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チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


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不協和音①

「シュレン様……あの者を見逃したのはどういうおつもりか?」


 シュレンが天界に戻ったところでディアンリアが詰問してきた。ディアンリアの背後にはディアンリア子飼いの神達がシュレンへ非好意的な視線を向けている。


「見逃す……とは?」


 シュレンの声は全く意に介したものではない。それをディアンリア達は侮られたと感じたのだろう。シュレンへの視線に険しさがましたのはその表れであろう。


「先ほど、シュレン様と戦っていた少女ですよ」

「ふふ、ディアンリア殿は戦いにおいては素人と言うわけですかな?

「なっ……」


 シュレンの言葉にディアンリアの顔が歪む。


「あの少女に勝利するのは短時間では不可能。そうなると敵の増援にやられるだけでした。だからこそ、私は逃げたのですよ」


 シュレンの返答に反応したのはディアンリア子飼いの神達である。


「シュレン様ともあろう方が臆されましたか?」

「臆病風に吹かれるとはヴォルゼイス様の名に泥を塗られますな」

「そういってやるな。偉大なる父君を持った重圧は相当なものなのだ」

「お逃げになるのも時として必要ですが度を越すと武名に傷がつきますぞ」

「このような方が総大将となられるとは不安で仕方ございませんな」


 子飼いの神達の嫌味のこもった言葉にシュレンは冷笑で返した。これに子飼いの神達は違和感を感じた。

 いつものシュレンであれば嫌味を言ったところでサラリと流していたのだ。シュレンはヴォルゼイスの息子として天界の和を乱すことは極力しない。しかし、今のシュレンにはそのような気配が感じられないのだ。


「ディアンリア、一つ聞きたいのだが……」


 シュレンの言葉にディアンリアは無意識に喉を鳴らした。呼び捨てにされたことに対して不愉快な感情よりも気圧されそうな圧迫感に喉を鳴らしてしまったのだ。


「この者の妄言はお前の指示か?」


 シュレンの放つ威圧感が一秒ごとに跳ね上がり、ディアンリアの頬に冷たい汗が一筋流れた。


「どうした? まさか……私のいうことが理解できないなどと言わぬよな?」

「い、いえ……私ではございません」

「ディアンリア、配下の者はきちんと躾けておけ」


 シュレンは冷たい一言を発すると一柱の首を斬り飛ばした。斬り飛ばされた首は弧を描いて床に落ちると切り口から鮮血が舞った。


「ヴォルゼイス様にはこう伝えよ……無礼者を手討ちにしたとな」

「は、はい……」

「まさか、ここまでお前の子飼いの者共が愚かであったとはな」

「お、愚か?」


 シュレンの冷たすぎる言葉にしてディアンリア達は明らかに狼狽した。いつものシュレンであれば発しない声色に動揺せざるを得ない。


「私が今までお前達ごときに侮辱を受けても見逃してあげていた(・・・・・)だけというのにな」

「……」

「ではどうして私は今回は許さなかった?」

「……」


 シュレンの問いかけにディアンリア達は答えることが出来ない。シュレンはディアンリア達の反応に露骨に蔑んだ表情を浮かべた。


「その者が言ったではないか。総大将であると……な。対魔族の総司令となった以上、貴様らごときの侮辱を見逃せば命令を拒否する者達が現れても不思議ではない。お前達はそれを狙っているのか? 裏で魔族と繋がっているのか? ん?」

「そ、そのような事はございません」

「そうか……お前達が明らかに利敵行為としか思えぬような発言しかせぬのでな」

「な、何を言われます!! いくらシュレン様といえど……」

「どうする?」

「く……」


 ディアンリアの反論にシュレンはただ一言言い放つだけでディアンリアの反論を封じた。


「あの少女の実力を測ることもできず……状況が変わったことを察することもできない……そんなお前達如きが私に何をするというのだ?」

「も、申し訳ございません……」

「ふ、所詮お前達はその程度だ」


 シュレンはディアンリア達を一瞥すると冷笑を浮かべた。シュレンの態度にディアンリア達の屈辱感は一気に高まるが反論することはできない。

 シュレンはディアンリア達から反論が出ないことを確認するとクルリと反転してそのまま歩き去った。


「おのれ……小僧め」


 ディアンリアは歩き去るシュレンを睨みつけていた。


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