第10話 運命の結び
森の朝は澄み切った光で満ちていた。
セリオ王子は深呼吸し、胸の奥の緊張を
落ち着かせる。今日は、リアナと共に未来を
歩む決意の日だ。
「森の精霊たちも祝福してくれるだろう」
王子は小声で呟き、森の小道を歩き始める。
木々の間に差し込む光が、銀色に輝く彼女の
髪を照らす。
広場に着くと、リアナが待っていた。
柔らかい微笑みと、少し緊張した表情。
王子の胸は高鳴る。彼女もまた、今この瞬間
を心待ちにしていた。
「おはようございます、セリオ」
リアナの声に、王子は思わず微笑む。
「おはよう、リアナ。今日……君と誓いを
立てたい」胸の奥で誓いの言葉が温かく
広がる。
森の奥深く、精霊たちの気配を感じながら、
二人は向かい合う。小川のせせらぎが静かに
祝福するかのように響く。
「私は……セリオを信じます」
リアナの言葉は穏やかだが揺るぎない。
王子は微かに息を飲み、心の中で彼女への
愛を確認する。
「僕も君を信じ、守ると誓います」
セリオはゆっくりと手を伸ばし、リアナの
手を握る。触れた瞬間、二人の間に温かい
光が差し込むような感覚があった。
森の風が木々を揺らし、葉の間から朝日が
差し込む。小鳥たちの歌声も加わり、二人を
祝福するかのようだった。
「私たちは……ずっと一緒に歩いていけますね」
リアナは目を細め、王子の手を握り返す。
「ええ、約束です」セリオも微笑み、強く手を
握る。
二人は森の中央で、互いの存在を胸に刻む。
友情を越えた絆、信頼を経た愛。誤解や試練を
乗り越えた二人の心は、一つに結ばれていた。
王子はゆっくりと膝をつき、リアナの目を見つめる。
「これからも、君と共に森を守り、都を
見守り、共に生きていきたい」
リアナは静かに頷き、涙を浮かべる。
「私も……あなたと共に」
その言葉に、森の精霊たちも微笑むかのように
木々がそよぐ。
二人は手を取り合い、森を歩き出す。
小川のせせらぎ、鳥の囀り、柔らかな光――
全てが二人の歩みを祝福する。
王子は時折、リアナの髪に触れ、頬に
そっと手を添える。リアナも微笑み返し、
手の温もりを確かめる。互いの距離が完全に
近づき、心も体も一つになった瞬間だった。
「これからの道は長い」セリオは静かに言う。
「でも、君とならどんな困難も乗り越えられる」
「私も同じです」リアナは笑みを浮かべ、
王子の肩に軽く寄り添う。森の光が二人を
包み込み、未来への希望を映す。
王国も、森も、外の世界も、二人の愛を
否定できはしない。誤解も外圧も、今は
二人を強くする力に変わったのだ。
小川のほとりで、二人は互いの手を握り
直し、心の奥まで見つめ合う。言葉はいらない。
視線と呼吸だけで、全てを共有できる。
森の風が、二人の影を優しく揺らす。
光と影が交差し、未来の道を静かに照らす。
誓いは固く、愛は深く、運命は二人を結ぶ。
「ずっと、一緒に」王子が低くつぶやく。
「はい、ずっと」リアナも答える。
森の中で、二人の運命は完全に結ばれたのだった。
--完--




