3話 転生したのか!
目と耳がしっかりとなってきた頃、気付いた。自分が転生したって事に。それと同時に異世界らしいと言うことにも気付いた。切っ掛けは見たことも無い動物、見たことも無い植物が要因だった。
え、じゃあ死ぬときのあの声はラノベでいう世界の声なのか?えっと、あの時、俺の耳に聞こえたのが俺の手に入れたスキル?うわ、好きなスキルを選べたのに何だか微妙なスキルを選んじまった。
えっと、最適化だっけか?うーん・・・まあ、うん、使えるさ。ほら、バカとハサミは使いようって言うじゃん?それに、意外なスキルが最強だったとか、強い奴を仲間にするとかも有り得るじゃん。そんな感じに異世界で使えるはずだ。それに、最適化って思考とか魔法とかの無駄を無くせるかも、ついでに身体の無駄な動きを無くすとか出来ると思う。最適化なんだから剣の一降りも無駄を無くせば石を簡単に斬れるようになったりとか有り得るはずだ。
もしかして!魔法の無駄を極限まで無くせば使う魔力が少なくなって魔法無双が出来るんじゃ?
おお!魔力が少なくても無双が出来る!電池みたいな奴を作っちゃえば魔力の少なさも解決できるはずだし夢が広がる!
お腹が空いてきたみたいだ、何でだかトイレだったり食事の時になると勝手に涙が出てきて泣いちゃうんだよね。もう、嫌になってくる。
そんな風にまだ自分の事など理解していないのに勝手な想像を広げていく。そんな時に出た泣き声に誰かがやってくる。
おっと、地獄の時間が始まる。逃げたいけ魔王(母)からは逃げられない。
いい年したおっさんーーー見た目は子供だが、頭脳は大人その名はオッサン!ーーーにこれは厳しすぎるよ。赤ちゃんプレイなんて高度な事なんてしてないし、実の母に欲情なんて出来ないし早く離乳食に入りたい。
「ショサムサメ!」
何を言ってるか分からない。だけどまあ、行動で分かるからいいんだけどね・・・これでも言動を照らし合わせて言葉を覚えようとはしてるんだよ?
まあ、そんな事に意識を逸らしてもやっぱり精神的に来る。早くこの状態が終わればいいのに。
そんな事を願うが、少しも変わらない。だが、赤ちゃんの場合寝ている場合が多いのでそこまで苦にはなっていなかった。
そして幾日もの日が過ぎた。それと同時に幾つもの苦痛があった。それは、変態になれなかったせいで・・・いや、まとものまま保てた。
それが良かったのか悪かったのか、大人しめの子供としてみられている。それ以外にもなんと言葉を覚えたのだ!子供の脳って簡単に入りやすいのか、バンバン記憶できるし、練習時間も変な目で見られない!
それか、スキルのおかげかな?最適化だし、無意識に発動させてあって記憶するときに整理ささったとか、言語の順番とか意味とかそううのもスキルが学習して勝手に変換してるとかありそうだな。ま、そのおかげで直ぐに覚えることが出来たんだし気にする事じゃないな。
昔は英語が苦手だった俺でも簡単に覚えることができました!と、CMでなんかよく聞くキャッチフレーズみたいに今では言える。最適化さんの御陰かよく分からんけど、取り敢えず感謝しておこう。
「ご飯だよ!」
母親に言って出されるのは母乳ではなく子供用の食事、そう、俗にいう離乳食だ!俺は歓喜するばかりだよ。
手とかが動かしにくいが、俺と同じくらいの年の中ではうまくスプーンを扱って食べているように見えるだろう、というより、上手いはずだ。これで下手だったらどんだけこの世界の赤ちゃんは凄いってことになるわ!ああ、その時は異世界パネェと古くさいかもしれないけど叫んでみよう!
「よしよし、いい食べっぷりだよ」
そう言われながら食べるのだが、やっぱり慣れない。早く子供から抜け出して大人になりたいし、スキルとかも使ってみたい。いや、それよりも前に魔法を使ってみたい!あれ、てか魔法ってこの世界に存在するよね?まだ確認してないけどあるよね?無かったら剣で戦うの?え、痛いのやだよ!
そんな事を考えながら食事をするのだった。
==(side クレア)==
この子、手間が掛からない。驚くほど手間が掛からない。他の子の話をよく聞いて大変だと思ってたけど、異常に手間が掛からないわ。他の子の話を聞いたらやっぱり異常だって思ってしまう。何か原因があるのかしら?もしかして、私の血がそうさせてるとか?
「ウィルは静かだなあ、もっと煩くてもいいんだぞ」
そう言いながらほっぺを突くとダッと返事をしてくれる。可愛いんだけど、たまに変な事をしている。
独り言のはずなのに、変に文章見たくなってるし・・・もしかして!と私は精霊と話しているんじゃないかと思ったけれど、言ってることは私たちの会話を真似てるようだったし、普通の子だ。
つまらない!神様の加護を貰ったかもしれないんだから、小さい頃から精霊と話しやがれ!
そんな事をオブラートに包んで言ってみるが顔を軽く横に倒して、?を身体全体で現してた。くっ、メチャクチャ可愛い!仕事の合間や終わった後にこんな顔を見ると疲れが吹っ飛ぶし、悶絶してしまう。ホント癒されるなーこの子には。
こうして今日も私は息子を可愛がるのだった。頭を撫でたり、ほっぺたをくっつけたりして可愛さを思う存分堪能する。嫌々と断る姿も可愛い!嫌も嫌も好きの内なの!くー止められない!
可愛さに理性が少し外れてしまうクレアだった。ウィルもウィルで嫌々はしているがそれなりに楽しんでいるようなので、クレアのストッパーは中々掛からないようになっているとは知らないで居るウィルは、これからも愛でられるのだった。