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10話 元に戻れるの?

==(side クレア)==


 私は急いでお婆ちゃんの元へ向かった。

ウィルを大事に大事に抱え込みながら走った。


「お婆ちゃん!」


 家の扉を勢いよく開けながらクレアはそう言った。

そうして出てきたのはクレアと同じくらいの女性が奥の方から出てくる。

それを確認してから、息が切れる身体を抑え込み何故ここまで焦っているかを伝える。

それ聞いてアリッサは目を見開き驚く。


「ウィルが先祖返りを起こした!?」


 いつも冷静で頼りになるお婆ちゃんの反応に驚きながら、ここまで何があったかを更により細かく伝える。


「さっきの魔力波はウィルが原因と・・・」


「それが起こってから見た目も髪の毛も変わっちゃったの!」


「そうなのか。だが、このウィルの先祖返りは少しおかしいのだ」


「それってどういうこと?」


「先祖返りといってもな、生まれたばかりの子供に特徴が現れるのだが・・・この子は生まれたばかりは人間。七ヶ月ほど経ってからエルフに変わる。普通はあり得ないんだよ」


「嘘、じゃあどうして・・・どうしてエルフに変わったの!」


「私にも分からない。この子が特殊なスキルを持っていて、その影響でこうなったとしか説明が付かない」


「じゃあ、スキルの効果が無くなれば、この子は戻るの?」


「今は戻らない可能性の方が高い」


「どうして!スキルなんて効ーーー」


「今はと言っただろう?今のこの子には自我が無い。それ故にスキルが暴走している状態なだけだ、自我が育てばそのスキルを操り人に戻れるだろう」


「よかった」


 お婆ちゃんのその話を聞いて身体から力が抜ける。

そのため、その場に座り込んでしまう。


「だが、呪いだった場合はどうしようもない」


 その一言で私の表情は固まってしまう。


「呪いで身体を変えられてしまった場合、解呪の為には上位の聖職者や道具などそろえなければならない。呪いが解けたとしても種族が元に戻るかも分からない。それに人間をエルフに変える呪いなんて物私は聞いたことも見たことも無い」


 付け足されたその言葉が私の表情をより固めさせる。


「そう落ち込むな、まだ呪いとは決まっていない。それに呪いではないかもしれない」


 どうすればいいのか分からない。

どうしよう。


 そう思ってウィルの顔を覗き見る。

スヤスヤと寝息をたてて寝ている。

時折風が吹くのか髪が引っ張られている。

その姿を見て焦った心が少しだけ落ち着く。


「あれ?」


 風なんて吹いているかしら?

扉はお婆ちゃんが閉めたからずっと引っ張られているのはおかしい。

もしかして精霊かしら?


「どうした?」


「お婆ちゃんって精霊見れたよね?今ウィルの周りはどうなっているの?」


「様々な精霊がその子の周りを飛んで喜んでいる。呪いだったらこういう事はありえないから、呪いの可能性は低そうだ」


「そうなの!どうしてそれを言わなかったの!」


「精霊がそんなに飛び回っていて、それほどまでに強い呪いなのかと最初は思っていたのだが、その精霊が遊び回っていることに気付いたから呪いではないと思っただけだからな」


「よかった」


 そう言葉にして身体から力を抜く。


「心配だから二日ほど様子を見てもいいか?」


「いいけど、どうして?」


「幼少でこんなスキルを使ったんだ、身体に異常が出てないか調べないといけないだろ?」


「わかった。よろしくね」


 そうして今日と明日の間ウィルをお婆ちゃんに預けるのだった。

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