りの時にあの魔力が放たれたのかしら?

それならあの魔力波も納得できる。

それに、この場に居ない存在についても説明が付く。

とりあえず、私は種族の変わってしまった息子を抱き上げ、頭を優しく何度も撫でる。

目を覚まさない事に不安が絶えない。

髪も魔力の影響なのか普通のエルフの髪の色とは異なっている。

エルフの髪の毛が緑に対して今のウィルの髪の毛の色は純白、そう言っていいほど白い。

静かな寝息をたてて寝ているが、もし目が覚めなければ。

そんな不安が次から次に湧き上がってくる。

その空気をかき消すかのように誰かが部屋に入ってくる。


「はぁ、はぁ、はぁ、大丈夫か!!」


 息を切らしながら夫が入ってくる。

その夫に種族の変わってしまったウィルを見せる。

ウィルを一目見た瞬間、夫はぎょっとする。

夫は驚きを隠せないまま口を開く。


「お、俺の息子なのか?」


 今、夫の頭の中では何を考えているのか。

自分の息子の種族が変わったこと?

自分の嫁は違う男と交わった?

先ほどの魔力を持った主が息子をこんな姿にした?

私が息子に幻術を掛けて騙していた?

そんな事が頭の中に浮かんでそう言ったの?

そうでなければいい。

この子は紛れもなく貴方の子。

こんな田舎の村にエルフなんて珍しい種族なんて・・・!

いた。

この村にいた。

でもそのエルフが私を襲ったなんてことはない。

その人は私のお婆ちゃんなんだから。

じゃあなんで息子がエルフに?

お婆ちゃんがたまに本当なのか嘘なのか分からない話をしてた。

”先祖返りがエルフとの間の子にたまにあるのよ。

その先祖返りした人?

さあね。

私には分からないよ。”

どうして先祖返りしたのかなんてね。

その言葉を思い出し、それを伝えるために私は口を開いた。


「紛れもなく貴方の息子よ。この子、私のお婆ちゃんのせいなのか御陰なのか先祖返りしちゃったみたい」


 私はそう言う。

私の言ったことが絶対にあってるかどうか分からない。

でも、今の状況でそれしか言うことがない。


「お婆ちゃんに今すぐ行こう?私の息子が先祖返りしたって言いにいこ?お婆ちゃんならどうにかしてくれるかもしれないしさ?」


 私はそう言った。

息子がエルフから人に戻る手段なんてあるかどうかも分からないのに言ってしまった。

もし、この子が人に戻らなかったらどうなってしまうの?

息子が先祖返りを起こしたと正直に伝える?

納得してくれる人は多いかもしれない。

でも、噂なんて自然に立つ物よ。

噂は噂を大きくして元の話なんて分からなくさせる。

私が他の人と交わったなんて噂が立ってしまったらこの子に申し訳がない。

浮気した者の子供として、同じ子供に言われるかもしれない。

お前の家族は違うなんて言われるかもしれない。

妄想という恐怖が私の身体に巻き付いてくる。

その恐怖は払っても払っても離れることなく、より強くより深く根付いてきた。


「行ってみるか」


 夫が口を開いた。

私の言ってることがあっていないかもしれないのにそう言った。

私の逃げ道のために言ったのにはっきりとしたした口調でそう言ってくれた。


「俺の息子が先祖返りしたのか。まだまだ気持ちの整理が付かないが、俺はこのまま治らなくてもお前を責めたりしない」


「どうして?」


「俺とお前との間に出来た子なんだろ?それでいいんだよ。それだけで」


「私が浮気なんてしたかもしれないのよ?」


「浮気した本人がそういうか?言わないだろ!」


 微笑みながらこちらに向けて言った。


「で、でもーーー」


「俺がそう言ってんだから納得してくれ」


 私の前で頭をガシガシト掻きながら言う。

そのとき私はこの人と結婚して良かったと思った。

私を責めもせずに、私の事を受け止めてくれる。

この人を手放したくないと思ったときだった。

 疲れてる中で書いてから乱れてる部分があるかも。

あったら感想で教えて(-_-)

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