あらすじと人物紹介(ネタバレ注意)
ネタバレを含みます。必要のない方は飛ばしてください。
本編は次話から始まります。
<あらすじ(第一部相当)>
太陽系を掠めて飛び去る筈だった巨大隕石ハーロンは間際に一部を剥離させ、地球に最悪の置き土産を落としていった。
強烈な光に呑まれる東京――その時市ヶ谷駅のホームにいたケースケは、気がつくと周囲の人と共に見たこともない原生林に投げ出されていた。
次々と原因不明の発作を起こしその数を減らしていく生存者、襲い来るおぞましい化け物――。
残された数少ない生存者はしかし、不可解な魔法の力がその身に備わっていることに気付き、試行錯誤しながらもまるで原始時代のような未開の大地で少しずつ生存の手段を確保していく。
そんな中、ケースケ達は言葉を喋る白猿と出会い、その美しい娘と行動を共にする。彼らから教わったのは、過去にもケースケ達のような異界からの来訪者がいたこと。彼らはマレビトと呼ばれ、この世界にヒト族を生み出し、そして導いてきたという。
「俺たちの世界でいうところの、人類進化上のミッシングリンクみたいな存在だな」――この世界のマレビトを、ケースケはそう理解する。
自分たちもマレビトとしてヒト族の発展に寄与すれば、そして、いつかこの世界のヒトが元の世界の人類のように文明を築くところまで到達できれば、自分たちはこの世界のミッシングリンクとして、歴史に確固たる証を刻むことになる。
やってやろうじゃないか――原始の大草原の中、ケースケは元いた世界と変わることのない星空に誓うのだった。
<登場人物紹介>
「ケースケ」
主人公。この物語の語り手。元・新米サラリーマン、十九歳。
火の魔法に適性を持つ。
「櫛名田のおっさん」
元・弱小工務店の社長。大工からの叩き上げ。五十歳台。
社会経験豊富な、人の和を大切にするよき理解者。生存者たちの精神的支柱となっている。
第一部終了時点では魔法の属性は不明。
「スーさん」
二十歳すぎのオタクのお兄さん。小太り、色白、眼鏡。
重い厨二病を患っており、暴走して周囲を置き去りにすることしばしば。
しかし、こと魔法に関しては鋭い洞察をみせる。
魔力を光として視ることができる魔眼と、錬成の魔法に適性を持つ。
「ミツバ」
元・某有名女子高の二年生。十七歳。
明るく元気系の美少女だが、目の前で人が死んでいく光景に深く傷つき、大きなショックを受けていた。
土魔法に適性を持つ。
「アヤさん」
二十三歳の元・OL。
おっとり系でスタイルの良いお姉さま。大人の一面もあり、ナイーブな女性陣を陰で盛り上げている。
水魔法に適性を持つ。
「イツキ」
元・サッカー部の高校二年生男子。十七歳。
爽やかイケメンで、ケースケのことを兄のように慕っている。実は厨二。
風魔法に適性を持つ。
「クノ」
数百年を生きる付喪神、白猿のヤマクイが、捧げられたコシ族の女性に産ませた一人娘。
白金の髪、薄い水色の瞳に白い尻尾を持つ、まさにファンタジーな容姿。
だが、周囲と違うその容姿のために、友だち一人いない孤独な少女。過去のマレビト譚に憧れを持ち、尻尾以外は容姿も似ているケースケ達一行に同行する。
一行では唯一の現地人で、生存のための様々な知識を提供している。