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教皇との会話

 人々に勇者として認められた瞬間は、教皇からの言葉で僕はなった。神から認められるのではなく人からという、そこの部分が胸に僅かばかり引っかかった。


 勇者と認められた後は凱旋パレードを行い、国民へ勇者だと示された。それを見た人々も僕の事を称えていたが、表面だけ見立てて、内心は複雑な気分だった。魔王は人々へ戦争など仕掛けておらず、魔物が人の姿へと進化しただけなのだから。俺が出会った悪魔の魔王は道化を演じているが、それは悪魔として何が出来るか模索しているのだろう。悪魔は魂を喰らわなければ生きれず、天使は人の意思を糧にし生きている。それだからこそあの魔王は模索している。ピエロの様な道化を演じながら。


「・・・強欲か」


 魔王は強欲を冠している。それは心の底から何かを欲していなければならないのだろう。いや、望むことが多ければそれも強欲だ。わからないな。だけど、彼は僕へ大切な人を守る事を願ったらそれを条件として使うことを許した。だが、強欲ならもっと何かを望みそうな気がする。


 彼は魔王がどんな存在かを悩み続けていた。夢の中で彼と会話を行うこともあったが、それでも全貌を掴むことが出来ず、道化を演じて居るだけだった。彼が勇者となる日も悲しい顔などせず、守る力以外では消えてしまうと忠告していた。

 強欲の力は生命剥奪(エナジードレイン)魔力剥奪(マナドレイン)が行え地味かもしれないが、長期戦となったときは役立つだろう、最後まで守るというときに。


「僕が勇者だとして、何が出来るか」


 魔王を倒せば世界が救われるというような、ゲームのような世界ではない。それがどれ程残酷で、辛いのか想像が付かない。教会の人間が味方だとしても次の日には敵なのかもしれない。敵か味方を見分けることなど簡単にできないため、想像が出来る方がおかしいと思う。


 笑顔を顔に貼り付けて手を振りながらの凱旋パレードが終わった後、大聖堂の一室で疲れからか僕は横になった。日の光に照りつけられるだけでも、体力が減らされることを嫌と言うほど実感させられた。


「お湯を用意してくれ」


 給士にそう言ってお湯と身体を拭くためのタオルを持ってきて貰う。身体を浸からせる浴室などないためタオルで身体を拭き、身体のべと付きを無くす。その御陰で幾分か疲れが取れる。だが、身体全体を浸かりたいと贅沢な考えが浮かんでくるが、直ぐに頭から無くすことにする。やろうとしたら出来るが大変なのと、それ以外でも金が掛かりすぎるからだ。


 そういった考えをベットの中で考えているとパレードでの疲れからなのか瞼は重くなり、いつの間にか眠りに就いていた。



「あー」


 軽く欠伸をしながら起き上がると、少し後に部屋のノック音がして中に入れるとメイドだった。


「起きていらっしゃいましたね、朝食の準備が出来ておりますので、お洋服をお着替えなさってから向かいましょう」


 親切になのか、着替えてから行くと教えてくれる。それに従ってメイドに着替えを手伝って貰いながら着替える。貴族の様な服は一人で着替えることが出来ないから一人で着替えたいなんて言えない。


「じゃあ行こうか」


「はい、ではこちらへお願い致します」


 着いて行くと食堂に着いたらしく、食事を頼まずともメイドの彼女が料理を持ってきてくれた。


「ありがとう」


「はい、ではごゆっくりどうぞ」


 スキルを使いながら周りを観察をする。恰幅のいい人など居ないが、服装で偉い人なのかが分かる。教会が腐っているなどは無さそうだが、狂信者が居る可能性があるかもしれない。


「お下げ致します」


 食べ終わった頃にメイドがやってきて食器を片付けてくれる。全てを片付け終えたメイドは教皇様が読んでいると教えてくれた。理由は分からないが、わかったと返して片付け終わったメイドにまた着いて行く。


「呼び出して済まない」


 教皇様が謝りながら僕を呼んだ理由を話す。それは僕がとても驚く内容だった。


「帝国が異世界からの召喚を行った。これは教会と連携をし行うことなのだが勝手に行った為に、今代の勇者である君と異世界の勇者が二人という問題が発生した」


 異世界と聞いて、自分と同じ世界なのでは?と思ったが異世界など僕が思った以上にあると思うので、元居た世界とは違う世界かもしれない。だが、同じ勇者だというので少しは仲良くしたい。


「そこで君には異世界の勇者と共闘して貰いたい。異世界の勇者とは世界が違うが為に弊害が存在するかもしれないが、そこは私たちが中を取り持とう」


 仲良くしたいとは思っていたが、まさか頼まれるとは思っていなかった。だが、これを活かして仲良くしたい。それに僕が転生者だと伝えられたらいいなとも少しだけ思った。


「あ、勇者が召喚されたのはどうやって知られたのですか?」


「ああ、言ってなかった。勇者となる存在は神がお告げをしてくださるのさ。それがあるから分かるのだ」


 分かりました、と返事をしてこの会話は終わった。最後に言われたことは一ヶ月後に会うと聞かされた事だった。

 少し遅くなりました。次は早ければ明日になります。

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