うたかたの王国
使った石鹸の上に泡がいくつもできている
中でもひときわ大きいのが異彩を放つ
言うならば石鹸国の王様だ
小さな泡たちが周りでかしずいている
でもこの王国は文字通りうたかたの夢
いつか弾けて何も残らなくなる
僕の記憶からも消え去ってしまう
しかしまた別の日、石鹸の上に泡がいくつもできる
同じような泡だけど違う泡
やはり、大きな泡がでんと乗っている
それを守るよう周りに侍る小さな泡たち
すると僕はまた石鹸国のことを思い出す
もうこの前の王国は滅んでしまって、別の王国が台頭しているのだろうか
それとも、この前の王国が残っていて同じ名前の王が後を継いだのだろうか
あなたは何世なのですか?
その方たちは近衛兵?
でもやはりこの王国もうたかたの夢
いずれは何もかも消えてなかったことになる
僕はふたたびすべてを忘れる
そしてまた同じような泡を見るたびに思い出す
今の王が何世なのかも分からない
石鹸上に現れるうたかたの王国を