表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ダークファンタジー】黒剣遺言: Monument bleuの逆襲  作者: トシマコフ
1章ギルド再結成編
11/32

第九話「集え剣士たち、試し刀の予兆」

「……伝説の太刀、『月哭ノげっこくのやいば』が賞品だと?」


 焚き火が消えかけた夜明け、ロイヤルの声が周囲の空気を変えた。


「カラドって中立都市でな。五王国合同で開催される剣術大会の目玉賞品らしい」


 ロイヤルは情報屋仕込みの帳面を広げ、熱のこもった眼差しで言葉を継いだ。


「この太刀、ただの伝説じゃない。“月の記憶を斬る”って異名がある。ムサシが現れないわけがない」


 


 その名に、ダークの眉がぴくりと動く。


「月哭ノ刃……ムサシが興味を示すには、十分だな」


「よし、出よう」

 ジルが静かに立ち上がる。「ホワイトも一緒にな」


「僕……!」

 ホワイトは思わず拳を握りしめた。「出ます。絶対、勝ちたいです」


 


 こうして、一行は剣士の聖地と呼ばれる都市──カラドへ向かった。


 


 ◆


 


 剣の都・カラド。

 中央広場には巨大な剣のモニュメントがそびえ、観客席はすでに各国の貴族や騎士たちで埋まっていた。

 市街地の一角には大会登録用の帳場が設けられており、各地から集った剣士たちが行列を作っている。


 


 「見ろ、あれ“首斬りのユーグ”じゃねぇか……」

 「ほら、あの仮面……“灰の仮面アッシュフェイス”のメルグだよ」


 物騒な名前が飛び交う。

 その中に、ひときわ異質な気配があった。


 


 ──黒装束。

 ──顔を見せぬ。

 ──サブゼ幹部、複数名──潜入完了。


 


 その奥、仮面を外すことなく出場登録した影が、微かに呟いた。


「……“黒き剣”出てきな……。大会を“処刑場”にしてやるよ」


 


 ◆


 


 夕刻、空がオレンジから紺に変わり始めたころ。


 大会本部の上段席に、一人の男が姿を現した。


 黒い羽織。腰に三本の刀。目を伏せたまま、ただ静かに風を感じている。


「……刀が、俺を呼んでいる」


 風が彼の青髪を揺らす。



Monument bleu──五番隊隊長、ムサシ。

 “剣を求める者”が、ついに姿を現した。


 


 そして、明朝。

 運命の剣術大会が、開幕する──。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ