精霊の記憶 その2
「ーーーであるからして、この場に精霊神の加護がこの子に」
やっと終わった。
どれくらい時間が掛かったんだよ。
まったく、これだから老人の話は嫌いだ。
ま、見た目青年だから老人なのか分からないけど、多分そうだろう。
その場に突然の光が舞い散り始める。
様々な色の光が舞い散っているためとても幻想的だ。
だが、周囲の人々の反応は驚きを隠せないようだった。
「これ程とは!」
長ったらしい話をしていた男が先程までの淡々とした様子は無く、今は驚きで心の中はいっぱいのように思える。
途中からその光は人型へと形は変わっていった。
「かーごめ、かごめ、かーごのなーかのとーりーよ、いーつ、いーつ、でーああう、後ろの正面だあれ」
その言葉、いや、その歌を聞いて思わずその声の主を見てしまった。
なんでその歌を。
目の前の光が人の形となり、あの首を折ったこの上を回り始めた。
その光景はかごめをしているように見えるだろう、それだけなら思った。
ただし、この場で歌う者がいるとしたら、それは転生者かもしれない。
もし、古くからその歌が語り継がれてきたのだったら、俺にもその歌を教えてくれてるはずだからその可能性は低い。
だとしたら、この歌を歌っているのは転生者だ。
だとしたら、だとしたら絶対に合わなければ。
「転生者はお前なのか」
その言葉に対して誰も帰すことはなかった。
「こいつは今は生きてない・・・だって、精霊たちが言ってることはこいつが死んだって事なんだから・・・」
そりゃそうだろう。
精霊たちが前の主が死んだから俺の所に集まったんだ。
どういう原因で死んだかはこの先で分かるだろう。
俺はこいつなのか?
精霊が言っていたとおりだったらその可能性がある。
まだ分からない。
俺には記憶がある。
だけど、その記憶は前世の地球だけだ。
「よろしく、精霊さん!」
そう首を、いや転生者は言った。
その転生者の声に反応するように精霊たちはさらなる輝きを放ち始める。
『こちらこそ、よろしく!』
透明な声が様々にそういう。
全てが透明な声なのにどれもがしっかりと個性を持った声だった。
そしてまた場面は変わった。
今度はどこかの、いや玉座なのか?
俺には分からないがラノベやゲームで見た限りの記憶だとそれにしか見えない。
そこで王らしき人と、お婆ちゃんが椅子に、いや玉座かそこに座っている。
お婆ちゃんって王女だったんだ、知らなかった。
ということは、母親は姫となるのか。
じゃあ俺は王子になるのか。
あ、でもエルフの国は滅んで無くなったから意味は無いのか。
「ーーー王に任命する」
それに対して誰も反論は出なかったようだ。
その時、転生者の姿は変わった。
いや、またしても光り出したのだ。
「エルフキングになれたようだな。これからお前の名前はハウライト!ハウライト・デネビーと名乗れ!」
名前の継承はそんなことがある国があったような無かったような気もするが、それはまあいい。
エルフキングって何なんだ?
そのままの意味だったらエルフの王って事になる。
だけど、目の前で怒ったことはただ任命されただけじゃああはならないはずだ。
それに、なれたようだなと言っていた。
つまり、何かの条件がクリアされなければキングにはなれない。
その条件が分からない。
そして、また場面は変わるのだった。
今度の場面は自分が予想していた者とは違う世界が広がっていた。
人がエルフに斬りかかったり、魔法を放ったりしているところだった。
エルフはやられるだけではなくやり返していた。
途中からどちらかが優勢なのかが分かってきた。
人族側が優勢だった。
人数の多さで勝っていることでエルフの守りは少しずつ押されて行った。
その場面を切り崩したのが転生者だった。
お読み頂有り難うございます。