035 暁の死線アイリッシュ
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前回、見方によってはチェニイ様が「悪い魔法使いの口車に乗せられ」
身体に妙な細工を施されそうになってる…ようにも見えましたね、
あるいは「悪の組織に人体改造されそうだった」とか「毒リンゴを食わされそうに
なってた」パターンにも…似てないコトもなかった?
ただ、ドラマは冒頭に「悪者の企み通りコトが進んでしまう」のはアリガチ、
少なくとも一度は…(あとで大逆転の可能性は考えられるけど)
それは本編も一緒です…けど別に「ガブニードスって、実は悪いヤツでしたー!」
と現時点で明言してるワケではありませんから念のため
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「ではチェニイ様、右手を拝借いたします…掌を上に掲げて頂けますか」
この場はガブニードスに預けるしかないようだな。とチェニイも覚悟を決めます。
〈…なんでオレが、こんなことせにゃならんのだ?…〉
覚悟は決めたものの、チェニイの心中にはやはり不安がよぎります。
〈けど今回ばかりは、そんなことを言っていられる状況でもないようだし〉
正直言って、このウロンな男に頭の中身を預けるのは…いえ正確には〈頭の中身に直結しているデバイスを弄らせるのは〉相当の決意を擁しますが、実はチェニイ様はそれ相応のクソ度胸の持ち主でした。
加えて、あまり物事を深く考えない〈出たとこ勝負〉の気性も持ち合わせていました。もっとも…のちに分かることですが…その性分が結果的に、彼自らをこの異界に〈召喚〉つか、吹っ飛ばしてしまう原因をも作ってしまったのですが、それはまた別の話。
やがてチェニイの右掌が仄かに輝き始め、そこから立方体の〈キューブ〉が、ゆっくりと実体化し始めます。
それと軌道を一にするように、背後の…チェニイ曰く〈プラネタリウムのバケモノ〉デバイスが動き始めます。
「キキキキ~~~イ! グルルル」
傍らで、恐ろしい唸りを上げたのはトト・サンダユウでした。
「な、何なんですか…いきなり!?」
今にも飛び掛かりそうな剣幕に、ガブニードスは驚いて振り返ります。
緊急停止!?
「どうしたサンダユウ?」チェニイも只ならぬ気配で我に返りました。
「ちょ…ちょっと…このペット、外に出してくれませんかね。いま、大事な時なんですから邪魔をされると…もう、時間がないのに」
「ふん、ふん…う~~ん」チェニイは、サンダユウの唸りに耳を傾けています。そういや、コイツの言葉が解読できるのは彼だけ。ガブニードスにすればケダモノが唸ってるようにしか聞き取れません。
「ガブニードス…この作業って、けっこう手間かかるのか?」
「かかりませんよ、ほんの数秒程度でデータ転送は完了します」
「…だとよ。もうちょっとだけ、待ってろよオマエ」
「…どういうことなんですか?」
二人…じゃなく一人と一匹のやりとりが理解できないガブニードスに、チェニイは事情を説明しました(細かい経緯は省略したけど…だって彼にもよく分からないから)
「そうなんだ、オレたちはさっさと、ミリアを探しに行かにゃならないからな。あんまし時間をかけられない。コイツも痺れを切らして、催促してやがる」
ガブニードスはコンソールを再起動するためにいったん操作を打ち切って、その後…考えに耽っています。そして…何かしら意を決したように、チェニイに語り掛けました。
「そうですか、ミリアさんを探しに向かう、のですか」
先ほどラッツークの〈ビストロ姫ちゃん〉にガブニードスが飛び込んできたときにチェニイが感じた、妙にミリアに対して冷淡で他人事のような響きが、また蘇ってきました。
「どう…でしょうかねぇ…ミリアさんには、ミリアさんなりの、何か複雑な事情がおありだと思うのですが」
「え…オマエ、何が言いたいんだ?」
ここで改めて、ガブニードスはチェニイに向き直りました。
「あえてチェニイ様がお気を悪くしたら申し訳ないのですが…本当に…あえて一般論として申し上げるのですが」
「………」
「俗にも…去る者は追わず、というコトワザもございます。
もしミリアさんがこのまま、戻って来られなかったとしても、
あえて、そのままにして差し上げる、という選択肢も、あるのではないか…と」
チェニイの傍らでは、トト・サンダユウがずっと、低く不気味な唸り声を上げ続けていました。
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まさかの展開、というべきでしょうか、ガブやんの裏切りによって
次回ガブニードスvsトト・サンダユウ+チェニイの、暁の死闘がここにゴング!
…
と、展開するワケではないのですが、雲行きが怪しくなってきたのは確かです
余談ながら「暁の死線」という物語は、深夜から始まってタイムリミットは暁の…
夜明けまでです。その時刻には故郷へ戻る長距離バスが発車しますから
本編では、そこまでドタバタした慌ただしい話にはなりません
次回に続きます
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