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引きこもっていたら悪女にされていたので  作者: Pasta
番外編【アリスブルーの瞳】
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【アリスブルーの瞳】1話④


右目が紺色、左目が赤の珍しいオッドアイで、わたしはすぐに彼が『浮浪者の方』だと察しがついた。



フェリクスお爺様の約束通りに、わたしは適当にあしらおうと手を彼から引き抜いた。




「あれ?ご機嫌ナナメなのかい?ご令嬢。」




「フェリクスお爺様と、ル=シャトリエの浮浪者が来たらあしらうようにと約束したんです。」




ツンとした態度で言ってみれば、彼は面白そうに目を細める。


確かにどこかフェリクスお爺様に似た風貌を感じさせる彼は、お爺様の孫で間違いないだろう。




「先にご挨拶でも、ね?……俺はル=シャトリエ公爵が次男ガブリエルの息子、ドミニク・ル=シャトリエ。兄弟がいるけれど、どちらが兄なのかは分からないんで、長男なのか次男なのかはっきりしてなくてね。」




どこかペテン師のような胡散臭さを感じるけれど、そのルックスにご令嬢たちはメロメロなのか、うっとりしたような声が周りで上がった。




「アリス・マルタンです。マルタン公爵の次女でお荷物な末っ子ですわ。」




「ははは、お荷物だなんて。マルタン公爵家の幸せの青い鳥の間違いだろう?レディ……」




ドミニクさんがグッと小さく悲鳴を上げた。


どうやら後ろの青年が彼の首元を引っ張ったようで、ドミニクさんは不機嫌そうな顔を向けた。




ドミニクさんとは親しそうだけれど、ザワザワと再び周囲が騒ぎ出すのだから彼もまた高位な人物なんだろう。




「えっと、ドミニクさんのご兄弟ですか?」




謎の彼も銀髪に群青の瞳で、丁度話をしたご兄弟かと尋ねる。




「ん?こいつは……たしかに兄弟みたいなもんだけど。まあ、年下だから弟だな。」




「ドミニク。それならもっと兄らしく規律正しくしてくれよ。」




やっとドミニクさんの首根っこを離す。




「始めまして。僕はアルバート・ローレンス・レ=プロヴァンヌと言う。……一応皇太子なんだけど、ご存じないみたいだね。」




「皇太子殿下……」




あまり現実味が沸かず、しばらく立ち尽くしてしまう形になる。


そうだ……皇后陛下がル=シャトリエ直系なんだから、皇太子殿下も銀髪なのはなんらおかしくないわけで……!




「し、失礼しました!皇太子殿下とは知らず、ご無礼を!」




今日は謝ってばかりだと自分のミスが嫌になる……。


幸い、皇太子殿下は気にした様子もなく「顔を上げて」と言ってくださった。




「なあ、アル。彼女、祖父さんのことをフェリクスお爺様だなんて呼んでたんだぜ?」




「お祖父様を?積極的なお方なんですね。」




「お恥ずかしい限りで……」




そう言ったところで、わたしが名乗っていなかったことに気づく。




「あ……始めてお目にかかります。アリス・マルタンといいます。」




「うん。お誕生日おめでとう。」




お兄さんから聞いた話に過ぎないけれど、皇太子殿下はなんでも完璧にこなす器用な方だと聞いている。


すごい……と思いながらまじまじ見つめてしまい




「あの……何か?」




と言われてしまう。




「あっ!ごめんなさい!すごく格好良いな~と思ってました!」




「プハッッ。本人の前でそれ言う?君面白いね。」




「黙れドミニク…………アリス嬢も十分綺麗な方だと思いますよ?」




さすが皇太子殿下。適当なお世辞もすらすらと出てくるらしく、わたしは




「まあ。お世辞なんて良いのに。わたしなんて貰い手が見つかってくれるかさえ危ないんですよ。」




とあははと笑いながら話したけれど、ドミニクさんと皇太子殿下はびっくりしてこちらを見ていた。




「えっと、本気で言ってますか?」




「……?はい。何か?」




少し気まずい空気が流れる。


皇太子、ル=シャトリエ、マルタンが一堂に会しているとあり、周囲の視線も集めてしまってるわけで、ここまで気まずくなるとわたしとしてもいづらさが残る。




「……アル。……なかなかに面白くないか?自覚がないようだけど。」




「そうだね……。表情筋の動きからして本音だと言うこともたしかだし。」




何か小さく話しているけれど訳が分からず、わたしは首をかしげる。




「えっと……」




「ああ、気にしないで。プレゼントについては既に渡してあるから安心してくれ。僕はドミニクと少し話すことがあるから失礼するよ。」




「話すことって、俺はまだ話足りてないんだけどぉ……」




再びズリズリと引きずられるドミニクさんと、ドミニクさんを引きずる皇太子殿下を眺めながら、嵐のようだったと溜め息を付く。




さすがお父さん。ル=シャトリエどころか皇室さえも招待するなんて、なかなか出きることじゃない。……ただ、一言くらい言ってほしかったけれど。




「……ッキャッ!」




足元に冷たい何かがかかり、思わず声を上げる。


どうやら足元にかかったのは用意されたジュースらしく、足はベトベトだけれどドレスにあまりひどくかかっていないようで安心する。




「まあ。はしたなく足なんておあげになって見苦しいったら。ドレスにかからないようにするなんて、なんて贅沢な方かしら。ねえ、皆さん。」



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