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【一】

 幼馴染。

 辞書で調べたところ、それは『物心ついたときからの顔馴染み』を意味する言葉のようです。

 私にも幼馴染と呼べる人がいます。

 だから私はその大切を理解し、我慢してきた。


 しかし、それももう限界です。


「テリシア、悪いのだが……また少し、お金を貸してはくれないだろうか」


 そのような言葉を、いかにも申し訳なさそうな弱った顔で、あの人は言うのでした。


「……セレス、もういくら貸したのかも分からないわ」


 瞳を閉じ、静かに言うと。

 彼は表情を更にすまなそうな形に変えて、まるで辛抱強く言うように、スラスラと言葉を紡ぎます。


「テリシア、ルルエの容体は、本当に悪いんだ……。頼むよ」


「…………」



 なにが私の限界を刺激したかといえば。

 その、まるで私たちは一心同体であるかのような、奇妙な連帯感を仄めかせる()()が、私の心を逆撫でするのです。


 幼馴染。大切なのは分かります。

 けれどこの人が、私をまるで都合のよい助け人のようにしか扱わない理由にはならない。


 ……もう、無自覚の悪意に耐えられません。


「――分かりました」


 薄く瞳を開け、静かに言いました。

 すると彼は、にちゃりと音のしそうな笑みを浮かべ、私に頭を下げるのです。


「ありがとう、テリシア!」


「…………」


 私は、この人の大切を理解して――そう自分に言い聞かせて、我慢してきた。

 しかし――それももう限界です。


 ……お父様には悪いことをするようで、心苦しいです。

 ですが、もう心に決めました。


 いいでしょう。

 そんなにその幼馴染が大切だというのなら。


 婚約破棄を、しましょう。


 

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