090 ヨンギツァ5人衆、登場即大ピンチ!
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チェニイのリミッター解除、それはこの先で待ち構えているであろう
大都ジュレーンでの〈大冒険〉…と、あえて言い切ります…その先を
考えたら、避けては通れない儀式なのは間違いないのですが
どうも、その解除を施すにあたって、なにやら面倒な障害が
転がっている(らしい)というのが、オスカー技師の診断でした
…
けどまあ、考えてみればチェニイに施されてる〈ファルスの呪縛〉とやらは、
最初は召喚儀式のとき、そして次は大魔王?ゼイゴスとの対決のときと、
すでに二度も発動してしまったのですから、面倒な障害だかヘチマだか
知らないけど、いまさらアタフタ騒いでも始まらない!
ここは出たトコ勝負で解除して、あとのことは…そンときになって
考えりゃいいぢゃん!…
結構、オスカー技師の指摘というのも無責任、つかテキトーに見えて、案外
いいトコに〈刺さってる〉んですよねぇ
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というワケで、オスカー・ノギス技師の忠告というか指摘も〈一応、忠告は済ませておいたからな〉的レベルでスルーしといて、いざ時計塔プラネタリウム…正しくは〈司巫儀デバイス〉とかいうらしいのですが…を通して、チェニイの〈キューブ〉に施されたリミッター解除の手順は開始されました。
とは言っても、実際には以前、ラッツークの時計塔小屋でリミッター設定を行った、あの時とほぼ同様に…チェニイ自身に不可思議な事態が起こったわけではありません。
ただ…チェニイ自身がそもそも〈精霊術〉を使う手順それ自体をキチンと理解していなかったので、初めて開放する段になって奇妙な身体の感覚がこの後、次々と起こることは目に見えているのですが、それはまた別の話です。
さて、チェニイがオスカー技師の指示に従って、左掌を上に向け差し出すと、中空に固定され浮かんでいたキューブは輝きを増し始め、いきなり六面体の3×3に分割された各面の模様がバラバラに分離しました。
〈こりゃあ、まるで立体絵合わせパズルだな…〉
チェニイの気分も呑気というか、どこか他人事のような感想です。
すると、次に各六面体は、その形状を保ったまま、激しく回転を始めます。
目まぐるしく変形しながら、あっというまに〈各面の色が揃って〉いくのが分かります…。
白、黒、青、赤、黄、緑…
混ぜこぜになった六面体がピタリ…と短時間で合致した…そう思った瞬間に、六面体がおのおの輝き始め、そして〈色〉が消滅した途端に、すう…っと、チェニイの掌へ吸い込まれて行き、空間から消滅しました。
「これで初期化は終了だ。リミッターは解除されたから、あとはチェニイ君の意志で、キューブは自在に作動する」
オスカー・ノギス技師はそう、宣言しました。
「…って言われてもなぁ…この先はどうすりゃいいのか…」
チェニイには、戸惑うしかありません。
「キューブを取り出すときには、左掌を差し出して上に向けるだけでいい。
はい、やってみなさい」
チェニイがおずおずと言われた通りに行動すると、確かに中空には〈キューブ〉がすう、っと浮かんできます。
〈なんとも、奇妙な感覚だな…つか、オレ今まで、こんな操作をした記憶はないぞ〉
と、掌を下に向けたとたん、キューブは半透明化して、そのまま消えてしまいました。
「掌を固定したままでないと、コマンドはキャンセルしたと解釈されて消滅する」
ノギス技師は告げました。
「じゃ、じゃあ…コイツに何か命令するときは」
「同じように左掌でキューブを固定したまま、右手でコマンドを入れる…人差し指が一番使い勝手がいいけれど、他の指でも同様に操作できる」
この後、キューブ・デバイスの基本操作法を10分以上にわたり、チェニイはノギス技師に手ほどきされることとなります。
「じゃ、ここからは実践あるのみだな」
ノギス技師は時計塔ポータルの扉を開放し、先に立ってチェニイたちを招きました。
「実践…って?」
「基本操作のイロハを教えるには、こんな狭い部屋じゃラチが開かんだろう。屋外で実際にコマンドを発動させるトレーニングだ」
チェニイがノギス技師の特訓(?)を受けることとなったのと、ほぼ同時刻。廃都ガドリングに、またしても不審者…いえ〈招かれざる客〉5人組が訪れようとしていました。
これを察知したのは、例によってガドリングを防衛していたエイプ・オム(通称モジャ公)たち…自称ユニオンジャック連隊メンバーでした。
この怪しい風体の5人組は、恐る恐るガドリングへ通じるケモノ道を通って、この廃都まで接近しています。
「やはりキチンとした外交文書を、正規ルートであらかじめ送るべきだったのでは…ないでしょうか、ドレッドさま?」
湖に降り立つ急坂を恐る恐る踏み込みつつ、一列縦隊で進んでいた先頭の人物が、ひそひそ声で後方に話しかけました。
「愚策もいいトコロだ…ネゴトはネて言え、リモネー! こんな危険きわまりない魔女の住処になんぞ、安直に書面を送れるか! こちらの手の内を教えるようなモノではないか」
ドレッド、と呼ばれた屈強な男が大声で怒鳴ります。
「しーっ! 声が大きいです、ドレッドさま」
あわてて、リモネーと呼ばれた…こちらはいささか華奢な風体の人物ですが…あわてて彼を制しました。
「…って言うけどね、ドレッド。手の内を明かすもナニも、我々がこうして、隠密行動で魔都ガドリングに到着すれば同じことだろう? 今さらビビってどうするのだ」
一番背後で、ボソリと呟く人物…この人がいわば〈殿…シンガリ〉役なのでしょうか。
「…まあ、そういう考え方もあるが…だからといって正論をブチあげれば良いというモノではないぞ、ブロック」
ブロック、と呼ばれた男にツボを直撃されたのか、少々バツが悪そうな声色でドレッドがブツクサ呟きます。
「もうすぐ到着、っていうのに、ここまで来て内輪もですもんねぇ…そもそも誰よ、この人をリーダーに推したの?」
4人目の人物が、あきれたような口調で溜息をつきました。声色から推測すると、どうやら女性のようです。
「…ドレッドさま本人が…その…勝手にリーダー役を申し出られて…でも今は、そんなことでモメてる場合じゃないと思います。坂の下にはもうすぐ、水精宮が見えてきますし…」
おずおずと、5人目が言葉を添えました。この人物も、どうやら女性のようですね。
…
〈アヤシイ5人組〉などと風体から考察しましたが、なにせ5人が全員、顔を奇妙な被り物でカバーしているため、その正体は勝手に想像するしかないのです。
少なくとも装束から考えれば、マトモな連中でないことは容易に想像できますが。
「で、オマエら一体ナニモンだ?」
不意に茂みの中から、大声が響き渡りました。
「だ、誰だ!? 名を名乗れ!」
リーダー格のドレッドが、ハンで押したようなお約束の台詞を、声のした方向に向けて叫びました。
けど、こういう場合は、自分たちから名乗るのがルールではないでしょうか?
…まあ事態が事態だから、そんなお約束を語ってみても始まらないか…?
ヌウっ…と茂みをかき分けて出現したのは、見るからに凶悪そうな(と、5人組の目には映りました)巨大な白猿たちです。
「せ、戦闘姿勢を取れ!」
大声を上げたのはリーダー…ではなく、先ほどブロック、と呼ばれたサブリーダー(?)のほうです。
その合図で、一列縦隊で歩いていたメンバーがバラけました。
よく見ると全員、手には各々の得物らしき〈錫杖〉を装備しています。
「いや待て、待つんだ! 勝手に〈火精〉を討つな! 錫杖は、最後の武器だ!」
ここで初めてドレッド、と呼ばれた人物が一同を制しました。
「なぜなら…我々は…」
ここで彼は一息ついて、決めゼリフを口にしました。
「ヨンギツァ戦闘部隊、エゴーファイブだからだ!!」
はあ? ナニソレ?
…残念ながら、台詞は完全にスカされてしまったようですね。まあ、ここで名乗りを上げるのは一応、ルールに則ってるけど…なにせ聞いたこともないグループ名だし…。
巨大白猿の軍団…実は彼らはガドリング廃都を警備していたエイプ・オムたちだったのですが…この妙に澱んだ空気には困惑するしかなく、頭を掻きつつ呟くしかありません。
「マタ妙ナ、ヲ客様が来チマッタヨ…」
こちら側のリーダーは、以前にチェニイ&ミリアと湖の畔で遭遇した通称ユニオン・ジャックですが、ほとほと参ったという表情で、仲間たちの顔を見つつ、相談しました。
「シカタがナイ…姐様のトコへお連れスルシカナイかナ」
さて、困ったのは〈エゴーファイブ〉と自己紹介した、この連中です。
どうやら、彼らが(どういう事情かはともあれ)ヨンギツァ市からはるばる旅をしてきた一行らしいというこは何となく推察できましたが…彼らはココで妙な〈戦闘決めポーズ〉を取ったまま固まったようなので、ここは何かフォローしてあげないと、可哀そうでしょう。
と、そんな澱んだ空気を吹き飛ばすかのように…というか…そのものズバリ!
突然、背後の灌木の茂みを文字通り〈ブっ飛ばして〉大爆発が巻き起こったのです。
「うぎゃあああっ!」
「うおっ!!」
「どあああ!」
「いやああ!」
「ほわ」
決めポーズを作っていた5人組は、思い思いの姿勢のまま散り散りに、灌木へ吹き飛ばされました。
一つだけ確実なのは、この〈ド派手な決め演出〉は、彼ら〈エゴーファイブ〉自身が仕掛けたモノではないということ。
では、誰の仕掛けなのかといえば…まあ、おおよその見当はつくのですが…。
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確かに、これこそヒーローたちの大集合!
に相応しい絵作りになりましたが
困ったのは〈エゴーファイブ〉を名乗り、商都ヨンギツァから
はるばる旅をしてきた連中です
なにせ、心の準備が全くできてないところで、いきなり
〈お約束の〉バクハツが演出されてしまったのですから
…
それはともかくこの〈エゴーファイブ〉の皆さまは、
いったい何の目的があって、この廃都ガドリングへ
いらっしゃったのでしょうね?
次回に続きます
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