表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ダークファンタジー】黒剣遺言: Monument bleuの逆襲  作者: トシマコフ
1章ギルド再結成編
18/32

第十六話「剣の果て、譲らぬ誇り」

刹那、二人の剣が交錯した。  音が消え、風が止まる。  舞い上がった砂塵の中、2人は動きを止めない。


 「──アート・イマジネーション」  ダークの足元から、空間に軌跡が走る。  想像した“火”が実体となり、ムサシを焼かんと迫る。


 だが。  「三太刀目だ」  ムサシの全身が沈むように前傾し──  黒閃が走った。


 ──ズシャッ!!


 空気が裂け、炎が消える。  ムサシの太刀が、火ごと想像を切り裂いた。


 「想像じゃ、届かない“魂の剣”ってのがあるんだよ……ダーク!!」


 ムサシの目は怒りと歓喜に染まっていた。


 だが、ダークも後退しない。  その手に宿るのは、7年を超えても消えぬ“仲間への想い”。


 「じゃあ、俺の全部をくれてやる──」  剣に炎、風、雷、すべての“イマジネーション”が重なる。


 「夢想神技──“黒耀・円環エクリプス・リング”!!」


 観客が悲鳴を上げるほどの圧力。  黒き光輪が剣先に浮かび、斬撃が空間ごとムサシを呑み込む。


 ムサシは咆哮を上げた。  「来いよ、アンタの全部を──俺が“それを超える”!!」


 ──交錯。


 閃光、爆風、そして沈黙。


 時間が止まったかのような静寂のなか、立っていたのは──両者だった。


 しかし。  先に剣を収めたのは、ムサシだった。


 「……参ったよ。ダーク、俺が思ってた以上に、強ぇや」


 ムサシの肩に、かすかな切り傷。  対して、ダークの胸にも浅い裂け目。


 勝敗を審判が宣言する寸前、ムサシが手を上げる。  「勝負は……俺の負けでいい」


 場内がどよめいた。


 「でも覚えとけ……まだ“完全”には、許してねぇからな」


 ダークは笑った。  「知ってるさ。次は、お前が俺を超えてくれ」


 観客席のホワイトが、強く拳を握る。


 その眼差しに宿っていたのは、“憧れ”ではなかった。


 ──“決意”だった。


 少年は、次の戦いへ歩き出す。  ダークが残した“黒き夢想”を胸に。


 ──白き歯車が、ついに回転を加速させる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ