魔王との会談
今回少しだけ短いです。
「では、小さき勇者のその勇気に免じて、巫山戯るのは止めるとしよう」
勇者と言われることが嫌だがそんなことは表情には出さず、返事をする。
「さて、貴様の目的はなんだ?力か、復讐か、それとも正義を貫くつもりか?」
目的、それは僕には何もないと思う。
だけど、悪魔を取り込んだからには、その経緯を言わなければいけないと思う。
「僕は、危険を、いやこの先起こるかもしれない危険を無くすために、悪魔を取り込んだ」
「つまり、自分のため。そういうことか」
「そうなる、でもこれだけはーーー」
「傲慢、いや強欲といった方がいいのか」
「いや、僕は・・・」
「その身体、何もかもを取り込むのでは我と似たような者ではないか。何もかもが欲しい、そのスキルを、力をなんて、似ている」
似ている?
僕が似ているのか?
この強欲の悪魔、いや魔王に。
魔王は更にと付け加えて言う。
「<強欲>の悪魔をその身に宿していながら、何故危険だから取り込む必要があった?スキルなら自身の力で制御すればいいものを」
スキルの事なんて全く分からない。
最適化だって、使えばスキルを手に入る物だっていう認識だけだし。それに意思あるスキルなんて初めてだから。
心の中で言葉を選ぶために考えるが、言い訳しか思いつかない。
「未熟で強欲な勇者よ、お前は何がしたい?そして何を望む?」
「身近な人を守る力」
精霊が見せてくれた転生者、彼は家族を守るために戦ったその記憶が強く根付いている。
数の差があろうと、仲間に裏切られたとしても、その力を使って最後の最後まで抗った。
彼はどんな思いで戦い、守ろうとしたのか。
俺は彼じゃないし、戦う気持ちさえ、守る力もない。だからこそ僕はそういうしか思いつかなかった。
「そうか守る力か。世で一番険しい道を貴様は進むのか?」
「僕は進む。世界なんて見たことも無いけど、僕にはそれくらいしか出来ないからさ」
「その強欲の力があれば、世界を救えるかもしれないぞ?」
「正義を突き通すには、他の正義とぶち当たることになる。それなのに勝った方が正義にって、負けた方は悪になる。そんな世界で救うなんて、血に塗れた後悔しかないと思う」
「面白い、強欲な勇者、いや守護者の方がいいか?そなたに権能の一部を与える。その力は守ることだけに使わなければ無くなるかもしれないがな」
魔王はそう言うと、道化師に戻る。
その姿は先程までの威圧感、いや魔素の放出を止めて親しげに話してくれるが、何だか疲れてしまって尻餅をついてしまう。
「それぇではぁ、さよぉならぁ。君はぁ他のぉ勇者とはぁ違ってぇ欲しいぃなぁ」
手を振って消えていく。
魔王は霧のように細かくなっていき最後には何もなくなる。
魔王がいたという魔力も、残り香もなく空間は静けさに包まれる。
静けさに包まれた世界はやがて崩壊をし始め、バラバラと離ればなれになり、空間がちりぢりになった頃には、夢の中ではなく現実の世界になっていた。
1100文字以上ですがね、どんな書き方をというか情景描写をと考えていたら、少し短くなりました。ま、書いている間になれると思うので、少しの間お待ちください。
話は変わりますが、ブックマークが2件増えておりました。読んで頂き有り難うございます。これからも頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。




