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第6話 外圧の介入


朝の王宮は静かだった。セリオ王子は

広間の窓から庭を眺め、考えを巡らせていた。


「森に行く度に……」小声でつぶやく。

心の中でリアナの存在を思い浮かべる。

だが、現実は甘くない。第1王子オルデンの

目は常に弟を監視している。


「弟よ、少し話がある」重厚な声が広間に

響き、セリオは振り返った。オルデン王子が

威厳をまとって立っていた。長身で鋭い目、

その視線は冷たく、政治家としての知恵を

宿していた。


「何のご用ですか」セリオは少し緊張し

ながら答えた。オルデンは眉をひそめる。


「最近、森に頻繁に出かけているらしいな」

「……はい、少し研究のために」王子は答える。

嘘ではなかったが、リアナとの時間は含まれて

いない。オルデンの眉がさらに寄る。


「森の探索は許可制だ。勝手に動くことは

王族として問題だ」オルデンは冷たく言い放つ。

「さらに、婚姻の話も考慮しなければならない」


セリオは胸がざわつくのを感じた。王族として

の責務と、自分の心の自由――リアナへの想い

の間で揺れる。


「王族としての義務は理解しています」

セリオは言葉を選び、真剣な目で兄を見据えた。

「しかし、森で学ぶことも、私の責務の一部

です」


オルデンは冷ややかに笑う。「学ぶことは構わない。

だが、他国の存在と接触するのは別だ」その言葉

の裏には、エルフとの関係を認めない政治的圧力が

潜んでいた。


セリオは拳を軽く握る。「リアナは森の民であり、

危険な存在ではありません。信頼できる人物です」

その言葉には、王子としての立場を越えた熱意が

込められていた。


「信頼?弟よ、王国の安全を考えよ。個人的な感情で

行動すれば、多くを危険に晒すことになる」オルデンは

冷徹に諭す。王子の胸に、兄と王国の影が重くのしかかる。


その日の午後、王宮の庭で再び考えるセリオ。

森での自由な時間と、王族としての義務。どちらも

譲れない。心の中でリアナの笑顔が浮かぶ。


「俺は……どうすればいい?」小声でつぶやく。

王子としての立場を守るべきか、心を貫くべきか。

答えは簡単には出ない。森の静寂の中ならば勇気を

持てるが、王宮の重圧はその勇気を押しつぶす。


その夜、王子は決心して森に向かう。密かに、

リアナに会いに行くためだ。王国の圧力に負けず、

自分の心を守るため。


森の入口で待つリアナ。月光に銀色の髪が

揺れ、王子の姿を見て微笑む。だが、彼女も

王子の表情に何かを感じ取っていた。


「セリオ……何かあったのですか?」

「王宮で兄に……警告されました。でも、君に

会いたくて」王子の言葉は短く、しかし強い意志を

帯びていた。


リアナは頷き、王子の手を軽く握る。「森の中では、

あなたは自由です。心配しないで」その温もりが

王子の心を少しずつ解きほぐす。


森の中で、二人だけの時間。王国の外圧は存在

しない。だが、セリオの心には王族としての責任と

リアナへの想いが重なる。


「外の世界は厳しい……でも、ここでは僕は僕で

いられる」王子は心の中で誓う。リアナの存在が、

自分を支えてくれると信じたのだ。


リアナもまた、王子の手の温もりを感じ、心の奥で

決意を固める。森を守る者として、王子を信じる

覚悟。二人の絆は、外圧に負けず少しずつ強く

なり始めた。


夜の森は静かで、二人の息遣いだけが響く。

月明かりが差し込み、二人の影を長く伸ばす。

友情を越えた想いが、まだ小さくとも確かに

芽生えていた。


王国の圧力が二人を試す中、森の中の秘密の時間

は、互いの心を守る場所となる。セリオとリアナ、

二人だけの絆が、少しずつ未来への道を照らして

いたのだった。



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