表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

213/254

神魔大戦 ~それぞれの決戦へ②~

「さ、行きましょう!!」


 レティシアの号令に約百名の小隊が駆け出した。


 レティシア達の小隊とはレティシア一行、レンヤ達率いる斬魔(エキュラス)の約百名である。


 レティシアを先頭にヴィリス、シーラ達が補助をしつつ、レンヤ達が付き従うという図式だ。


 斬魔(エキュラス)の実力は、このエランスギオム会戦に参加するには力不足も良いところなのだが、斬魔(エキュラス)達は全員が巨大な盾を装備し、互いに守り合いながら戦場絵を駆けているのである。


 全員が恐怖の表情を浮かべていることから、彼らの目的は手柄を立てるとかではなく何とか生き残る。これが彼らの目的であることは間違いないだろう。


 現在、天軍と魔軍は直接ぶつかり合い激しい戦いが展開されていた。天軍は魔軍の軍団をキラトから引き離すことを目的としていることがレティシア達は戦場を外から眺めていることを察した。


 それはキラト達も察したことであり、敢えて(・・・)その作戦に乗っているのである。


 キラトもまたシオルとの戦いを望んでおり、魔族達もそれを望んでいる。それはキラトの勝利を信じているからであり、キラトが魔王として生きるために必要な儀式であるとすら思っているのである。


 そして、魔軍の全軍団をキラト直属の軍から引き離すためには、天軍もまた六軍を軍団にぶつける必要があるのだ。その時こそ、シュレンの本陣が最も手薄になる時であり、その機会をみすみす見逃すような者達など魔軍関係者にはいないのである。


 人選は自然とレティシアに決定された。


 レティシア本人が望んだというのもあるが、キラトはシオルの相手、各軍団長は自軍の指揮があるという状況でレティシアしかシュレンに勝つことのできる者はいなかったのだ。


 そして、シュレンの本陣が手薄になった瞬間を見計らい、ついに突撃を開始したのである。


 レティシアは見かけは清楚でおとなしい印象を与えるのであるが、結局のところ、ヴェルティア(・・・・・・)の妹である。凄まじいばかりの戦闘力と行動力を有しているのだ。


(気づいたみたいですね。でもそこまで迎撃に本気じゃないわね……まぁ数が百程度だから当然よね)


 レティシアは心の中で笑う。天軍の行動は百程度に対して本気で迎撃するまでもなく蹴散らすことのできるという考えが現れたものである。


 それは天軍が迂闊というわけではない。百程度の小勢に全軍で臨むことを考えることはしない。もしレティシアが天軍の指揮官であっても百程度の小勢では本気になるとは思えなかった。


(さ……その油断をつかせてもらいますよ)


 レティシアは天軍が油断していることを蔑まない。むしろ、喜ばしいとすら思っている。

 レティシアは自分の力が絶対なものと捉えていない。それはヴェルティアという本物の絶対的強者を知っているからである。


 レティシアは本気の速度では決してない。もし、レティシアが本気を出せばとっくに戦いが始まっている。しかし、それではヴィリス、レンヤ達はついていくことが可能であっても、斬魔(エキュラス)達は全くついてこれない。


 それはレティシア達の実力を知られるのが早くなることを意味する。


(まずは油断……そして困惑……混乱……恐怖までいけば……シュレンさんまで簡単(・・)に届きますね)


 レティシアは幻魔竜(ヴァルスエイス)を構える。


 奴隷兵士(リュグール)が槍衾を形成している。その数は約二百というところだ。


 レティシアは鎖を投擲する。その速度は凄まじいの一言であり、直撃を受けた奴隷兵士(リュグール)が粉々に砕け散った。


 レティシアは上半身の砕け散った奴隷兵士(リュグール)の下半身が崩れ落ちるよりも早く隊列に入り込むと鎖を振り回し始めた。


 鎖の直撃を受けた奴隷兵士(リュグール)達は粉々に砕け散り次々と崩れ落ちていく。


「さて……」


 レティシアは周囲を見渡し、天使と神を探す。既に奴隷兵士(リュグール)が意思を持たぬ人形であることがわかっているため、いくら奴隷兵士(リュグール)を蹴散らしたところで天軍が崩れることはない。そのため、天使、神を討ち取るのが必要となるのである。


「いた」


 レティシアの視線の先にはこの部隊の指揮をおこなっている神族の姿が見えた。


「よし!!」


 レティシアは鎖を自分の周囲で振り回しながら歩く嵐となり、奴隷兵士(リュグール)達を蹴散らし始める。


 ヴィリス達も既に天軍の中に入り込むと次々と奴隷兵士(リュグール)達を蹴散らし始めた。


「拠点を作れ!!」


 レンヤの命令を斬魔(エキュラス)達は必死に守る。拠点の形成は自分達の生存を高めることが確実なので自分の生存のために手を抜くようなことはしないのだ。


 斬魔(エキュラス)達が円陣を組み死角を無くす。


「エルナ!!」

「わかってる!!」


 レンヤの言葉にエルナが簡潔に応えると両手に作った巨大な火球を次々と放った。


 ドゴォォォォ!! ドゴォォォォ!!


 放たれた火球は地面に着弾するとそのまま大爆発を起こし、奴隷兵士(リュグール)達を吹き飛ばした。


(今!!)


 エルナの放った火球の被害に意識を向けた指揮官の神族へ鎖を投擲すると放たれた鎖は神族の喉に直撃する。

 鎖をまともに受けた神族は膝から崩れ落ちる。


 神族の死は部隊の崩壊を意味した。


「レンヤ!! ヴィルガルド!! 円陣をこちらまで移動させろ!!」

「わかりました!!」


 カイの言葉にレンヤが即答すると斬魔(エキュラス)の作った円陣を移動させた。


「エルナ、あそこの部隊に火球を集中してまとめて吹き飛ばせ!!」

「はい!!」


 エルナはレイの指示に即座に応じると火球を連続で放った。


 ドゴォォォォ!! ドゴォォォォ!! ドゴォォォォ!!


 エルナの放った火球はまたもその威力を十分に発揮し、奴隷兵士(リュグール)を吹き飛ばす。


「レンヤ!! エルナから離れるな!!」


 ヴィルガルドの言葉にレンヤは頷くとエルナの隣に立つと襲い掛かる天使達と激しい戦いを展開した。

 レンヤとヴィルガルドの実力はもはや天使達を遥かに上回っている。襲い掛かる天使達をレンヤとヴィルガルドはエルナに近づけないために次々と斬り捨てていく。


 レティシア達が天軍に突入してわずか五分ほどで二個大隊が壊滅した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ