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「王国経営系のゲームに飽きてきた時、ちょうど転生したので王国を作ることにした。」外伝 ベルデルセン王国 昔話

作者: rama

外伝です。本作も見てね

著:エドワード・テイラー

清書・複製:バスコルト・ビッチャー

販売:ウラジーミル:トルドリック

____________________

前書き


まず初めに、この書物は、この国の建設以来、300年たった今まで未だに制作されなかった童話集を、王国全地域を巡り、10年かけて作成したものである。

まず初めに、王族の祖先の物語、そして語り継がれてきた逸話からまとめていきたいと思う。

おそらくその次に、地方の伝説、言い伝えなどを紹介していくことになるだろう。


第一章 王国の始まり


ある所に、200人ばかりの人里があった。その村は、今までその村を囲うように領土を広げていた、『イヤハルター大帝国』に、多大なる血税を献上することで兵を派遣してもらい、どこからともなく現れる怪物(モンスター)から命を守っていたが、終わりは突然訪れた。広がりすぎた領土を持った帝国は、おぼろ豆腐を乱暴につまみ上げたように崩壊した。「どうすればいいんだ!」「怪物(やつら)は増えるばかりだぞ!」そう村長や村の幹部たちが頭を悩ませているとそこに、イストリクト・ハルターは現れた(諸説あり※)。「私も尽力します。みんなで頑張りましょう!」。彼は多彩な魔法を持っていた。地面を操る《地面操作》傷を癒やす《ヒーリング・ハンド》などなど。彼が持っていた魔法の数は、千にも万にもなるとされている。彼はまず最初に、壁で村を囲った。壁に登り櫓を4つほど作ると、「常時誰かが監視するように」と、自身の部下に言いつけた。そして次に、戸籍を作り、村民の正確な人数、情報を把握した。次に、法律をつくり、人を極力殺さないこと、なにか不安や改善してほしいことがあるときは、村長や村の幹部の方々に伝えること。などを取り決めた。このときまだ、税などはなく、そもそもの話収めていた税の内容は、作物や穀物などの、農産物であった。

ある日、誰もが頭を悩ませる自体が起きた。日照りが何日も続いたのだ。「ハルター、どうにかしてくれないか?」そう村長が頼み込むと、「わかりました。尽力します。」と、快諾してくれたという。

その次の日、ハルターは部下に地面を掘らせ始めた。「なぜ穴を掘らせるんだ!体力の無駄だ!」と、村長が怒鳴ると、「ならば外に出て川をお探しになればいい。それが嫌なら爪を噛んででも見守るか手伝ってください」と言い返されてしまった。その後、地下水が見つかり、村は水不足を免れたんだそう。

しばらくすると、またもや困ることとなった。イノシシ共が田畑を荒らすというのだ。これにハルターは、「では、畑の周りに唐辛子を撒いてください。イノシシが嫌がるはずです。それでもだめならお酢も撒くと良いでしょう。」と農家たちに伝えた。これが見事大当たりし、イノシシに生活を脅かされることもなくなったという。

そして、平穏な日常の中で、また問題が発生した。人口が増え、住居が足りなくなってしまったのだ。ハルターは、部下たちを使役し、一夜で城壁を広げたり開拓したりし、見事問題を解決したと言い伝えられている。そうして、村はとても大きくなり、村長が次代の村長にハルターを推薦した。そうして村長の座を引き継いだ彼は、ここを王国にする、と宣言し、やり遂げたのである(その間の話は語り継がれてはいなかった)。そして都の名前を、妻子の名前から取り、「ベルデルセン」と命名したんだそう。

終わり


王国の起源に触れて


著者本人としては、王国となった経緯を語り継いでほしかったものだと思う。だが、彼のもつ知識は、村人たちと比べても、それを遥かに凌駕すること、その地域の地質を見抜くことへの慧眼は素晴らしいものだと言えよう。現国王にも、それは引き継がれているという期待は淡いものではないと願いたいものだ。

さて、そこから先の国王は、一応の書紀はあるが、いずれも真か否かはとても私の目では見分けられたものではない。だからと言って、名前も記載せずにこの話題を終わらせると、私の首はいとも簡単に斬られてしまうであろう。

初代国王 イストリクト・ハルター

二代目国王 ベラトリックス,H

三代目国王 へリストラクス,H

四代目国王 ヘルサム,タスト,H

五代目国王 インジュラスト,ウェルセルト,H

六代目国王 フリアルア,ボルト,H・・・この国王は女性であったことが書紀からもうかがえる。しかし、その影響か、任意期間は短かった。

七代目国王 アルスフォルト,イドリクツ,H ・・・現国王

と、一通り書き記してみることにする。こうして書いてみると、改めてこの国の歴史300年という長さがわかると言うものだろう。


二章

地方の言い伝えについて


この系統のものは、比較的真偽が分かりづらいものが多い。この国の内、最北に位置するバルアスト地方、東に位置するイスタエリ地方、南に位置するホライスト地方、西の地域を占領する、5つの地方の中でも最大級の規模を誇るエルキサニア地方、そして中心に位置し、王国都を胸に置くベルデルセン地方と別れる内、バルアスト地方では特にその傾向が激しい。それどころか言い伝えの内、推測ではあるが今では7割もの伝承が途絶えてなくなっている。しかしこの本はそのことを嘆くつもりで出そうとした覚えはないのである。

______________

これから、今の今まで残っていた言い伝えの内、1つだけ紹介していきたいと思う。


 国王の意外な弱点 題名「恐れていた物」


ハルター国王陛下が生まれ育ち、そしてこの世から去っていったベルデルセン地方、まだ彼が国王の座について間もない頃、ハルターの事を疎ましく思う幹部たちがいた。「うぬぬ、、どうすれば彼奴を王の座から引き落とす事ができるであろうか、、」と幹部のうち一人が嘆く。もう一人の幹部が、「暗殺、、はだめよなぁ、、」と悩んでいると、最初に喋った幹部がこう言い出した。「そうだ、彼奴のいかにも心細い印象を与えるような一面を我らが目撃し、それを弱みとして握るのはどうであろうか」これには他のものも、「名案であるな、それは思いつかなかった」と、称賛した。「そうと決まれば実行に移すのみだ!」と、それぞれ動き出した。

「どうやら彼奴は甘いものが目に映すのも嫌なぐらいに嫌いならしい」「ならばありったけのケーキ(諸説あり)を用意しようではないか」

そうして、翌日。

「、、!何だこれは!執事に城内で用意するのを禁止していたはずなのに!」と、ハルターの驚く姿を、廊下に飾られている肖像の陰に隠れていた幹部たちはしっかりと見届けていた。「くっくっく、、これから弱みを握られるのも知らずに、、」と、つぶやきながら、王の反応を観察していた幹部たちは驚愕した。自分達の金を使い果たしてまで仕入れたケーキの山が、みるみる内に消えていったのだ。「ハム、ハムッ、くそう美味しいではないか!また私の体に贅肉がついてしまうではないか!バクバク、くそう、やめられない!ハムハムっ」そう言いながら、自らの財産の結晶を瞬く間に消してゆき、去っていくハルターの後ろ姿を、幹部たち一同は口を塞ぐのも忘れてぽかんと眺めることしか出来なかったという。

おしまい


恐れていた物 に寄せて

この話は、国王の持つユーモアや、健康に気をつけて生活していることを表したような話である。ただ、用意したものがケーキであるかについては諸説あり、例えばチョコレートであったり、クロワッサン、焼いた肉などなどがあった。


地方の伝説には独特、かつ面白そうなものや、やってみると実際にそうなり、ヒヤッとしたものなど、様々である。例えとしては、古いやかんに、『エリアグウォーター』(1)を入れ、しばらくしてその水を飲むと、腹痛と脱力感が襲う、というものだ。この言い伝えを試すのはやめておいたほうがよいと実感した。それはそれは想像を絶するような痛みが体内を貪ったものだ。

______________

三章

山の上に君臨するドラゴン族


イスタエリ地方とベルデルセン地方の境目。そこにイルハスタエリ山脈は聳え立っていた。

その山脈は、頂上に到達すると、ドラゴン族になれるという言い伝えがあり、登頂に挑戦し、命を落とすものが相次いでいた。それに困った国王(2)は、山を削り、山の標高を低くすると言い出したと言う。

すると、山から光が降り注ぎ、見事なドラゴンのような翼を持った人たちが降りてきて、こう言った。「我らが長、パイラスタエリ様を打倒することができるのでしたら、山脈は葬り去っても構いません。ただし、それも成さずに大地を削り取るのであれば、神たるパイラスタエリ様から、多大なる罰が下ることでしょう。」

しかし、王は聞きませんでした。部下たちに、「あの怪しい曲者の言うことなど聞くな。心配せずともわしがついておる。」と言い、山脈を削り始めました。

すると、案の定罰は下りました。国中を大地震が襲ったのです(3)。この自身の影響で、たくさんの住居が崩れ、たくさんのひとが死んだと言います。これに国王は、「わしが悪かった。もうしないから、もうこんなことはやめてくれ!」と、ドラゴン族の人々に頼みました。すると、ドラゴン族の人々は、国王の言う事を無視し、帰って行きました。国王は、山脈を崩す工事を即刻辞めさせ、山の麓に肖像を置いた。 次にいつドラゴン族が来てもいいように、別邸を置きました。

それ以来、一度も王族は山脈をどうこうするような計画は立てなかったといいます。


山の上に君臨するドラゴン族 に触れて

このドラゴン族の存在は、いつでも生活に根付いているものだ。著者の幼少期、「早く寝ないと、ドラゴン族が降りてくるぞ」と、よく脅されたものであった。今でも使われているかどうかは、著者も気になるところである。


注釈

(1)エリアグウォーターとは、リトマス紙などで検査すると、酸性を示す水、要するにレモン汁やお酢を混ぜた酸性の水のこと。※この現象本当にあるので、良い子は真似してはいけません。

(2)このときの国王は、二代目か三代目の国王だと考えられる。初代国王は聡明で、人の言うことはちゃんと聞き、それを実行に移すような人だと言い伝えられている。

(3)この自信は実際に過去にあり、オフェールト大地震と呼ばれている。※マグニチュードで表すと6強〜7強ぐらいになる。

___________

四章 猛将


初代国王が国を興した際、多くの戦いが起きたという事実は、歴史に興味を持つ者であれば、周知の事実であると言えよう。そして、戦いに関する書紀に、「ホイリスタス・アンドリア将軍(1)」の名が出なかったものは無く、例えあったとすればそれは偽物であると言うことは歴史家であれば誰でも心得ているものであると思い做せよう。


ホイリスタス・アンドリア将軍とは、初代国王時代、只の二等兵から最も強き猛将の一人へと成り上がった、古今東西稀に見る将軍である。

彼の生没年、二等兵当時の生活などは謎に包まれており、今のところ出身地がホライスト地方の片隅だということしかわからないのである。

彼の屈強さは、数少ない敗戦のとき、逃亡時に殿を務めると敵軍の七割近い量を葬り去った上で生還したという逸話まで残っているほどである。現に彼の出身地、ホライスト地方では、彼の肖像が立っており、アリエスタイト暦での4月3日、そして10月13日に、彼を模した仮面と鎧を着用した人々が家々を訪問するという形で現代に根付いている。

__________


最終章 王の生涯


最後に、初代国王、イストリクト・ハルターの生涯について、まとめて行きたいと思う。


アリエスタイト暦紀元前29年、現ベルデルセン地方南辺りで生誕、その後村で活躍し、イリストリス村から発展し(第一章照覧)、ハルターが28歳の5月23日、建国を宣言した(このときから暦が始まる)。その後紛争や戦争が頻発。長男と三男が死去する。ハルターが42歳の時、紛争が完全な終結となり紛争時と比較すると平穏な日常が訪れる。この3年後、税を施行。そして彼が53歳の時、戦争が完全な集結を遂げ、国が平穏な時代になるとその2年後、息子(次男)に代を譲った。このとき55歳。

その後は特に目立ったことはなかった。

A.T.暦43年、肺炎があることが発覚し、その次の年、A.T.暦44年、この世を去る。

追記

このA.T.暦は、彼の生誕から始まった訳では無いので、注意していただきたい。

__________________

ジャンル:歴史書

料金:820オリスト

この作品は、一部落語の「饅頭怖い」や、秋田県男鹿(おが)市伝統のなまはげを参考にしてます。

歴史の長さに関しては、日本はかなりの例外なので。紀元前から皇位を保った状態で一族が続いてるだなんて日本しかないですから。

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