契約悪魔
不完全な女と不完全な男
人間とは皆不完全でどこかしら抜けている。私はそんな人間が面白くて仕方ない
例えば、どんなに可愛い人カッコいい人でも勉強が出来なかったり、いくら勉強が出来ても可愛い、カッコいいとは限らない―
完璧など、ありえないのだ。
でも、それでも頑張って生きている。
私はそれが面白い。「可愛くないから。」と言って整形を行ったり、友達がいないからと無理に作ろうとする。
そんな人間が面白くてしょうがない…
やめろ!俺はお前みたいになりたくない!やめろ…
「やめろっ!…」
「お兄ちゃん大丈夫?まぁたうなされてたよ?」
夏月が俺の部屋の前で、扉越しに聞いてきた。きっとまたデカい声で起きた俺を心配したんだろう。
「8時か…」壁にかかっている時計を見てつぶやいた。
『にゃあ』
「『にゃあ』じゃねえよ!またお前だろ?ナイト。」
当たり前だとゆう顔でため息をついた後、
『お前が毎朝毎朝大声を出すからだろ?』
「ったく、誰のせいだと思ってるんだよ…」
俺は言おうとしたその台詞をツバと一緒に呑み込んだ…
ナイトは猫だ。真っ黒に月の様な黄色の目。本当は【ナイトメア】とゆう悪魔らしいが、猫の姿がこっちの世界で過ごすには良いらしい。そのおかげで俺がナイトを叱ると、俺が夏月に叱られる。
【ナイトメア】は悪夢を見せる悪魔(夢魔)だ。俺とナイトが契約で結ばれている以上、悪夢を見せ続けられる。ナイトから契約を破らない理由は、大魔王に人間界で修行してくるように言われたらしい。大魔王の判断次第とゆう訳だ。ちなみに、俺から破る事はできない。全く迷惑な話だ。
しかもナイトは姿を変える事が出来るから、人間になったり、猫になったり…まぁ大体は猫の姿だ。しかも、猫の姿の時は皆に見えてるのに人間の姿の時は見えてないらしく、以前転校生として俺の隣に座った時も、俺だけ驚いて、
「おい、風雅大丈夫か?」
と心配されてしまった。
「大体、何で転校生になんかなったんだよ。どうせ俺にしか見えないんだろ?先生にだって見えてないってのに。」
俺はベットで丸くなってるナイトに聞いた。
すると、ナイトは片目だけ開けて、
『…った。』
「聞こえねぇよ。ちゃんと起きて喋れよ。」
『やってみたかった!』
は?悪魔が転校生になってみたかった?
『そうだ。何だ!お前にはやってみたい事が無いのか!それでなくともお前ら人間の一生は短いんだぞ?』
「やってみたい事、ねぇ…。」
俺はちょっと口にして言ってみた。
『そうだ。やってみたい事の一つや二つ、あるだろう?』
今の所無い。
『無いことは無いだろう。』
だって急に言われても思いつかねぇし。
『ふむ。なる程な。』
ナイトは勝手に納得すると、また丸くなった。
ったく、俺のベッドで寝るなよ。