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チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


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八戦神①

 その部屋の中心にある円卓があった。


 円卓の周りには豪奢な装飾を施された椅子が八つ。その椅子からここに座ることのできる者は相当な身分であることを窺えるというものだ。


 現在、その八つの椅子には七柱が座っている。


「ディアンリアの祝福(ギフト)を拒否した下等生物が魔族と手を組んだと言う話らしいね」


 少年が無邪気な声で楽しそうに他の出席者に語り掛けると他の出席者も好戦的な笑みを浮かべた。


「ああ、自分たちだけでは我らと戦うことが叶わないという惨めな下等生物の哀しさよな」

「虫が手を組んだところで所詮は虫でしかないというのにな」

「まったくだ。下等生物は己の分をいうものをわきまえないのが困るな」

「そうだねぇ。まっ下等生物にはそんな知恵なんてないだろうしねぇ」


 少年の言葉に他の六柱は笑う。


 バタン……


 そこに扉が開くと七柱の視線が扉へと向かう。


「遅ぇぞ。アルゼス」


 入ってきた一柱へ咎めるような声が飛ぶ。入ってきたのは赤髪、茶色の眼をした偉丈夫である戦神アルゼスだった。


「すまんな。ヴォルゼイス様の許しが出た」


 アルゼスの言葉に七柱がニヤリと肉食獣の笑みを浮かべた。七柱の浮かべる笑みを見てアルゼスも満足そうに頷いて空いた座席へと腰を下ろす。


「ユクレント、調子はどうだ?」

「いつでもいけるぞ」


 ユクレントと呼ばれた神は、金髪碧眼の美丈夫だ。顔の造形は美しいが碧い瞳から放たれる眼光は鋭利な刃のようだ。


「フォルス、久しぶりだな」

「そうだね。このメンバーが揃うのって二〇〇年ぶりくらいだったけ?」

「それくらいだな」


 フォルスと呼ばれた少年の姿をしており金髪碧眼の愛らしい容姿をしている。しかし、眼には嗜虐的な光が無邪気さの仲に見え隠れしている。


「セルゼンス、エイラント、クルーセス、イクラント、ラセルム。みんなとも一堂に会することができると嬉しいものだ」


 アルゼスが全員の名を呼びながら視線を回すと全員が頷いた。


「下等生物共は四匹という話だな」

「ああ、その四匹が魔族と手を組んだというわけだ」

「それなんだけどさ」


 アルゼスにフォルスが声をかけた。フォルスの発言に全員が集中する。


「手を組んだっていう魔族は魔王の息子だったて聞いたけど本当?」

「ああ、魔王の息子の剣帝キラト、その妻である魔弓リネア、元魔術師団団長ムルバイズ、精霊女王ジュリナ、第二軍団軍団長の殲滅者リューベ」

「へぇ、クズ共の中では大物だよね」

「ふ、まぁな。所詮は魔族だ。我らとは比較になるまい」

「だよねぇ~」


 フォルスの言葉にまたも神達は嗤う。その嗤いには他種族を露骨に見下した響きがある。


「その四匹は?」

「オス一匹、メス三匹だ」

「へえ~オス一匹か。その三匹のメスはそのオスの何なのかなぁ?」


 クルーセスが大きく顔を歪めて下卑た表情でいう。その声と表情からクルーセスという神が高潔とはほど遠い思考を持っているのがわかるというものだ。


「クルーセスは本当に下等生物相手に対しても優しいな」


 イクラントの声には呆れた響きが含まれている。


「まったくだ。下等生物に欲情、おっと……愛情を注げるというのだからな」

「そういうな。下等生物だろうがメスだろうが、女だろう?」

「くくく、違いない」


 クルーセスの返答に仲間達は嗤う。シルヴィスがこの神達の会話を聞いたら、あまりの下劣さに忍耐心が一気に蒸発することだろう。


「さて、続けるぞ」


 アルゼスが笑みを消して仲間達へと言う。雰囲気が変わった事を察した仲間達も笑みを消した。


「ヴォルゼイス様は我ら八戦神(オクトゼルス)に四匹の異世界からの下等生物を討つように命じられた」

「おおっ!!」

「そのための手段は問わないとのことだ」

「へぇ……さすがはヴォルゼイス様だな。俺たちのことをよくわかってらっしゃる」

「ああ、ご期待には応えないとな」


 神達は残忍な()みを浮かべた。


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