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第7話 生命の種【R15版】

挿絵(By みてみん)


「け、血液ではないのですか?」



 リリアンが驚きを隠せずに問い返す。

 彼女は女王に仕える騎士であり、このような要求は初めてである。


 アイザックも、聞いた言葉に瞬間、全身が凍りつく。心の中で、何度も『【自主規制】』という言葉を反芻する。肩の力が抜けてゆくが、内心では複雑な感情が渦巻いていた。



 女王は静かに口を開く。



「いえ?【自主規制】液です。それは新たな生命の種となる。聖者様の力がこの森を再び元気づける鍵です。精霊僧も同様の教えを語っていましたが…」



 女王はアイザックの方を見つめ、言葉を続ける。



「人払いはすでに済ませています。この儀式は、森と契約を結んだ王家の血を引く私が遂行するもの。聖者様、どうかお力を貸してください。」



 女王は、その言葉を残しながら、リリアンに甘えた目で視線を送る。彼女の瞳には初めての経験に対する不安と、その不安を共有したいという切ない願いが溢れていた。


 スルスルと、女王のローブが床に滑り落ちる。

 その瞬間、透き通るような日光が窓から差し込み、女王の肌を照らす。まだ幼さを残す、細く、そして力強いその体躯は、森の鮮やかな生命力と調和するように美しい。透き通った肌は、まるで森そのものの純粋なエネルギーを映し出しているかのようだ。この儀式の重要性が、その美しさにさらなる深みと意味を与えている。



「ただ、これは私にとって初めてのこと。うまくできるかどうか……もし、誰かがサポートしてくれるなら、それが心強いのですが…」



 この瞬間、女王の言葉と視線がリリアンの心に突き刺さる。王家に仕える騎士として、また一人の女性として、この瞬間の重みと責任を十分に理解していた。その表情は一瞬で一変し、確信に満ちたものとなる。



 リリアンは当初呆然としていたが、その瞬間、自分の心と向き合う。彼女は女王に仕える騎士であり、この場面での彼女自身の役割の重大さがふと心に突き刺さる。その覚悟は、表情にも、声にも現れる。



「わっ、私もお供させていただきます!」



 その言葉はやけぱち気味でありながら、その背後には確固とした決意と忠誠がある。その声には、未知の状況に飛び込む覚悟と、女王、そして森への深い愛情が込められていた。



 そしてアイザックは、覚悟を決めた。



  ・

  ・

  ・



「ありがとう、リリアン。」


 彼女に向けて微笑むと、私の心が弾む。

 この凛々しい女騎士が、私に何も言わずに愛情を示してくれる。

 こんなにも好きなのに、女王として、その感情をぶつけるわけにはいかない。

 そんな彼女が好きだ。


 掌を広げると、魔法の力で玉座室に草と木が織り成すベッドとソファが出現。

 自然そのものが私の意志に応じ、場を設えてくれる。



「聖者殿、準備が整うまでそちらでお待ちいただきたい。」



 と言いつつ、リリアンの手を取る。

 この瞬間を、何度夢見たことか。彼女の金色の髪が、緑豊かな森と太陽の輝きを一体にしたような美しさに思える。


 彼女をベッドへ導きながら、心の中でつぶやく。



――― こんなにも近くにいて、それでも遠く感じた距離が今、縮まる。



「あなたに身体を解してほしいの、リリアン。」



 と、私は言った。

 その瞬間、リリアンの緊張が身体を硬くしているのを感じる。

 しかし、その緊張も何とも愛らしい。


 剣で戦場を駆ける彼女に対して、今は違う形での勇気を求めている。このお願いは、私自身にとっても少々勇気が要るものだが、だからこそ価値がある。



「脱ぐの、手伝うわね。」



 優しく微笑みながら、彼女の鎧の留め具をひとつ、またひとつと外していく。

 鎧が外れる度に、リリアンの耳が真っ赤に染まる。無言の緊張が空気を張り詰めさせるが、その緊張が逆に新たな距離感を生んでいる。


 心の中でつぶやく。——この緊張もまた、私たちの新しい関係性の一歩。それは繊細で儚いものだが、だからこそ、何よりも価値のあるものと私は感じている。


 透明な容器が現れる。そこには新たな生命の種が収められるだろう。


 そうして、ベッドに座る。

 紫の瞳が私を見つめる。


 その瞳にはわずかな緊張がちりばめられている。

 この普段は凛々しく、何も恐れない彼女が少し緊張する様子は、何とも言えず可愛らしい。


 その瞳に映るのは、おそらく私だけ。

 そして、彼女もまた、私の心の中で唯一無二の存在なのだ。


 手を引いてベッドへ誘導し、ゆっくりとその上に体を横たえる。

 そして私に覆いかぶさるように、彼女を導く。


 

――― いつ見ても奇麗な瞳



 彼女の瞳が私を見下ろす。

 その瞳に、一瞬だけ情欲の炎が煌めいていたのを捉えた。



「お、王女様......ここから、どうすれば?」



 赤く染まった首筋に手を回し、軽く引き寄せる。

 その瞬間、彼女の体がふるりと震える。



「はじめはキスがいいな。」



 そう少し甘く、耳元で囁く。

 頬に手を添え、目の前に広がるのは真剣な瞳と、触れたくなるほどに柔らかそうな唇。それは、どれだけの時間を経ても色褪せない美しさ。



 目をなかば細めて、唇を重ねる。息を止めるくぐもった声が、彼女から漏れた。

二度三度、唇を吸う。

 すぐに我慢できずに私は舌を伸ばす。

 私を見つめていたリリアンの目が閉じて、代わりに唇が少し開いた。


 隙間から【自主規制】を差し入れると、生温かな口腔に包みこまれた。

 痺れるような熱と柔らかさに、動悸が早くなっていく。


 リリアンが【自主規制】を絡めてきた。

 ザラついた軟体が、表面をこすり吸ってくる。



 目を閉じ、従順にキスを受け入れ、その一生懸命な甘さに痺れた。



 「あっ…。ん、ぅ…」



 大好きな人との口づけに、思わず声が漏れる。

 舌を絡め返すと、彼女のの両腕が私の首を抱くように回った。


 優しく、それで温かい手が頭の後ろに添えられる。

 そんな優しい抱擁に、逃げ場を塞がれたような錯覚を受けドキリとした。


 ふたりの唾液が混ざり合ったリリアンの口内はあたたかくて、時折あまえるように彼女の舌といっしょにそれをすすった。

 ゆっくりと、解すように、高め合っていく【自主規制】の愛撫。


 私の胸に押し付けられた彼女の【自主規制】に指を伸ばす。

 吸い付くような肌の感触。

 【自主規制】に触れ、それが硬くなっていることを感じた。



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この小説のR18版はこちらです。

https://novel18.syosetu.com/n3442ih/


===


同じ世界の違う時代の話、


【ぼく食べ】僕を食べたくないと、僕の上で君は泣いた


を下記で連載開始しました。


少年と人魚の少女のボーイミーツガール。

なお、人魚は人間を食べます。


https://ncode.syosetu.com/n9294ih/

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