回帰編 第十話「名を捨てた者たちの再起」
──それから、七年。
Monument bleuの名は、歴史の隅に追いやられた。 王国の布いたプロパガンダによって“英雄”は“反逆者”となり、そして“忘却”された。
人々の記憶の中で、そのギルドはすでに“死んだ”。
「ダーク・アルコホル? ああ、もう死んだんじゃないか?」 「ジルってやつもいたな。あの連中、まとめて処刑されたって噂だろ?」
都市の酒場、港町の船上、旅商人の口からも、その名は過去形で語られていた。
──各地。
各国に散ったギルドの仲間たちは、沈黙の中で牙を磨き続けていた。
鍛冶都市バドワ──ボンドは地下炉にこもり、 「ダーク……お前が動く日が来ねぇなら……俺が仕掛けてやる」
魔導砂漠──ロゼが一つの塔を沈黙させた後、 「貴方の動きを待つのも……そろそろ限界よダーク」
剣士の修行地──ムサシが岩を真っ二つに割り、 「あのバカ……何年、寝てやがんだよ」
幽界の森──キロネックスが死者を操りながら、 「魂を止めすぎると、腐る……」
魔獣境界──ムーンが狼と並びながら、 「団長……早く、呼んでよ」
山岳祠──インペリアが空を仰ぎ、 「力なき強者は、ただの虚像だ。証明しろ、団長」
隠れ村──ロイヤルがエルフとの交渉の最中、 「……なぁ、俺たちって、もう付き合ってる?」
──そして、誰よりも沈黙を貫いていた男。
深い森の奥、誰も知らぬ隠れ里。 そこにいたのは、黒衣に身を包んだ一人の男──
ダーク・アルコホル。
「……七年、か」
炎の前で、彼は立ち上がる。
その背には、埃をかぶっていた“かつての剣”。
「ジル、行くぞ」
ジルが応じる。「長かったな」
ダークの目に、静かな炎が灯る。
「世界に、もう一度──名を刻む」
──ここから物語は、第一章・第一話へと繋がっていく。 ──再起の鐘が、今、鳴り響く。




