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聖血剣者伝  作者: 常陸橫
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04.今後の予定

 外に出るとエリルがいた。

「戻るぞ」

 エリルは城の方へ歩き出すが、おれには気になることがあった。

「少し、訊いていいか?」

「なんだ」

 エリルがこちらを向く。

「夏河と大紀は、やっぱりあそこにいなきゃいけないのか」

「まあ、普通なら一年はあの施設で学習だな」

 一年、そんなに先なのか……。

「ただ、あの二人は10日程度で出てくるだろう」

「へ?」

 思わず気の抜けた声をだしてしまう。

「あいつらはもうこちらの言葉が分かるのだから」

 そうか、その期間の殆どが言語の習得の時間なのか。おれは納得すると同時に気持ちが軽くなった。

 が、少し疑問が浮かぶ。

「あんたの拳銃でどんどん情報を頭に撃ち込んでいけばいいんじゃないのか?」

 単純だ。そうすればあんな施設を作る必要もないのに。

「残念だが、そうもいかない」

「何で?」

「弾の数が限られている」

 エリルは拳銃を取り出し、拳銃の弾を出して見せた。残りは3発のようだ。

「この世界で火薬は貴重なんだ」

 一年で生産される火薬の量では弾丸を5発も作ることができず、高価だ、とも付け加えた。

「じゃあ、何であんたは夏河や大紀に使ったんだ?」

 エリルに尋ねると、彼女は少し考え込んだ。

「さあ、何故だと思う」

 不敵に笑う。やはりこの女は何を考えているか分からない。

「それより、今日は早く休んだほうがいい。明日は忙しくなるだろうから」

「え? 何でだ?」

「当たり前だろう? この国に『勇者』が誕生するのだから」

 う、忘れていた。そういえばそんなこと言われてたな……。

「おそらく、明日にでもこの城の前の大広場で『勇者』の授章式・出発式が執り行われるだろう」

 出発までさせられるのかよ。

「安心しろ。あの二人が解放されたあとは、私の知人が預かってくれると言ってくれている」

 おれが心配しているのはおれ自身のことなんですけど……。

「ついてこい、部屋まで案内する」


 案内された部屋で一人、憂鬱な気分で床に就く。外は夕闇に染まっていた。

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