第十九話「夢想神技・新技解放」
黒き剣が、放たれた。
「──夢想神技・終ノ式──“想造葬刃・断罪”」
その言葉と共に、ダークの剣から放たれたのは“一閃”ではなかった。
ダークが“想像”した世界そのものを塗り替えるように、 フィールド全体に“黒と白の断層”が現れる。
観客の誰も、動けない。 サブゼの幹部ですら、目を見張っていた。
「くるか……!」 ハーザは構える。 しかし、その瞳には僅かな恐れが混じっていた。
──斬られる。 直感がそう告げていた。
「テメェの怒り、剣から伝わってくるぜ……だが──」
ハーザもまた、剣を振るう。
「サブゼ・刃鬼式“血誓陣”」
血で陣を描き、自己強化を極限まで引き出す奥義。
──交錯。
黒と赤の世界がぶつかる。
空間が“悲鳴”を上げるほどの衝撃。
そして。
──静寂。
数秒後、ハーザが膝をついた。 剣が、砕けている。
「……マジか、よ」
ダークは一歩前へ進み、ハーザの目の前に立つ。
「──ホワイトに、二度と触れるな」
その声に、嘲笑も憎悪もない。ただ、静かな言葉だけがあった。
ハーザは笑った。
「はは……なるほどな……やっぱり、お前が“最恐”だよ、ダーク・アルコホル……」
そして、崩れ落ちる。
審判が震える声で、叫ぶ。
「勝者──ダーク・アルコホル!!」
観客席が大きく沸いた。だが、誰も軽率に声を出せなかった。 その空気が、“本物の死闘”だったと物語っていた。
ホワイトが、わずかに涙を浮かべる。 「……ありがとう……ダーク、さん」
その言葉に、ダークは背を向け、ただ一言。
「……俺はもう、誰も失わねえ」
──次回、ダークの壮絶な過去が明らかに