鑑定をされる
目が覚めると違う部屋に移されていた。
そこではお婆ちゃんが寝る前とは違った、真剣な表情で薬品、そして道具を扱っている。
「呪いではないな」
再度確認するようにそう口に出していた。
確認し終わるとこちらの方に目を向けた。
それと同時に真剣な表情が崩壊する。
「おばちゃんだよ~♪」
残念美人だ。
あえて何度も言う。
残念美人だ。
さっきまでの仕事が出来ますって感じの顔はどこに行ったんだよ!
切り替えの早さが早すぎる!
「ご飯食べる~?」
お腹がすいているので、とりあえず頷いておく。
その反応に喜びを身体全体で現すお婆ちゃんが居た。
「あったま、いい~♪」
お婆ちゃんやめて。
これから大きくなったとき反応に困るわ!
ああ、もう何度もツッコんでるせいで起きたばかりなのに、また疲れてくる!
あ、料理を始めた。
そこで嬉しがらずに真剣に料理してるって・・・
あれ?ちょっと真剣すぎませんか?
持てる技術を全部使い、完璧な料理を作ろうとするし。
性格が・・・残念過ぎる。
「完成♪」
さっきまでの真剣さが嘘のように無くなる。
怖いよ!
怖すぎる!
孫に対して、ここまで真剣に料理する人なんて今まで見たことがないぞ。
口に運ばれてきた。
その匂いだけで美味しいと言うことが何故か分かってしまう。
こ、これを食べてしまったらどうなるんだ?
漫画のように、服がはだけてしまうのか?
それとも、旨すぎて天国に一時的に行くとか?
き、気絶してしまうのか?
そんな心配を気にすることなく、それは口元に入れられた。
その味を口にした瞬間、俺は気絶した。
それは、目が覚めて30分程しか経っていないときだった。
・・・
「あ!」
思わず声が大きく出てしまう。
お婆ちゃんはそれに反応するが気にしない。
「ご飯を食べたら直ぐに寝ちゃうなんて、よっぽど身体をエルフに変えるのは疲れるみたいなのか」
ふと、そう呟かれた。
だが、その言葉は耳にしっかりと届いていた。
違うから!
全然、これっぽちも違うから!
答えに掠ってすらいないんだよ!
って、味を覚えていない。
どんな味だったのか、旨かったのか不味かったのか覚えてない。
気絶した原因が分からないって怖すぎる。
か、身体に害が出たりしないよね?
「さて、そろそろ鑑定をしよう」
薬品が身体に塗り込まれる。
クリーム状の薬品が身体の隅々にまで塗られる。
その次に薬品が軽く掛けられる。
紙が身体に当てられる。
そして、呟かれた。
「『鑑定』」
身体を覗かれる。
そう体現したような感覚に陥る。
これが、鑑定!?
もし、もし俺がやったらこんな感覚を相手に与えてしまうのか?
鑑定は気をつけないといけないか。
鑑定して、相手の力量が分かったら戦うか判断できるのに、それが出来ないとか。
いや、それ以前に薬品を用いらないと鑑定できないのか。
ん?
薬品?
なんも使ってませんが?
使わずに鑑定できてたけどな。
どういう事だ?
俺も鑑定をしてみるか。
「うぎう『鑑定』(※訳 スキル)」
目の前にステータスが現れる。
それもお婆ちゃんのだ。
えっと、薬品は紙に写すために必要なだけか?
じゃ、鑑定をするときは相手に気付かれないように・・・あれ?
鑑定されたことに、もしかして気付いてない?
時間差なのかな?
気付くまでステータスを見てよう。
ふむふむ。
HPとMPしか表示されないと。
俺の時と同じだな。
といっても、HPとMPは俺と同じ100か。
もしかして、パーセント表示か?
鑑定のスキルレベルが上がれば、そこもしっかりと分かってくるのか?
うーん、わからない。
てか、鑑定したのに未だ気付かないお婆ちゃん。
反応がないって事は、気付いてない?
それとも気にしてない?
何か言って、何か言ってくれないと分からないよ。
「スキルが、鑑定と最適化?聞いたこともないスキル」
違う。
そうじゃないんだよ。
俺が知りたいのは鑑定。
俺が鑑定した事に気付いてるかなの!
最適化は俺が渡ってきたときに手に入れた、ユニークスキル?だ。
だから聞いたことがないはずだ。
それよりも鑑定に気付いたか教えて!
何度も言うけど、気付いたか気付いてないかを教えてくれ!
(※心の中で思うだけでは伝わりません)
「身体を変えるようなスキルは名前から判断して最適化か。最も適させる・・・魔力に適するために身体がエルフに先祖返りをおこしたか」
そうだよ。
魔力を最適化させたらエルフになってた。
それはいいんだけど、気付いたか気付いてないか教えてくれ!
(※心の中で思うだけでは伝わりません!)
そして、一日が終わった。
それまで気付いた素振りすらなかった。
何回も鑑定をしたが、気付かずに俺は帰されるだけだった。
お久しぶりです。
テスト勉強やら、勉強やら忙しくて中々執筆に意識が回りませんでした。
遅くなってしまいましたが、いつもより多少は多くなってます。