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【ダークファンタジー】黒剣遺言: Monument bleuの逆襲  作者: トシマコフ
1章ギルド再結成編
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第三話「血の洗礼、サブゼとの戦火」

ハイネの外れ、東の街道沿いには古びた見張り塔があった。

 かつては王国の検問所だったその場所は、今やただの廃墟。

 だが、その廃墟に“音”があった。


 ──くちゃ、くちゃ、くちゃ。


 指で何かを潰す音。

 血のついた鉄片が床を転がる音。


 「うふふ……うふ、ふふふ……」


 サブゼ。

 通称“指名手配狩りギルド”。

 その幹部の一人──メイグルは、目の前で膝をついて震える老人の耳を弄びながら、楽しそうに笑っていた。


 「いい声、出るじゃないのぉ……♪ 次はね、指……何本いけるかな?」


 そこへ、足音。


 ──ザッ。ザッ。


 空気が変わる。


 「……やめろ」


 低く、凍てつくような声。

 廃墟の入口に現れたのは、黒いマントを纏った男──ダーク・アルコホル。

 その後ろにはジル、ロイヤル、そして白髪の少年──ホワイトがいた。


 


 「へぇぇ? 誰かと思えば──あぁん? あんた……まさか、“本物”?」


 メイグルの目が見開かれる。


 「黒き剣……ダーク・アルコホル……! マジで生きてたんだぁ!? やっばぁ……超最高!」


 舌をペロリと出し、メイグルが血塗れの手を振る。

 「でもさあ、俺たち、“手配賞金首”には目がないの。あんたら、死体でもいいからもらってくね!」


 


 ──瞬間、爆ぜるように殺気が弾けた。


 ジルが前に出ようとした時──ダークが手で制す。


 「ジル。下がれ。ホワイトにやらせる」


 「……いいのか」

 「戦うことでしか掴めねぇ強さがある。こいつにはその資質がある」


 ホワイトは一瞬、驚いたように目を見開いた。


 「僕が……?」


 「怖いか?」


 ホワイトは、唇を噛んだ。

 震える手。早まる心音。

 でも、目は──折れていなかった。


 「やるよ。僕は、もう誰かが傷つくの……見てられないから!」


 


 ホワイトが駆ける。

 その姿に、メイグルは嘲笑を浮かべる。


 「ガキが……舐めんなァッ!」


 ナイフが、ホワイトの顔を狙って振り下ろされた。

 だが、その刹那──


 


 ──カチリ。


 ホワイトの中で、何かが“回った”。


 


 身体が勝手に動いた。

 ナイフをかわし、肘で腹を打ち、すぐさま後ろへ下がる。


 「なっ……お前、何者だ……!」


 「……わかんねぇよ。けど──止まれないんだ!」


 


 殴る、蹴る。

 その一撃一撃は拙くても、想いがこもっていた。


 そして、隙を見て──


 「ジル、今だ!」


 「了解」


 亜空間の裂け目から、鋭利な刃がメイグルの背後に現れた。

 ──ズシャッ!


 声すら上げず、メイグルの身体は崩れ落ちた。


 


 「……お見事」


 ロイヤルが呆れ顔で言う。


 「マジで……あの年でここまでやるか?」


 「ホワイト」

 ダークが、静かに近づいた。


 「その歯車──お前の力だ。いつか、その“意味”がわかる時が来る。だが……その力を、どう使うかは、お前次第だ」


 


 ホワイトは、ぐっと拳を握った。


 「俺、守りたい。……誰も死なせたくないんだ」


 「……上等だ」


 


 ──こうして、少年は“血”を知った。

 剣に、痛みに、そして命に触れた。


 その日、歯車は初めて“確かに”回り始めたのだった。


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