15 ラッツークの深い竇(アナ)後編
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なんだかんだで、物語も第15回目に達しました、このあたりでまとめときましょう
★これまでのお話★
記憶もないのに勝手に呼ばれて♪ヂャヂャヂャぢゃ~ん♪ とある日突然、主人公は
「使徒」として、ザネルとかいう異界に召喚されるのですが、そこで妙な使命を押し付けられたうえ(大魔王ゼイゴスを倒せとか)、しかもチェニイ「ファルス」様、なんて名前まで勝手に付けられてブチ切れ爆発し(何が気に入らなかったのかは不明)、そのまま呼び出された「ニザーミア学府院」とかいう寺院からトンヅラすることとなります。
大騒ぎのドサクサの中、彼を呼びつけた「精霊導師」どもに劣るとも勝らないガブニードスと名乗るヤバそうな魔導士…正体は不明…と遭遇(出合い頭に衝突)。やむを得ずコイツに手引きされるまま、彼は寺院のふもとにある鉱山(竪坑)町ラッツークへ身を隠します。
このラッツーク鉱山を仕切るヨールテという親方に「働かないんなら食うべからず」の掟により、鉱石掘りの人足に担ぎ出される(cf:山椒大夫)…のですが、なぜかこの深い露天掘り竪坑の穴の中でチェニイ君の才能は、いきなり開花するのでした。
天才的な勘でお宝ミスリル鉱石をザックザク掘り当てた彼は、たちまち「スコップ英雄」に祀り上げられます。
そうかオレがこのザネルとかいう異界へ召喚された真の目的は、アナ掘りの才能を生かし「ザネル世界イチバン」の鉱夫へと成り上がることだったのか! と覚醒するのでした。
…それこそチェニイの大誤解! なのですが…
余談ながら「スコップ英雄」チェニイ様が扱う得物は「鏨」であって、スコップではありません
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さて、一宿一飯の義理というワケではないのですが(メシは御馳走になってないから、妙な二日酔い止めの薬は無理やり呑まされたけど)行きがかり上チェニイは再び、昏い坑道の降下路にやってきました。
先ほどジェスロ一家の兄妹ゲンカのアオリで小屋の窓から転がり落ちた(そのまま下の坑道に落下して行方不明)、一家にとっては神様にも等しい像を捜索するため、なのですが如何せん、この暗闇の中では状況は絶望的…。
昨日と違い、竪坑の脇からは幾筋もの滝のような雨が吹き出し、流れ出て…そのまま真っ暗な竇に向かって音を立てて消えています。
なにせ昨日の「ミスリル採掘大ビンゴ!」騒動のアオリもあって…あの一日だけで、おおよそ3ヶ月分は下らないほど収益がラッツークの町に転がり込んできたものだから…こんな大雨の降りしきる現場に、わざわざ出て働く酔狂がいるはずもありません。
竪坑の坑道はもちろん選石場から鍛冶場高炉まで、どこもかしこも無人。鉱夫たちはあと数日は呑んだくれるか博打に興じるか、この機に※※△×〇しまくるか…。
「けど…困ったな。モッコもオートロープも動いてねえから、自力で駕籠を操作するっきりねえし」
チェニイとジェスロも、昨日と勝手が違う現場に戸惑うばかりです。それに坑道口から通路下に繋がる灯火も全て消えていますから、頼りになるのは額に括り付けたルームコルフ、つまり自分の手元を照らす頼りない照明だけなのです。
「に、兄ちゃんさ、この暗がりの中で、小屋から転がり落ちたドーソ神様って…見分けられっかなぁ…」
さっきまで兄貴のケツを叩きまくっていたエディカも、真下に広がる坑道の暗がりと滝のような水流を間近に見せつけられると、さすがに心細くなってきたようです。
「まあ、試しにやってみっけど…保証はできねえあな…」
暗闇に加えて、落ちる雨飛沫が足場を濡らす状況では、下手すると足場を滑らして坑壁から滑落する危険さえあるのです。
「あ。あのさ兄ちゃん…あたし…さっきは、ムチャクチャ言ったりしたけど…」
実際、ドーソ神様はどんなコトしても助け出さなけりゃならない〈ルボッツ〉の宝なのだ、と口を酸っぱくして兄貴に食って掛かっていたのです。
「もう、あきらめようか…兄ちゃんまでヤバい目に遭ったら元も子もないし…」
兄弟のやり取りを脇で聞いていたチェニイでしたが、実は先ほどから〈ルボッツ一家の掘っ立て小屋〉の右下あたり、およそ30メルトの…と言っても、常人に見えるのは闇ばかりなのですが…岩壁に目を凝らしています。そして黙ってキャットウォークの縁に移動してロープのフックを器用に固定すると、ようやく口を開きました。
「あそこで何か光ってる」
「え…?」
「ウソやん、何も見えへんぞチェニイ。オマエの気のせいじゃろ」
確かに、この漆黒の闇の中で光が見えるはずはありません…。
チェニイはそれに応えず、垂直に切り立ったフックの足場を次々と繰りながら、壁面をルームコルフ照明の頼りない光源で照らしながら、鑿で足場を確保していきます。
「…けどアイツ…確か昨日まではズブの素人、初心者とか言ってたよな…」
呆れたように、ジェスロは呟きます。
そしてわずか5分と経たぬうちに、下方から微かな声が聞こえてきました。
「崖の棚に~、なんか挟まってるけど~…腕が六本ある~ちっちゃな像みたいだ…
これって、エディカちゃんが言ってたぁ~神様の像とかいうヤツじゃないのかな…」
思わずエディカはキャットウォークから身を乗り出して叫びました。
「それそれー! それがドーソ神様よぉー!! 間違いないのぉー!」
見つけてくれてありがとぉー! 本当にありがとぉー!…
何度もエディカは崖下に向かって叫びました、半ベソを描きながら叫び続けました。
…
けれど…なぜかしばらく待っていても…チェニイは上がってきません。
ややあって…
「ゴメン、焦って降りたんで、降下ロープが絡んじまった…こりゃ面倒だな…」
か細い声が再び下から響いてきました。
「分かった! ちょっと待っとうて! アタシが解いちゃるけん!」
いうが早いか、エディカは鉱夫装束を肩に纏い、フックを引っかけてキャットウォークから崖に取りつきました。
「ち、ちょう待たんか、ワシが先行くき…」
というジェスロの制止なんて、彼女の耳にはまるで入ってこなかったようです。
…だけど、エディカってこの種の力仕事に精通してたんでしょうか?
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昏い竇の奥の冒険(ドーソ神像救出作戦)、話を引っ張って
しまいましたがさて次回、穴の底で二人は(ジェスロは置いてけぼり?)
何とも不思議なモノを目にすることとなります
この話、もう少しだけ続きます!
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「ザネル」は当分、毎日更新いたします




