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050 やっぱ責任取らされるんですね、 わかります

 …………………………………………………

というワケでニザーミア学府院、正真正銘の〈奥の院〉地精棟でついに

首席地精導師オービス・ブランと対面したチェニイ一行

…もっともチェニイとは一度、使徒召喚の儀式(およびドサクサ騒動)の

際に出会っているのですが、まあ本人にその記憶はないでしょうから

これが初対面には違いありません

実のところ、使徒召喚を袖にして騒動を起こしトンヅラしたのですから、

叱責とか文句とか、もろもろ投げかけられても仕方がないと覚悟していた

チェニイですが、なぜかそんな話は一言もなく…逆に拍子抜けする有様です

 …………………………………………………


「もともと、出自もあやふやな〈サウス・クオーターのゼイゴス大魔王襲来〉などという風評に踊らされ、使徒を召喚して逆侵攻を掛けよう。今こそミザーミア学府院の主導の下、ノース・クオーター大陸の威信を見せつける絶好の機会なのである!」


 オービス・ブラン首席導師は大袈裟な素振りで拳を振り上げ、芝居がかった台詞を叫びました。

 そして力なく振り上げた拳を下ろすと、ふふふ…と自嘲気味に笑いながら続けます。

「シナリオを描いたのは、確かに我々の四席火精導師トープラン・オストで、おそらく仕掛けた黒幕ははUNトラスト外交官だろうが、少なくとも私はそれを止めなかった」

 しばし沈黙がありましたが、誰もここで発言しませんでした。


「それどころか、私は…使徒召喚するために、欠けかいのないものを〈憑代〉として差し出したのだよ」

 オービスはそう続けました。

 なぜか、チェニイの目だけをじっと見つめながら。

 チェニイも、その目を見つめ返しながら、再び先ほど感じた〈離人感〉が脳裏でリフレインしてきました。なぜだろうか、この初対面の筈のニザーミア代表者がどうも、大昔に出会った人物のように思えてならないのです。

 とすると、このそんな気持ちを覚えるこのオレは誰なのか、どこから来たのか…そして何故、肝心な自分の記憶には鍵がかかっているのか…?


 チェニイは〈憑代…ヨりシロ?〉などという言葉の意味は知りませんでした。

 ヨリシロ。 妙に不気味な言葉の響きだな…程度に思うだけで。

 ただ、ミリアだけがその言葉に反応して目を伏せました。そしてガブニードスは…能面のような顔で、何の感情も表に出しません。


「UNトラスト…って連中のことは…自分は何も分らないけど、その…妙な陰謀があると感づいてたのなら、この召喚を中断することは出来なかった、のかな?」

 オマエがソレを言うかぁ? とツッコミ返されるのは承知のうえで、それでもチェニイはオービスにあえて問いました。


「チェニイ君は〈ファルス〉という二つ名を、当初から大変に忌み嫌っていたね」

 チェニイは頷いて応えました。

 なぜか虫唾が走るほどに…たしか、あれはキューブを渡された時だったな…誰かからその名を連呼されて、いきなり胸から怒りの炎が噴き出して、気づいたら大講堂の祭壇を吹き飛ばしていたんだっけ。

「けれど、その二つ名は実のところ〈使徒〉自身が命名しなければ発動しないのだ。それが召喚の基本則なのだよ」

「…そ…んな…ばかな…」

 チェニイには、二の句が継げませんでした。

 なんで自分が決めたことに反応して…自分でブチ切れなきゃいけないんだ。

 おい、オレって…どんだけバカ野郎様なんだ? と自分を罵ってみても始まらないな。


「それに…あえてもう一つ、基本原則をお伝えしておかないといけないな。どうやらチェニイ君は、肝心の記憶をなぜか封印されているようだから。

 何度か〈使徒〉という文言を、このザネル世界では聞かされたと思うが、君はいったい、誰の…いや何者の〈使徒〉なのか、とは考えたことがないのかね?」

 チェニイは、自分自身が〈使徒〉なのだと認めたこと自体がなかったので、そのような考えすら頭に浮かびませんでした。


「我々が召喚した〈使徒〉は、君自身が先ほど口にした〈UNトラスト〉から派遣された使徒様、そのものなのだよ」

 オービス首席の言葉は、文字通りチェニイにグサリ、と〈刺さりました〉。


  …………………………………………………

次回に続きます

 …………………………………………………


「ザネル」は毎週月・水・金に更新いたします 


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