回帰編 第九話「運命を越える者たち」
──ビア王国・王都。
巨大な魔導映写装置から、世界中に映像が発信された。
「──我が王国は、かつて英雄と讃えられた者たちに裏切られた」
玉座に座るのは、ニンカシ・ビア。 その傍らには、聖王騎士団の一部精鋭が控えていた。
「ギルド“Monument bleu”。彼らは王を謀殺し、王族と国家の安定を脅かす反逆者である」
世界中の都市に、顔写真と情報がばら撒かれる。
【指名手配】
【反逆罪:ギルドMonument bleu 全構成員】
【賞金:命の価値に見合う対価】
都市の壁、船の帆、交易紙にまでその名は刻まれた。
「この国はもう、“正義”の意味を喪ったな」
──離れの廃教会にて。
ジルが静かに呟く。
「だが、この世界の“運命”を作ってきたのは、いつだって正義ではない」
ダークは、焚き火の炎を見つめていた。 その眼には、怒りでも憎しみでもなく、“復讐”の覚悟が宿っていた。
「世界が俺たちを敵に回すなら、それでも構わねぇ」 「生きて、守って、証明してやる」
ジルが剣を手に取る。 「俺たちの存在こそが、“真の証”だ」
ロイヤルは傷を癒しながら、苦笑する。 「賞金首ね……俺、ちょっと人気出るかな?」
「……俺とジルは姿を消す。これからしばらく、名前も顔も捨てる」 ダークが立ち上がった。
「全員を守るために、まずは敵の目を逸らさねぇと」
──一方その頃、各地。
・鍛冶都市バドワでは、ボンド・アロンアルファが「ギルドの名を汚すな」と挑戦者を一撃で沈め、姿を消す。
・南方砂漠では、ジャンボール・ロゼが魔導の塔を焼き払いながら「賞金首ねぇ」と冷笑し、情報を遮断。 ・辺境の村では、ムサシが刀を背負いながら「刀の収集でもするか!」と旅を再開する。
・呪霊の森では、キロネックス・シンが死者の群れを従え、「我が力を奪いに来るならば、死して学べ」と敵を蹂躙。
・魔獣の谷では、ムーン・クアールが従魔とともに静かに潜伏し、「まだ時じゃない。ダークが動くまで…」と独りごと。
・山岳の祠では、インペリア・ディクタドールが「強者が俺に来ないなら、俺が狩りに行くまで」と空に拳を突き上げる。
──世界が敵になった。 だが、それでも立ち上がる者たちがいた。
それは、剣では届かぬものを“魂”で超える者たち。
──次回、名を捨てた者たちの【再起の一歩】。




