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034 節子、それ時計塔やない!

 …………………………………………………

前回の流れでは突然チェニイ様はミリアのペット=トト・サンダユウと対決モードに…!

けどペットと対決になったからといって、この場合ナニが問題だというのでしょう?

・オマエとはそもそも「敵同士」、いまさら何を話し合うのか? もしくは、

・ぢゃ、この場を借りて「男同士、拳で(あるいは牙で?)語り合おうぜ」? それとも

・言っとくけどキミね、目上の人と話す時は、ちゃんとした敬語を使いなさい。

 それって人としての礼儀でしょ!(あ、コイツはケダモノだった)

とかでしょうか。

 …………………………………………………


「なんだオマエ人と話ができるのか?…さては今まで、ずっと隠してやがったな?」

 という疑問がチェニイにすれば先決、だったでしょうか。

「ナニ言ってやがる、以前からオレがずっと話しかけてたのに、オマエが聞く耳を持たなかっただけだろ!」

 いきなりトト・サンダユウは息もつかせず捲し立てます。

 

〈そうか、コイツが以前からキーキーフーフー、奇妙な叫びを上げてたのは…アレはそういう事情だったのか? いや待てそれ以前に…なんでオレ、ペットのオマエと突然、会話が可能になったんだ…?〉

 ケダモノと心を通わせることが可能になった、というのはスキル的には悪くないのですが、相手にもよりけり。この場合宿敵が相手だと、微妙な関係です。

「〈ペット〉とはなんだよ失礼な? オレはオマエに飼われてたワケじゃねえ…そもそもオレ様は誇り高き〈チェムナ族〉の末裔だからな。相手の知能レベルが最低限に達してれば意志疎通ができて当然だったんだよ」

〈んじゃナニか、いまの今までオレの知能レベルが不足してたってことかよ?…いや、そんな話はこの際どうでもいい!〉

「それよりミリアはどこ行ったんだ? いつもオマエ、ミリアと一緒にくっついて行動してたろ。オマエも西沼…とかいう場所まで、羽虫獲りに行ったんじゃなかったのか?」

「いや…さっき〈姫ちゃん食堂〉までは一緒だったけどなぁ…その後ちょっとオレ様は食事中で…別行動を取ってて…」

「あ! そういやずっとテメエ…盗み食いしてやがったよな、ついさっきまで!」

 結局、コイツもミリアとはぐれてしまい、あわてて先ほど、この小屋に戻ってきた…という顛末だったようです。ひょっとするとミリアのことが心配のあまり、気が高ぶったせいで突然、チェニイ様との〈回線〉が繋がったのかもしれません。


〈どっちにせよミリアはその後、行方知れずのままなのか? 少なくとも、その西の沼とやらで現在も虫取りに興じてはいないのは、ほぼ間違いない…〉

「けどまあ…ミリアがどっちへ行ったか、オレ様にはおおよそ、見当はつくけどな」

 サンダユウがフフン! と胸を活からせて語ります。

「ミリアはいま、すっげーイヤな臭気のする〈アソコ〉にいる。オレには感じるんだ。それに…一緒にいるのは〈アイツ〉に違いない。オレ様は一度会った奴の匂いは忘れない」

「…アイツだのアソコだの言われてもなぁ…情報として意味なさないだろ! 場所も人物も全く特定できないし」

「仕方ねぇだろ、ニンゲンどもの使う固有名詞なんざ、オレ様には関係ねぇ」


「チェニイ様、こんな処にいらしたんですか? 探してしまいましたよ」

 ミリア小屋の戸口からガブニードスの声が響きました。

「時間を無駄にはできません。時計塔の準備は整いましたから、早速…って、おや?」

 チェニイとトト・サンダユウが一緒にいるところを目撃した彼は、珍しいこともあるもんだ、という表情を浮かべます。

「いつの間にか、お二人は仲良くなったんですかね?」

「違うぞ! 誤解するな」

「キィ~~~!」

 二人というか、一人と一匹は、ほぼ同時に鋭い声をあげて否定しました。


 チェニイは、急き立てようとするガブニードスに話しかけました。

「あんまし急かすもんだから、ここまでくっついて来たんだけどな、ガブニードス」

 チェニイは彼に従って、時計塔の2階へ上がる梯子に足をかけながら、問い質します。

「いったい何を、そんなに焦ってるんだ? そもそもこの機械部屋で、おまえ何をしようとしてる? ヨールテの親方に断りなく、機械を弄り回していいのか?」

「細かく、説明する余裕もないのですが…あそこをご覧くださいチェニイ様」

 ガブニードスが指し示したのは、日が昇ったイェーガー・シェラ半島の突端。ニザーミア学府院のその先にある奇怪な尖塔…その名も〈ガブニードス・タワー〉。

 何度かチェニイも目にした塔ですが、以前見たときとは、ずいぶん印象が変わっています。

「何だありゃ…日が明るくなったからなのか? 随分とイルミネーションが…派手になってないか、あの塔?」

 いわゆる〈ヤーマの灯〉が、大気と衝突して異様な現象を起こし始めているのです。乱れ飛ぶ一種のオーロラが、おおよそ500メルトから1キロメルト付近まで噴き上がり、乱舞しています。

「アレからチェニイ様を防ぐための措置を、講じておく必要がありまして」


「何だよアレ? 派手に噴き上がってる毒霧みたいなモノは? ヤバいのか」

 チェニイにも、その禍々しさは感じられます。

「いえ、まあ…チェニイ様ご自身には直接の害はありませんし、見た目ほど…実のところこの世界の住人達…ザネル人たちにとっても、別段…害を与える代物ではないんですよ。考えようによっては、〈精霊の源〉が視覚化したものとも言えますから…」

「だったら、大袈裟に騒ぎ立てる必要ないだろ。妙な現象っぽいけど、真っ昼間に打ち上げ花火が暴発してるとでも考えれば、いいんじゃね?」

「いえ、そうではなく…私がこれから準備するのは、この現象で使徒チェニイ様に、妙な〈精霊の発動〉を誘発しないための防止ベント…いえ保護策を、予め講じて頂くためのもの、とお考え頂きたいのです」

〈あ、なんか話がキナ臭くなってきやがった!〉

 チェニイの脳裏には、この異界に〈召喚〉いや〈強制連行〉された、あの日の忌まわしい記憶が蘇り始めていました。


「あの光を凝視してたら、オレがまたまた突然トチ狂って大暴れするかも…とか心配してるのか?」

「さすがにソレはないです…いや、ないと思います…ただ…」

「ただ? ただ何なんだよ」

 ガブニードスはしばし沈黙し、意を決して妙なことを語り始めました。

「チェニイ様は覚えてらっしゃいますか? 召喚された最初に精霊導師…キューブをお渡ししたのは火精導師のトープランだったのですが…玉璽授与のとき〈南陵の覇者・大魔王ゼイゴス〉がノース・クオータへ攻めてきた。これを成敗してほしい、と依頼されてチェニイ様は、にべもなく拒絶されましたね」

「…ああ、忘れるもんか。だってイキナリ、大魔王を倒せだのなんだの…ワケの分からんこと喚かれりゃ、誰だって…」

「たしか『なんでオレが、そんなことせにゃならんのだ』と…。そのお気持ちは、現在もお変わりありませんね」

「…?? 変わりようがないだろ?」


 チェニイが案内された階上の機械室。手前のコンソール(らしき端末?)の向こうでは、以前チェニイが〈プラネタリウムのバケモノ〉と表現していた奇妙なマシンが、ゆっくりと重低音を上げて稼働しています。

〈ぷらねたりうむ…って、思わず連想したけど…そもそも何のことか、自分でもイミフなんだけど…少なくともこれが、ヨールテ親方の言う「時計」でないことは間違いないな。たしかに、竪坑の始業とか終業時刻を告げる鐘の役目も果たしてるようだけど〉

「平たく言えば、これはザネル世界のサテライトを制御するためのコンパネなのです」

〈ほ~ら、ガブニードスがまたワケわからんことを言い始めたよ…〉

「なので、この部屋の動力には〈精霊子〉が一部、経由して参ります。これを利用してチェニイ様の〈キューブ〉機能を一部、解除します」

「どういうことだ〈解除〉って? またオレに妙な物をくっつけるのか? ヤだぞそれ」

「ご心配には及びません…というより元々、解除の必要もなくチェニイ様のキューブは〈フル稼働〉しておりますから」

「だったら何でいまさら…?」

「いわば…キューブはフルチューン状態ですが、肝心のチェニイ様が操作に習熟されていないズブの素人なので」

「エラい言われようだな」

「…キューブ操作…アクセスのプロセスには諸々ございますが…たとえばチェニイ様は、一番簡便な共有法〈群論式制御〉を以前に、履修された経験はおありですか?」

「……すいません、続けてください……」

「なので今回はチェニイ様の脳幹に、直接最低限のコマンドを転送致します。これで…」

「おいおいカンベンしてくれよ! また頭がヘンになるのはイヤだぞ!」

「いや(それほど)ご心配なく。〈精霊術〉最低レベルのコマンドだけ移せば逆に当面、不必要な上位コマンドは自動的にキューブ本体が抑制いたします…」

「…要するに〈キティ・ガイに刃物〉状態にはならずに済む、ってことか?」

〈確かに放っておいても、体は勝手に経験値が上がると妙な《解放》を行うようだから…まあ〈スコップ英雄様〉のハンドパワーとかで、金銀財宝ザックザク! ラッツーク縦坑は大繁盛…的なレベルだったら、あながち悪いことばっかしではないけどな。ただ今後、間違って妙なトラの尾っぽを踏んづけてしまうことを考えたら…〉


「ではチェニイ様、右手を拝借いたします…掌を上に掲げて頂けますか」

 この場はガブニードスに預けるしかないようだな。チェニイも覚悟を決めます。

〈…なんでオレが、こんな目に遭わにゃならんのだ?…〉

 今回ばかりは、そんなことを言っていられる状況でもないようだし…。チェニイは覚悟を決めました。


 …………………………………………………

やっぱし「節子、それ時計塔やない!(似たようなセリフ、誰かが言っけ?)」

的状況になって参りました。

…常識的に考えたら、こんなデカくて珍妙な機械が「時を告げるだけの代物」

って、考える方がどうかしてます

ま、巨大絡繰り時計ってのも、名所観光地に設置されてる

ケースはありますけれど…ビッグ・ベンとか


さて、チェニイ様のリミッター解除がどんな顛末になるのか…は置いといて、

〈ヤーマの灯〉騒ぎででウヤムヤになりかけてる、もう一つの重要案件…ミリアの

行方不明(またはミリア姫拉致事件!?)の方は、どこへ行っちゃったのでしょう?

そろそろトト・サンダユウ君、怒りの咆哮がバクハツしそうです

次回に続きます

 …………………………………………………


「ザネル」は毎週月・水・金に更新いたします

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