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ヒャッハーはどこ?ここ?

「うわぁぁぁ!」「まってよー!」「それわたしの!」「わたしのだもん!」「うるさい…」


部屋に入ると子どもたちはみんな各々の行動をとっており、泣く子もいれば追いかけっこしてる子、物を奪い合ってる子たちや耳を塞いで部屋の隅に居る子とまるで幼稚園のような状況だった。


「バルモンドさん、これ勉強会できるんですか?すごいその…」

「ハハハッ!大丈夫です。バルカならやってくれますよ!なんたってうちの子は天才なんですからね」

「ルーシャさん安心してください、これでも僕結構頭は良いので大丈夫ですよ」


母さんはその部屋を見て不安になるがバルモンドさんは笑いながらバルカ君の肩を叩き、バルカ君は胸を貼りながらそう言った。


「そう、ですか。じゃあうちの子もよろしくお願いします。」

「任せてください」


そうして母さんは俺にここでいい子にしている事と昼頃には迎えに来る事を言って帰っていった。


「んじゃあバルカあとは頼んだぞ?俺は書斎に居るから何かあったら言いなさい」

「うんわかった。ありがとう父さん」

「…パパでも良いんだぞ?」

「早く仕事に戻ろ父さん?」

「そうだな…」


とぼとぼと書斎へと消えていく村長さんに少し可哀想だなと思いつつも俺は近くの耳を塞いでいた男の子の近くに座った。


「よろしくー」

「え?うん、よろしく?」


その後、バルカ君は勉強会を始めるのだった。

それから2日後、まぁ子ども、それもまだ幼い子に勉強なんてできるはずもなく難航しているのは当たり前のことだろう。

それでも勉強ができる子も居る、そしてそういった子をバルカ君は優先的に教え始めたことで目でわかる程出来ること出来ない子との差が現れてしまった。


「だからこの魔法言語はこうして火に変換できるってことなんだ」

「なるほどぉ!」

「じゃあ風は!?」

「風だと…こんな言語が━」


勉強会では最初こそ全員に教えていたが今や教える子と放置という名の放棄している子で別れていた。


「カルー」

「なにー?」

「あおいはなみつけた!」

「すごい!ぼくもね!ぼくもいろちがいみつけた!」

「おー!すごいきれい!」


まぁ別れたって言っても俺と耳を塞いでいた男の子、タタだけなんだがね


「ちょっと君たちね!せっかくバルカ君が教えてくれているんだからちゃんと聞きなさいよ!」

「だれ?」

「なっ!アルカよ!!信じられない!人の名前を忘れるなんて本当にバカなのね!」


2人でほのぼのと楽しんでいると横からうるさい女の子が乱入、タタが名前を聞くと目を見開いた後睨み付けながらそう言ってバルカ君の方へと戻って行った。


「あれなに?」

「さぁ?きにしないほうがいいやつだよたぶん」

「わかった!」


そしてそんな感じで過ごして数年が経ち、俺とタタはこの世界での成人、13歳になった。


「タター?起きろー」

「ちょ!?カル!?なんでカルが俺の部屋に!?」

「タージさんに案内されたから?」

「母さん!?何してんの!?」

「あらあらー良かれと思ってよぉ?」

「何がだよ!カルもちゃんと断れよ!」

「え?なんで?」

「いやそれは、だな…」


赤面しながらもモジモジとするタタに俺は男のモジモジって誰得だ?と思いつつ外で待ってると言って部屋を出た。


「お!カルちゃんじゃねぇか!」

「俺は男です。」

「あらカルじゃない!彼氏さんを待っているのかしら?」

「俺は男ですよ?」

「カル!今日こそ俺と!」

「性別上でも個人的でも無理ですお帰りください」

「カルちゃん!はぁ、はぁ、あぁ今日も可愛いなぁ」

「見んな来んな帰れ変態」

「俺だけ辛辣じゃねぇ!?」


タタは好青年になりカルは美少女?美少年?になって村の人達からはある意味アイドル的存在になっていた。


「お待たせ行こうぜ」

「おー」

「腕を上げるカルちゃん可愛いよぉ」

「「消えろ変態」」

「酷い!」


変態を撃退し2人で村の囲いから出る。


「んじゃあタタ、いつも通り軽く打ち合おうよ」

「了解、でも不思議だよな?」

「ん?何が?」


カンカンと互いに木の棒で打ち合いながら会話をする。


「だって普通ならカルにこれ程の力があるとか有り得ねぇだろ」

「そうかな?それを言ったらタタだって同じでしょ?」

「それもそうか」


互いに笑いながらやっていると森の方からドガンッ!と大きい音が響いてきた。


「おーやってるやってる痛ッ!」

「よそ見しないー、さっきの音ってバルカ君達だよね絶対」

「それしかねぇだろ?この村であんな大きい音が出せる奴を俺はあいつら以外知らねぇよ」

「確かに、俺も知らないや」

「だろ?」


そんな時だった。

村までの道、遠くの方から何かがこの村に向かってくるのが見えた。


「ん?あれなんだろう?」

「あれ?」

「うんほらあの黒いやつ」


そう言ってカルは指を指しタタも目を凝らして見た。


「んー、さぁ?でもこっちに向かってるってことはわかったぜ?ほらさっきより見えるようになってきた。」

「あ本当だ…馬?」

「馬だな…でも商人では無さそうだ」


こちらに向かってきているのは馬に乗った人でここに来るのは商人くらいなのだが向かってきている人は馬車を引いてきているようには見えない


「とりあえず無視しよ?俺達が気になっても仕方ないし」

「だな」


そして俺たちはいつも通りに棒を撃ち合っていると馬を走らせ鞄を持った人が焦った顔で村へと入って行った。


「あの人の顔みた?」

「え?わりぃ見てなかった。なんかあったのか?」

「なんか焦ったような顔をしてたんだよね」

「へー、気になるのか?」

「いや別に?」

「なんなんだよ…」


苦笑いするタタにごめんと謝って打ち合いを再開する。


ただこれがこの村で最後の日常だとはこの時2人は知る由もなかった。

ヒャッハーがなかった。

いつになったらヒャッハーはあるの?

そういう場面がまだないのだぁ!

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