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チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


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仕込み③

「ひどい有様だな」

「ええ、おいたわしい……」


 運び込まれた八戦神(オクトゼルス)や天使長をはじめとした天使達の亡骸を見た者達は囁き合った。


「何ということだ。八戦神(オクトゼルス)の方々がこのようなお姿になるとは……」

「聞いたところによると八戦神(オクトゼルス)と天使以外の死体は人間の死体が二つしかなかったという話だ」

「何だと? それなら八戦神(オクトゼルス)と天使達で人間二人しか討てなかったと言うのか? そんな馬鹿なことが……」

「それだけじゃない。魔族達は皆きちんと埋葬されていたと言う話だ」

「……そうか。魔族を討たれたのだな。それならば……」

「ただ、討った魔族達は戦士ではなくただの村人であったと言う話だ」

「では……戦いによってその魔族達は討たれたと言うわけではないと言うことか?」

「そういうことになる……」


 天使達の顔が大きく曇る。今の話では八戦神(オクトゼルス)達が虐殺を行ったという事であり、戦いによる相手方の損害は人間二人ということになってしまう。まさしく惨敗という言葉が頭に浮かんでしまう。


「くそ……何ということだ。それほどの危険な連中が地上にはいるのか」

「ああ、決して油断できんぞ。今後、新たな天使長が選任され態勢を立て直した時には皆殺しにしてくれる」

「ああ、神に逆らう愚か者どもに鉄槌をくらわせてくれる!!」


 天使達がこのように強気な姿勢なのは自分達が神の元にいるという絶対的な安心感から来るものである。所詮は地上での出来事であり、この天界にいる限り、危険があるとは思えない。


「ん?」

「どうした?」


 天使の一体が亡骸に視線を向け訝しんだ。


八戦神(オクトゼルス)の方々の亡骸から妙な気配を感じないか?」

「何?」

「神のものではない気配だ」

「何だと?」


 天使の言葉に他の天使達も警戒感を一気に高めた。自分達の安全の根拠が崩壊しようとしているのではないかという恐怖も同時に高まっていく。


八戦神(オクトゼルス)の方々の亡骸を確認するぞ」

「おい、それは失礼に当たるんじゃないか?」

「……それは確かにそうだが……」


 天使達は判断に迷う。八戦神(オクトゼルス)の死体を確認するという行為は神を調べるということだ。それは天使として不敬なのではという思いが頭をよぎったのだ。


「だが……このまま見過ごすことで大きな災禍となるのではないか?」


 この言葉に天使達は自分達の職務を思い出した。天使達の基本的な職務は天界を守ることにあるのだ。それは何よりも優先すべきことであり、神を調べることによる不敬など些細なことにすぎない。


「いくぞ」


 天使達はその声をきっかけに八戦神(オクトゼルス)の死体を確認するために近づいていく。


 シュン!!


 空気を切り咲く音とともに、天使の首が飛んだ。


「さてやるか!!」


 妙に明るい声で剣を持った男が言い放った。


「ユリ、もう少し待てなかったのですか? 先走りすぎですよ」


 そして落ち着いた少女の声が……。


「二人ともやる気がありますねぇ〜うんうん。そうこなくちゃいけませんね」


 次に妙に弾んだ元気というよりも爆走しそうな少女の声が……。


「ヴェルティアはどこまでも暴れていいぞ」

「え? いいんですか!?」

「もちろんだ。ただ、いつもの力は出ないからな」

「その辺りは私もわきまえてますから、安心してください!!」

「いつもなら心配になるけどここならやりすぎくらいがちょうどいいぞ」

「おお、シルヴィスの太鼓判が出ましたね!! つまり全ての責任はシルヴィスが取るということですね。わかりました。その期待に応えて見せましょう!!」


 突如現れた四人の会話に天使達は呆気に取られた。この天界に神族、天使以外の者達が立っているということに認識が追いつかないのだ。


 シルヴィス達の姿はいつものものであるが、有している武器がいつもと異なっている。

 シルヴィスは剣、ヴェルティアは斧槍(ハルバート)、ディアーネは虎の爪(カランシャ)、ユリは素手だ。


 実はここに立っているシルヴィス達は本体ではない。シルヴィスが作成した人形であり、それぞれの姿を模したものである。しかし、模した人形を本人とは違う者が操作しているのだ。

 その理由は手の内を神達に必要以上に晒さないためである。シルヴィスは基本剣を使わない。にもかかわらずこの場で剣を使って戦えば、『シルヴィスは剣を使う』とミスリード出来るかもしれないと考えての振り分けであった。


「さ、行きますよ!!」


 ユリの姿のヴェルティアがブンブンと手を振り回しながら、天使達に襲いかかった。


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