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第25話 魔祓いの技

己の力不足に悩む旅の仲間に、女神様の導き。

まさに王道ファンタジーですね。

挿絵(By みてみん)


 アイザックとの再会を心待ちに、大地の女神様の神殿へ足を進めた。

 彼の戦いが心配で、胸が痛む。こんなにも彼を遠くに感じたことはなかった。


 魔獣を倒し、呪術師を討つという報せは、現実離れしていて遠く感じた。

 まるで自分の力不足が、彼との間に壁を作り出しているかのよう。


 フェーリスに先導され、神殿の奥の部屋へ入ると、アイザックが静かに眠っていた。



「お疲れになって寝ているご様子。もう少し休ませて差し上げましょう。」



 彼の無事を確認し、涙が込み上げてきた。



―――私にも戦う力があれば、アイザックにだけ戦わせるなんてことにならなかったのに。


 

 自分の不甲斐なさに、涙が流れた。



「おぬし、悩み事があるようじゃな。わらわがその悩み、解決して進ぜよう。」



 振り向いた先に、神官服を着た、美しい幼い少女が現れた。

 エメラルドグリーンの瞳が星のように輝き、長いハニーブロンドの髪が風に舞っていた。少女の純粋さと女神の威厳を併せ持つその美しさに、心を打たれた。



  ・

  ・

  ・



「あなたは、どなた?」



 私の声は驚きと畏敬に満ちていた。

 目の前の美しさにただただ圧倒されるばかりだ。



「偉大なる性と愛の女神、エロティア様ご本人でございます。」



 フェーリスの声は尊敬と畏怖に震えていた。

 彼の言葉に私は反応できず、ただただその美しい存在に目を奪われていた。


 驚きの余り、思わず片膝をつけ頭を下げる。

 何故だかその行動が当然であるかのように感じた。



「よいよい、そう畏まることはない。ぬしの悩み、わらわは知っておるのじゃ。」



 女神様の声は、柔らかく、心地よく響いた。

 その微笑みは、私の心の隅々まで染み渡るようで、安心を感じた。



「ここではなんじゃ、隣の部屋に行こう。フェーリス、お主はアイザックのそばについているのじゃぞ。」



 その言葉に、女神さまは私の手を握り、隣の部屋へと誘う。

 その手の温もりが、私を包み込んで、少しずつ気持ちを和ませてくれた。



  ・

  ・

  ・



「なるほど、魔を祓う力とな。お主には水の精霊魔法の大きな才があるが、神聖力については、まあ、ふつうといったところじゃのう。純粋な魔祓いともなるとあまり戦えぬかもしれんな。」



 私の魔と戦う力についての悩みを聞いたエロティア様は、腕を組んで思い悩んでいる。



「そうじゃ、最近アルコトがあって思いついた魔祓いの技が一つあるのじゃが、授かってみるつもりはないか?水に関係があり、範囲効果もあるから扱いやすい。発動も簡単じゃから、お主にぴったりじゃろうな。」



「そんな技があるのですか!是非、お願いします!」



 と、女神様の手を取り、心から喜ぶ。

 言葉に力が籠もり、やる気が湧いてくる。



「うむ、ではさっそく授けて進ぜよう。まずはあのベッドの上に腰を下ろすのじゃ。」




 彼女の指示に従い、ベッドに腰を下ろす。

 女神様は私の後ろに回り、



「これからお主に神気を通す。何か苦しいなどあれば、すぐに言うのじゃぞ。」



 そう言うと、私の肩に手を添えた。

 手のひらから温もりが広がり、身体が暖かく感じる。



「この技はのう、神気を体内で循環させることで練り上げ、それを水の精霊魔法に載せることで、神気に精霊魔法の打撃力を乗せ魔を祓うのじゃ。」



「この技の名はのう、そう、|黄金聖噴射《ゴールデン・ホーリー・スプラッシュ!!》と名付けよう。

 発動の時にはその名を叫ぶこと、それがトリガーとなり魔を滅するのじゃ。」



 体内が神気に満たされ、身体が熱くなる。



「あっ、、」



 神気の影響だろうか、身体が敏感になり少しこすれただけで声が漏れてしまう。

 気が付くと温まる身体をゆだねるように、エロティア様様に寄りかかっていた。 



「うむ、神気がうまく循環し出したようじゃな。よしよし。

 次は気の練り方じゃが、初めてなので介助してやろう。」



 女神様の小さな手が、私の服を一枚一枚解いていった。



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この小説のR18版はこちらです。

https://novel18.syosetu.com/n3442ih/


===


同じ世界の違う時代の話、


【ぼく食べ】僕を食べたくないと、僕の上で君は泣いた


を下記で連載開始しました。


少年と人魚の少女のボーイミーツガール。

なお、人魚は人間を食べます。


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