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064 ステキな旅の同伴者

 …………………………………………………

いよいよ本格的な冒険の旅が開始され…たと思ってたら、

なんか出だしからスベってるよーな感じが、漂って参りました

ホップ・ステップ、骨折! みたいな~情けない状況 

なにせ如何せん、西北にドーンと聳え立つ山脈に行く手をはばまれ、

しかも西の空は夕刻、茜色に染まりかけてたりしてます

リヒターはしきりと〈凶状旅〉の無謀さ過酷さを訴えてるけど、

んで、ガブニードスは説得に必死みたいだけど

その割に、肝心なチェニイ&ミリアのコンビは呑気そのもの

あと、ペット(ミリア専用)のトト・サンダユウは、

その間どこで、ナニしてんのでしょうね?

 …………………………………………………


 ガブニードスと新参の旅行ガイド・冒険者のリヒターが「いつ山脈を超えりゃいいんだ大論争」で熱く語り合ってる最中、主人公コンビは手持ちブタさんのあまり眼前に広がる山脈の大パノラマを美しく語り合っておりました。

 ロマンに浸ってたワケではなく単にヒマで、することがなかっただけですが。


「ほら見て! 今がちょうど閏八月の翌月でしょ…すると太陽は少し南西の空へ沈むワケ。この角度からだとガラン山脈の影が、まるで荘厳な伽藍のシルエットみたく浮かび上がってきて、メチャ美しくてバえるのよね。おそらく一年で一番ステキな…ってチェニイ、ちゃんと聞いてる!?」

「…聞いてるよ~~」

 夢中で眼前の光景を語るミリアを、明らかにチェニイは適当モードで対応してます。


 チェニイがことさら冷たくなったワケではないのですが、この山脈の先に待ち構えている(であろう?)厄介な出来事を想像すると、彼は憂鬱のムシに取りつかれてしまうのです。せめて山歩きで気を紛らわせれば少しは救われるのだけど、自称リーダーの二人(?)が言い争ってて、一向にラチがあかず旅は進みません…。

 結局は手持ちブタさんとなったチェニイは、凶状旅の装束として準備した臙脂色の重たい〈地精師〉導師服と、一緒に持たされた得物…精霊師必携の〈錫杖〉を何気なしに弄りながらぼーっと時を過ごしています。


「それにしてもチェニイの武器って…なんか全っ然、サマになってないわね~。ムダに長いしデカいし。それより〈スコップ英雄サマ〉ご愛用のタガネとか持ち歩いてた方が、まだ少しはサマになってるんじゃない?」

「余計なお世話だ。山を歩きながら鉱物採掘でもしろってか?」

「ンなこと言ってないわよ。けどねぇ…旅の護衛をさせるには、なんか頼りないのよね~、そんな得物じゃあ」 

 どうもミリア的に他のメンバーは、姫様とボディガード的な扱い程度にしか考えていないようですね。


「そうか! いま思い当たったわ、気が付いた…あたしってば、本当は故郷に戻る途中の〈ドロシー〉だったのよね!」

 なぜか唐突に、ミリアは奇妙なことを口走り始めました。

「…ナニ言ってんだおまえ…」

「だってそうじゃない! 主人公はあたしと、大切なお友達のトト。これで1セットでしょ。そーすると、チェニイの立ち位置は…〈記憶と心をを失ったカカシ〉でキマリ!」

「…はあ~?」

「で、ガブニードスは、そうか〈ブリキのロボット〉がぴったりじゃない」

 チェニイがあきれているうち、久々に〈不思議ちゃん〉モードが復活したミリアは馬力を全開放して、勝手にグイグイ寄せてきます。

「最後に加わったリヒターは…外見も考え方も、ビッタリ〈勇気のないライオン〉よね。これでパーティ全員の立ち位置は決定~♪、パチパチパチ」

「だ・か・らあ……さっきから何のタワゴトをしゃべくってんだオマエは!」

 ついにたまりかねた(ブチキレたわけではないけど)チェニイは大声で叫びました。


「だって…ニザーミアで首席導師様から言わたでしょ。アタシたちはこれから〈ガドの魔法使い〉に会うため廃都ガドリングへ向かってるんじゃないの? おそらくソコで、アタシたちは故郷へ戻る方法を教えてもらえる筈なのよ~」

「………」

 チェニイは絶句して…つかマジで言葉を失いました。

 何のネタに感化されたのか理解できないけど、いまの不思議ちゃんミリアに、何かを語りかけてもムダでしかないようです。


  …………………………………………………

かたわらでは相変わらず、ガブニードスとリヒターの

血沸き肉躍る(ウソです)口論…というより〈小田原評定〉が

延々と続いていますが、今回それは華麗にスルーされ、もっぱら

ミリア姫久々の〈不思議ちゃん〉突入モードで終始してしまいました

ところで、置き去りにされてしまったミリアの〈たいせつなおともだち〉

トト・サンダユウはこの間どうしてたかというと、実はガラン山脈を見渡せる

麓のガレ場の上で、山の背後からひたひたと接近してくる妙な影に気づいて、

必死で危険信号を発し続けていたのです

(全メンバーとも、各々で勝手なことばっかし夢中になってるから、

結果的に彼は気の毒なほど完全シカトされてしまいましたけど)

というわけで、今度こそ本当に〈危機が迫りくる〉

次回に続きます

 …………………………………………………

「ザネル」は毎週月・水・金に更新いたします 

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