表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/46

終結

 神に追いついた頃には神の姿は本当の姿に戻ったような状態で、力が溢れ出ているのが分かる。それに対して、その周囲は恐ろしいほどに静かで、生きている者など無いと表現しているようであった。


「勇者気を付けろ」


「ああ」


 重々しい返事でしか返すことが出来ない。先程まで勝てると思っていた敵が強化されて戻ってくるなんて悪夢でしかない。夢ならば覚めて欲しいほどだ。


「来る!」


 魔王が注意をしてから直ぐに自分の察知範囲の中に入るのが確認出来る。飛んできたそれに最大限の注意を向けながら、僕たちは剣を抜いた。


「あの爆発で死んだのは一人かしら?」


 女神は自分の中の記憶と照合する。自爆という最後の一手を使わされた彼女には少しばかりの記憶の欠損が生じていた。いつの時代の勇者かを思い出した上で、挑発するかのようにそう言った。


 それに対して勇者と魔王は静かに怒りを燃やし、あんな過ちが起こらないように戦う。


「蠱毒の魔王しか生き残ることが出来ないかしら?でも、最適化の方しか神になれなさそうね」


 それは戦っている二人には何を言っているのか分からなかった。わざと怒らせて単調的な行動を促すような言葉では無かったからだ。


「さてと、なら殺さなきゃね」


 そういって彼女は指を振る。それを魔術の発動だと気付いた頃には防御の態勢を取っていた。だがそれは悪手だと気付いた。


「グハッ」


 それは誰の声か、自分ではない。だが男の声はもう一人しか存在しない。それに気付くと魔王の方を急いで振り向く。そこには死んだはずの彼女が、魔王の胸を貫いていた。


「魔王!」


 慌てて回復魔法を掛けようとする。だが魔王は言葉でそれを阻止する。


「無駄なことはするな!神と戦っていろ!」


 魔王はそれを言い終えると力なく倒れ始める。それに驚きと怒りが沸き始める。だが、そうなってしまった原因である神を殺すために怒りを押さえつけ支配する。


「最適王!」


 精霊を自身の身体に取り込むことで精神の揺らぎを減らし、更に減ってしまった魔力を回復と強化を施す。


「デネビー!」


 それは自分ではない誰か、しかしその言葉を放っていたのは自分だった。何故魔王に向けて言ったのか分からない。だけどその言葉を向けた相手への気持ちは、待ち望んでいた物を見つけた時のような物だった。


 目に写るのは魔王の身体は崩れ落ちていく姿。僕たちはやっと見つけた魂へ直ぐにでも会いに行きたかった。でも、この魂が僕たちを縛っていた。


「ごめんね、この身体を奪っちゃって」


 彼のスキルの力で彼女の身体に入った。そのことは自身の好きになっていた相手を穢されるよう出来事に、力が暴走した。


『やっと見つけた』

「その人の身体に入るな!」

『この身体に入ってよ』


 自分が何を言っているのか分からない。抑えていた感情が溢れ出す。魔王なら仕方ないと思っていた事も、全てが嫌になる。自分が生きていることさえも嫌になる。


「死ななきゃ」


 自分の持っていた刀で自分の心臓を一刺しする。鋭い痛みは、僕に嫌なことを忘れさせてくれるように感じる。その喪失感がより一層助長させていた。


「勇者!」


 デネビーが駆け寄って来る。僕たちは縛られることの無くなったこの肉体に入れるように、デネビーの入っている器を壊す。


「さあ、入って」


 僕は囁くように言うと、彼の力が発動して僕たちは満足した。やっと一つになれたことに安心して。


『勇者、異界の勇者、魔王の魂の融合を確認。

 信仰心が条件をクリア。

 器に魂が適合。

 神へと進化が可能。

 現状では肉体が保てないため、強制進化致します。

 ・

 ・

 ・

 最適王は最適神へ至りました』


 それは今まで聞いたことの無かった言葉。それは神の言っていた言葉を思い出す。


「神の思い通りか」


 薄れゆく意識で破壊の種子は発芽する。それは自身を破壊する力。それを最適神は瞬時に適した身体へ治し、破壊されなくする。


「最適神」


 力を発動する、神の目的を世界の知識(アカシックレコード)から読み取る。それにより気付き嘆く。


「そうだったのか、なら最適神!」


 世界を適した物へ変えていく。その中には現在に至るまでの過程で生まれ出た、歪な神も含まれていた。


「これで世界は良いかな?死んでしまった魂も僕の中から出して生き返らせて、と」


 神は死んでしまった彼等の魂を取り出す。それは三人の魂。この世界の記憶を消して生き返らせ、元の世界へ帰らせる。自身の魂はこの世界に来る前の所までの記憶で作りだして返す。


「これでいいかな。なら後は女神に会わないと」


 そして衰退の一途を辿っていた世界は繁栄の世界へとなっていく。滅びの世界では無くなったときだった。

 長かった作品がこれにて終わりです。いままで付き合って頂き有り難うございました。忙しい時期が終わったときか、時間の出来たときに改訂版を書きますのでそれまではゆったりとお待ちください。

 気になるところ、疑問に思うところが多々ありますが、改訂版で直す予定ですので、感想で指摘して頂きますと助かります。


 有り難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ