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転生した。
男はその事を母親から生まれた瞬間理解した。
「…(ここは…どこだ?)」
「「んー?」」
目に映るのはぼやけた視界、そこには黒い物体が2つ目の前に映っていた。
「…(わからん。だけど転生したってことは分かる。なら!やることは1つ!!)」
「泣かないわね?」
「大丈夫でしょうか?少しおしりでも叩いてみますね」
1つの影が自分を持ちあげる。
「…オギャー!オギャー!!(その前にまずは泣かないとだ、赤ちゃんとは泣く生き物だからな!)」
「良かった泣いたわね、安心したわ」
「えぇ、ではガスさんを呼んできますね!きっと待ち望んでいることですから」
「ふふ、えぇお願い」
2人の声はノイズで聞こえない、姿も朧気で見えないがそれでも自分の母親が誰だかわかる気がする。
「うー(多分最初に俺を抱えてたこの黒いのが母親だ、つまりもう一人は父親?にしては体格が女性寄り…つまりメイドって事か!?つまり俺は貴族の可能性が高い!これは良いスタートダッシュが決められそうだな)」
それから1年後、はっきりと目が見えるようになった俺が見たのは素朴な家に植物を使った茶色い服、見るからに貴族とは程遠い風景だった。
「うー(貴族ではなく平民だったか)」
干し草と敷物で作られたベットに横たわりながら周りを見渡す。
「カル?何が気になるものでもあるのかしら?」
「あぅー(まぁいいや、別に平民だろうと貴族だろうと俺がやりたい事をするだけだしな)」
1人そう考えていると母親のルーシャは首をかしげながらもまた仕事に取り掛かった。
ルーシャがしているのは編み物で、干し草を編んで作る入れ物や敷物をしている。
今やっているのは大きさからして敷物だろう。
「それにしてもカルはあまり泣かないから助かるわ、まぁほかの親達からは質問攻めにされてて少し疲れるけど」
「うー、おぎゃあ!!あぁぁ!(まぁ精神年齢が年齢ですし?そんなことよりお腹空いた。)」
「あらあらどうしたのかしら?…ご飯かしら?」
泣いたことで今している仕事を1度止めてからこちらに駆け寄って俺を抱っこするルーシャ、すぐに理解し授乳をした。
「…けふ(この苦行もそろそろ終わりか?歯もちゃんとしてきたし)」
「んー、歯もそうだし噛む力も強くなってきたわ、そろそろ乳は卒業ね」
それから時間は過ぎていき外が薄暗くなってきた辺りで父親が帰ってきた。
「ルーシャ!カル!今帰ったぞ」
「あなたおかえりなさい」
「うー(やっぱりいつ見ても父親はザ農民みたいな見た目だな)」
父親のザガルの焼けた肌にクワを担ぐ姿を見てカルはそう思った。
「それよりルーシャ聞いてくれよ、どうやら村長のとこの息子がヤバいらしいんだ」
「え?それはどういうこと?」
「なんでも2歳にしてもう意思疎通が出来るらしい」
「まぁ!すごいわ!でもその話本当かしら?私2歳で意思疎通が出来る子なんて聞いたことないわよ?」
「…(2歳で意思疎通か、これはあれか?転生者が?まぁどちらにしても俺には関係ないか)」
それからも順調にカルこと俺は赤ちゃんになりきりながらも成長していき年は5歳になった頃、夜てている時だった。
不意に突然変な感覚が身体中を巡る感覚を感じた。
「っ!?な、なんだ?」
その正体は魔力と呼ばれる物であることを朝母親に教えてもらうのであった。




