回帰編 第一話「青き夜明け、誕生の時」
時は遡る──ギルド“Monument bleu”が最盛を迎えていた時代。 世界の混沌を斬り裂くように、蒼き誓いを掲げた剣士たちは、王国中で英雄と呼ばれていた。
その本拠地は、王都の外れに構えられた砦。 今夜は、祝福の灯がともる特別な夜だった。
「産まれたってさ!」 ロイヤル・モンドが、金色の髪を揺らして砦中を駆ける。 「ダークとエリザの子、産声上げたって!」
「へぇ、やったじゃん隊長」 ジャンボール・ロゼが微笑み、長いピンク髪を揺らして歩く。
「ふむ……生命の誕生か。これもまた、鍛える対象だな」 キロネックス・シンは無表情のまま、髑髏の刻印が入った短杖を握る。
「アークって名前いいじゃねぇか。未来に架かる橋、か」 ボンド・アロンアルファは工具ベルトを腰に、仲間たちと祝杯の準備を進めていた。
「うん、きっと強くなるよ」 ムーン・クアールは小柄な身体で、お祝いの花冠を作っていた。
「……全く、騒がしい連中だ」 ジルは窓辺に立ち、外の夜空を見上げる。
「……はっ、今日は騒がしいくらいがちょうどいい」 インペリア・ディクタドールが酒樽を抱えて入ってきた。
「ダークの奴、泣いてんじゃねぇの?」 ムサシが腕を組み、笑いながらも目元をわずかに緩ませる。
──その頃、ダークは個室の中。 ベッドの傍らで、エリザの手を握っていた。 小さく包まれた命。
「……アーク」 エリザが微笑みながら呟く。
「この子は、きっと……世界を変える」
「変えさせねぇよ。俺たちが……変えてやるんだ」
エリザはそっと目を閉じ、静かに子守歌を口ずさむ。
ダークは小さな命を見つめながら、胸の中で誓っていた。
──この子の未来は、俺が守る。
砦の外では、仲間たちが一斉に祝杯を掲げる。
「Monument bleuに、新たな命が加わった!」 夜空に、蒼き星がまた一つ、輝きを増す。
──次回、運命の歯車が回り出す。