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引きこもっていたら悪女にされていたので  作者: Pasta
番外編【アリスブルーの瞳】
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【アリスブルーの瞳】1話⑥


このドレスのスカート丈が比較的短めだったお陰でドレスが汚れないで済んだけれど、もし汚れたり破れたりしたらそれこそお父さんに顔向けできない。




《カチャン》




テラスの方から何かがぶつかる音がする。


つい怖くなって振り替えるけれどそこには誰もいない。


第一ここは2階だから、基本的にはここに侵入はできないはずだけれど、やっぱり怖くなって裸足で歩きながらテラスを見に行く。




テラスに繋がるガラス張りの扉を開けて、冷たい地面が足に直に伝わる。


ゆっくりテラスから下を見下ろせばㅡ


「……?」




案の定、真下の1階の庭園に男性がひとり。


貴族男性が着るようなタキシードではなく、豪華な飾りや勲章は入っているけれど、騎士服に似た服を着ている。




「あ、あの~」




迷っているのかと声をかける。


この庭園は会場とは全く別方向で、頻繁に行き来していない限りは会場に戻るのは難しいだろう。




男性が上を見上げるけれど、暗くてよく見えない。


闇夜と同化するような髪色からはおそらく暗い髪色の青年だと言うことは予測が付くけれど、表情は読み取れない。




「……会場はあっちですよ。」




「……」




無言で眺められ、冷や汗がだらりと流れる。


なんでこの人はわたしを見るわけ?




「あ、招待客ではなく護衛の騎士様でしたか?」




「……」




「えっと……その、騎士服をお召しになられてるから。」




いい加減返事をしてほしい。


けれど、ここでわたしが諦めて立ち去ったらわたしが靴を待つ間は、彼が下階に常備する形になって気まずいだろうし……




「えっと……」




「両方です。」




ようやく返事をくれたものの、どういう意味か分からず馬鹿みたいな顔になってしまう。




「招待客で、騎士です。といっても護衛騎士ではなく特攻騎士ですが。」




ここに招待されれいるのは中位貴族の中でも序列の高い者ばかり。


騎士爵位の貴族は下位貴族にあたるから招待されていないだろうし、といっても騎士であり貴族な一族なんてラ=フォンテーヌ家くらいしかいないだろうに。




「騎士爵位ということですか?」




首をひねりながら尋ねれば




「……いえ。一応は高位貴族の生まれですので。」




「そうでしたか……。って、高位貴族?!」




「ええ。」




高位貴族を名乗れるのは四大家門の特権……。ということは、この彼はまさか本当にラ=フォンテーヌの……?!




「ラ=フォンテーヌ……?!」




「はい。シルヴェスト・ラ=フォンテーヌと言います、アリス・マルタン嬢。」




ラ=フォンテーヌといえば、直系が四人しかいないと言われる没落寸前の家門……


そんなラ=フォンテーヌと話せるなんて!




「始めまして!ラ=フォンテーヌの方とお会いできるなんて!」




ラ=フォンテーヌといえば、帝国の軍部の中枢を担う騎士家門てあり、公正の象徴とされているほど。


月夜に照らされて艶かしい黒髪は、思わず触ってみたくなる。




「……こうして見上げて話すのも何ですし、下りてこられませんか?」




シルヴェスト様がそういうけれど、残念ながらわたしは今裸足だ。


芝生が敷かれているとはいえ、さすがに屋外に裸足で出てくることは憚られる。




「大丈夫ですよ。私が受け止めますので。」




そういう意味ではないのだけれど、と心の中で突っ込みながらも、折角の誕生日なんだしと覚悟を決めてバルコニーの手すりに足をかける。




「絶対受け止めてくださいね!」




二階とはいえ怖くて目をつぶりながらテラスから飛び降りれば、すぐに太ももあたりを抱えられる感触がした。


さっきはジェレミー卿に横抱きにされたけれど、今回は結婚式などでよく見るような縦抱きの形だった。


そうはいっても、所詮は足を固定されているのでバランスをとるのは難しい。


わたしはシルヴェスト様の首もとに手を回して固定をした。




「大丈夫ですか?」




大丈夫じゃないです。とは言える空気じゃなくて、そっと目を開けて大丈夫だと言う代わりに小さく頷く。


……今気づいたけれど、シルヴェスト様の瞳は深紫色だ。


珍しいと思ってまじまじと眺めると、シルヴェスト様が驚いたような仕草をした。


さすがに見すぎたかなと目をそらせば、




「……靴はどうされたんですか?」




と、見当違いな質問が帰ってきた。




「色々ありまして……」




と曖昧に濁せば、シルヴェスト様はすぐにわたしを近くの噴水のへりに座らせると、近くの騎士に声をかける。




「シモン。リュカに女性用の靴を用意するようにと。」




「リュカには女性靴を履く趣味はないですが。」




「馬鹿を言え。アリス嬢に用意しろと言うことだ。」




ふざけたように肩を竦めた騎士は、のびのびとしたように会場の方へ足を進めた。


確かジェレミー卿も靴を用意して貰うと言っていたから、靴が二足来るのだろうか。


わたしの足はいつから四本になったんだか……。




「……お、お嬢様!」




テラスから下を覗き込むように、丁度ミオがわたしに声をかけた。


手にはそこそこ大きな箱が用意されていて、これがおまちかねの靴なのかもしれない。




「ど、どうしてこんなところに……」




「まあ、色々あってね。」



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