表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/254

十天使戦②

「フィラデルム!!」

「おのれぇぇぇ!!」

「下等生物がぁぁぁ!!」


 仲間の天使がまたもシルヴィスに討ち取られたことに、三体の天使が激高するとシルヴィスに向かって斬りかかってきた。


(三体……あいつからだな)


 シルヴィスはニヤリと嗤って一体の天使に狙いを定めた。その表情は明らかに捕食者の舌なめずりにしか見えない。


「待て!!」


 そこに鋭い制止の声がかかった。声の主はデミオルであった。


「冷静になれ!! こいつの戦いは俺たちの隙を衝くものだ!! わざわざ狙いに乗ることもない!!」


 デミオルの言葉に激高していた天使達が冷静さを取り戻したようであった。


「命拾いしたな」

「な……」

「デミオル()のおかげでお前達は殺されずにすんだ。ちゃんとお礼を言っておけよ。特にお前はな」


 シルヴィスは一体の天使を指さして言い放った。実際にシルヴィスが狙いを定めていた天使であり、デミオルが制止しなければ命を失っていたことだろう。


「このエイトスを討ち取るつもりだったというつもりか!!」


 指を差されたエイトスという天使が怒りを露わにする。


「ああ、お前達はどうやら俺と戦うには力不足だな。無駄に死ぬことはないだろ。もう帰ったらどうだ?」

「我ら十天使(テネスティリア)を侮るのもいい加減にしろ」

「いや、テネスティリアってお前ら十体の天使の事だろ? もう二体欠けてるから、十天使(テネスティリア)という呼び名は、相応しくないから、改名したらどうだ? それとも現行のメンバーが欠けても、即座に補充されるシステムなのか? お前らも偉そうにしてても替えの効く有象無象というわけだ」


 シルヴィスの煽りは止まらない。何しろ煽れば煽るだけ自分の掌の上で踊ってくれるのだからやらない手はないというものだ。


「ぬぅぅぅ!!」


 エイトスの顔は怒りで真っ赤になっている。


(紙を近づけたら燃えたりして)


 シルヴィスは中々酷いことを素で考えてしまう。ここまで煽りに乗ってくれるとシルヴィスとしては楽しくて仕方がないのだ。


「こいつは一体一体、個別に斃していくつもりだ。逆に言えば我らが連携をとれば絶対に討ち取ることができる!!」


 デミオルの言葉に天使達は頷いた。デミオルの言葉は認めたくないが事実である。実際にシルヴィスの狙い通りに各個撃破されている以上、侮ることはできない。


「まぁ、それなりの知恵があればそれくらい思いつくよな。だが、結果は変わらないんだよな」

「ほざけ!!」


 デミオルは剣をその場で斜めに振り下ろした。デミオルの光り輝く剣から斬撃が飛ぶ。


 凄まじい速度で飛翔した斬撃をシルヴィスは最小限度の動きで躱した。シルヴィスが躱した斬撃はそのままシルヴィスの背後にいた(むくろ)を両断した。


「ひぃぃ!!」

「カ、カザス!!」


 軀達から悲痛な声が発せられた。

 

 八つ足(アラスベイル)達が消え、生き残った軀達であったが、間髪入れずに始まったシルヴィスと十天使(テネスティリア)達の戦いに当然参戦できるほどの実力はない。かといって逃げ出すことも出来ないので、ただ呆然とシルヴィス達の戦いを眺めていたのだ。


(三十くらいか、結構残ってるな……)


 シルヴィスは軀達の人数を確認するとニヤリと嗤う。


「おい、お前ら。この天使達を囲め」


 シルヴィスの言葉に軀達の顔が凍った。シルヴィスの戦闘力は自分達と次元が違うのは骨身にしみている。同時に天使達の戦闘力も次元が違うのだ。いわば超人同士の戦いに蟻が参加するようなものだ。


「いいから早くやれ」


 シルヴィスの言葉にも、軀達は動かない。いや正確に言えば動くことが出来ないのだ。確実に死ぬことが決まっているのに、そこに飛び込むことが出来る精神を有しているものなどそうはいない。


「仕方ないな……」


 シルヴィスはため息をつきながら一つの魔法陣を展開する。顕現した魔法陣はすぐにパリンという小さな音と共に砕け散った。


「何をした?」


 デミオルの怪訝な表情と問いかけにシルヴィスはニヤリと嗤うだけだった。


「な……」


 天使達の間に驚きが走る。


 軀達が散開し、天使達の包囲を始めたからだ。しかし、その表情は全員恐怖と困惑に満ちている。


「貴様……まさか」


 デミオルは信じられないという表情をシルヴィスに向けた。


「ああ、こいつらは俺が操作している」


 シルヴィスは事も無げに言い放った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ