10 鉱夫大当たり~
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使徒様トンヅラ大騒動から はや二日が経過。
ニザーミア学府院のオヤヂたちが渋面の鳩首会談で時間をつぶしてた頃、
ラッツーク町の巨大縦坑で穴掘りデビューを果たしたチェニイ様は
思わぬ才能開花で大ビンゴ! をブチ当てます
持って生まれたハンドパワー(?)は、お宝探しのためにあったのだ!
…それ自体が単なる勘違いなのですが、お仕事の滑り出しは順風満帆です
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ラッツーク穴倉のチェニイ様といえば、覚えたての「穴掘り」宝探しに熱中!
「おっ! チェニイ、もうちっと掘ってみい! 今度はそっちじゃ」
ジェスローが興奮気味にチェニイに指図します。
「このあたりだな。お~う、すっげえムズムズしてきた! ドりゃあっ!」
本能の赴くまま、チェニイは(まさしく勘だけを頼りに)ピッケル鑿をふるうと、またしても岩角が砕けて、青白く光る鉱石の露頭が出現します。
ミスリル(真銀)は面白いように地中から出現し、午後過ぎにはおよそ、このコンビだけで鉱夫一人当たり一月分以上の収量まで一気に超えていました。
「また、ビンゴじゃ! 自分、マジ穴掘るために生まれてきたんとちゃうん?」
「そっかな? もしかして…オレ様って、天っ才イ!?」
勘違いですっかり調子こいてるチェニイですが、それはともかく彼には彼なりに…わずか半日にしては、というのが凄いのだけれど…このラッツーク縦坑の基本構造らしきものが見え始めてきました。
この町には昔、今見える廃墟より数倍…いや数十倍にも及ぶ巨大都市が建設されていた(らしい)こと。何があったかは知らないけど、それが何かの災厄で沈んで、かなりの部分はすさまじい熱で一気に熔かされて、一種「都市鉱山」遺構に変わったらしい、と。
〈都市構造物の「溶け残り」は複雑に絡み合い、それが地下鉱区へ通じるルートを構築した…それがこの縦坑の正体なのだろう〉
なので、知らず知らずのうちにチェニイは、その縦坑沿いに突き出し、溶解した建物の遺構に沿って、ここの住民たちが「ミスリル」と呼んでいる(本物の真銀ミスリルとは変成の出自が違うのですが)伸びた露頭を次々と掘り当てていたのです。
鉱物の地脈露頭を掘り進んでいくと、そこが一種の峡谷状の地形に化けるのですが、チェニイ脅威のハンドパワー(笑)は「名人だけど天然さん」的に、この人造峡谷をせっせと造成することになりました。それも相当に効率よく。
「どうなっとんじゃ!? 下で何が起きとお?」
その頃、竪坑上部にへばりついている採鉱所はあちこちで大騒ぎになっていました。
ケーブルで縦坑下部と繋がっているモッコ…つまり採掘した鉱物のガラを入れて上に運ぶバスケット…からは続々と上がってきます。しかもそれが(選鉱夫が確かめないと何とも言えないけど)純度の高い真正ミスリル鉱ばかりが! こんな事態、ラッツーク始まって以来の珍事です…まあ、悠久の昔のことまで覚えてる鉱夫なんて、ここにはいませんが。
「おう! 下で誰が掘っとうや?」
「ジェスロのガキと、そいと今日来たばっかの新米のチッコイ小僧じゃ」
さすがに騒動を聞きつけて急行したヨールテ親方も、今日連れて来たばかりの新入りが、こんな大ヤマをブチ当てるとは考えてもいませんでした。
「…わーった! もう採掘せんでええ、今日は打ち止めじゃ。上の選鉱場はお祭り盆踊りになっとぅし、煉鉱場じゃこんだけのミスリル捌いて精錬すンにヘタすっと一ト月まるまる…いや数か月は保つで」
たしかに、これだけの採掘が上がってくれば、ラッツーク町中は盆と正月が一気に来たような大騒ぎになるのも頷けます。ザネル世界に盆や正月が存在するかは不明です。
やがて、モッコに繋がったジェスロとチェニイがキャットウォークのデッキに上がってきたときには、周囲はまるで英雄を迎え奉るような大騒ぎになっておりました。
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ラッツークでの穴掘りデビューは、思わぬ方向で大ビンゴ!
持って生まれたハンドパワー(?)は、お宝探しのためにあったのだ!
かくして、驚異の新人チェニイ君の鮮烈デビューとなりました
まあしかし「好事魔多し」。この埋め合わせが…といいたいところですが、
実は結構コレが長く続くのです
そして、これに驚いた「不思議ちゃん」ミリア姫のツンデレデビューは…
(あるのか? ひょっとして最後までなかったりして)
モロモロ併せて、次回へ続きます
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「ザネル」は当分、毎日更新いたします




